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第12回「愛知万博検討会議(海上地区を中心として)」議事録

■ 検討部会からの報告について(2)
■ その他(2)

□ 國分委員

このあとここに四つ、これからどうしていくかというテーマがあります。その前にやはりこの検討会議が果たした役目というのは、博覧会を開催していく上で非常に大きな役目を持っておったということは皆さんよく理解されてると思います。この検討会議で合意したことによって、閣議了解も取られBIEの執行委員会で了解がされ、そして12月15日の総会でおそらく承認されていくと思います。問題はその後、一部私にこういう話があったんですね「國分さん、ありがとう。これで事業はどんどん進むことができる。後は任してください」というような、だからそこがちょっと問題であって、じゃあ今後この検討会議をどうしていくかということと、今出ている四つの大きな課題なり機関をどうしていくかということは、切り離して考えれないわけです。私はやはりこの検討会議にあまりこだわり過ぎて、先のところを見失ってはいけないと思うんですね。それはどういう事かと言いますと、私は作業部会でも申し上げたんですけども、検討会議が果たした役目、しかもそれが市民参加の一つのきっかけ、先程林先生もおっしゃいましたように、そういう役目を果たしてきたわけです。しかもそれぞれがある共通の認識を持ちながら合意してきたわけですね。ですからやはりこれを大きく発展させないことにはいけないだろうと思う事が一つ。それからもう一つは、中には博覧会を潰してやろうとか、それから愛知万博なんかない方がいいんだという人がひょっとしてみえるかもわかりませんけども、検討会議で合意したということは博覧会を進めていくということですね。進めるには当然成功させなきゃいけないわけです。ですからここにある海上に関する合意のモニタリングの機関、それから愛知万博検討会議の提案に関するフォロー・アップの機関、海上の森の保全・活用法の機関、それから市民参加のこういうような機関、これもやはり博覧会を成功させるという理念の元に作られていかないと、私は意味がないと思うんです。この機関を作って博覧会の推進の足を引っ張るというようことでは、我々の合意は一体なんであったかという事になるわけです。そういうようなことで私は例えば1)にある海上に関するモニタリングにしたって、これは市民参加の一つの形態という形で捉えていけば、市民の参加できるシステムを作り上げていく事だってできるわけですし、ここにある四つを市民参加というところから考えていけば、相当な市民参加のシステムとして作り上げていくことができるだろうと思います。じゃあ市民参加というのは何なのかというところですね。私はやはり市民参加というのは博覧会を成功させるために必要である。推進する為にも必要である。これは先程から話が出ておったし、この会議で合意してるわけなんで、ところがですね、市民参加というのが従来の市民が、博覧会を開催する為のエキストラ的な位置付けというレベルで捉えたんでは私はいけないだろうと思うんです。今までいろんなことが問題になり議論してきた、その議論の大半、それから市民が疑義を感じる大半は、情報が非常に後から出てるということによると思うんです。ですから私は情報がリアルタイムに共有できるようなことを念頭におきながらこういう機関を作っていくべきだと、そうするにはどうするかというと、やはり一緒に共同して作業するという、これは事業者側と作業をするということが必要であるだろうと私は思うんです。私は市民参加の究極は市民が事業に関わって、その事業、プロジェクトに対してどこまで関われるか、場合によっては関わってはいけないところもあるかもわかりませんし、関われないところもあるかもわからないけども、事業にいわば共同経営していくということをやるべきだと、それには市民も含めてプロジェクトを進めていくための責任を持つと、また責任を持てるような作業を一緒にやっていくということが必要であるだろうと私はそういう風に思うんです。ですから今後こういう組織を作っていく場合に、前提としては博覧会を成功させるという、そういう市民としての共通した考え方が必要であるということ。それからもう一つはそれぞれを市民参加のシステムとして機能していくということが必要である。それから愛知万博については、場合によっては一部分でもいいですから、市民が責任を持って事業にかかわっていくというようなことを念頭におきながら、機関なりシステムを作り上げていくと、私は本当の市民参加というものができるんではないか。実はちょっと話がそれますが、スポーツ関係の団体の役をやっているもんですから、9月にシドニーオリンピックに行ってまいりました。あそこで市民がシドニーオリンピックを運営する大きな部署を担ってやっているんですね。例えばほとんどの選手の輸送がバス、応援団の輸送もバスでなされてるわけです。そのバスの運転手はシドニーのプロの公共のバスとかバス会社の運転手だけでは足らないわけですね。例えばパースだとかアデレードだとか何千キロも先から小学校の教員のOBであったり、ガソリンスタンドを定年で辞めたり、そういう人たちがシドニーに来てバスの運転手をしているわけです。彼らはシドニーの地理はわからないわけですから、彼らに市民がアシストとしてついて道を教えてるんです。そういう様なものを受け持って、責任もって運営してるわけです。ですから私は愛知万博の中でも、事業の運営の中で市民が責任を持って関われるようなものを、事業者側と話し合って見つけ出していくことが必要であるだろうというふうに思います。ちょっと話が長くなりましたがそういうことです。

□ 谷岡委員長

どうぞ、林さんから國分さんに質問があるそうです。

□ 林委員

質問したいんですけども、まず博覧会の成功というのはどういうことをイメージされているのか。市民といわれますけれども、今おっしゃったことだと、ハノーバーの市民といわれたときに、明らかに市民という概念よりも住民概念というものがコアとしてあるんじゃないかと思うんです。明らかにここは瀬戸と長久手とありますね、住民組織というものが博覧会をサポートする、住民組織がコア組織としてやって、いわば広域の市民組織がサテライト組織としてある、そういうことも全部含まれて考えられてるんですか。

□ 國分委員

私非常に言いたかった事の一つを指摘していただいてあれですが、私は博覧会の成功というのは物理的には計画人数よりも多く入って、場合によっては黒字になるということは目に見えた成功になると思いますね。それ以外に、例えば海上の森が非常に皆から評価を受けるような、モニタリングによって評価されて、自然保護という理念がそこから芽生えただとか、例えば愛知の県民が世界の人たちが来ることに有効に貢献して役立ったとか、場合によっては世界の人が大勢集まってくる中で考えなきゃいけないのは、やはり私は世界的な平和というのは頭の中においとかなきゃいけないと思うんですね。そういうのに貢献したということが、数字上では表わせないけれど、博覧会の成功というのはどういう考えで、例えばこれからも成功といえるとかいうことを、市民も事業者も含めてやはり事前に議論しておくべきだと思いますね。それから私が言っている市民というのは、当然のことながら愛知県民というのは当然です。ですけれども日本国民、場合によっては私なんかの組織である地球市民的な考えで、やはりそういうところまで含めた意味での市民というふうな捉え方ができれば一番いいかなと、こういうふうに思っております。

□ 林委員

前者の博覧会の成功というもの、おっしゃるようなことは興行としてはいいと思いますけれども、しかし博覧会も一つの事業、あるいは地元、地域でやる事業である限りは、私は成功は二点だと思います。一点は地域の自立あるいはアイデンティティーの確立にどれだけ有効に役立つか。もう一つはいかに負の遺産を残さないかということだと思います。ですから広域、あるいは世界というのもいいんですけど、世界は地域から始まるんで、地元に対していい財産を残せないにもかかわらず世界の為だというのは、ちょっと正義の押し売りみたいになると。だから地元がどういうふうに自立していくか、長久手にしても瀬戸にしてもまだまだ発展途上ですよ、街づくりをどうしていくんだと、その時に博覧会というものを契機にどういうふうに自立し、あるいはアイデンティティーを確立し、それに対して地域だけで足らない知恵を、愛知県、日本中あるいは国際的にも提供いたしましょうかという、そういう流れができて初めて意味を持つんです。それが博覧会の成功だと思います。だからこそ住民組織がコア組織としてなり得るし、その組織は決して博覧会で終わらない。広域の市民組織は博覧会が終わったら雲散霧消するかもしれません。けれどもこのプロセスでできた住民組織はその後でむしろ博覧会の後で効果を発揮していく。その流れをそのプロセスを設計して初めて博覧会の成功と言えるんじゃないかと、そう思うわけです。

□ 國分委員

実は私自身も例えばの例でちょっと上げただけで、博覧会の成功というのは何かというのは、私自身もよくわからないわけですね。ですから、そういう今まで博覧会の成功とは何だというような議論が、市民の中なり、市民と事業者なりで私はあんまりされてないんだろうと思うんです。ですから今林先生がおっしゃったような議論がみんなの中で出てきて、博覧会の事業の推進の過程で例えばこうすれば成功するんだとか、成功として評価できるんだとかいうようなことが、それぞれの市民なり事業者の間で確認ができていけば、そういう議論ができていけば私はそれも博覧会の成功の一つであるだろうと思いますから、やはりこういう議論ができる場というのも必要だと思いますね。

□ 林委員

せっかくこういう議論してきたんで、私は博覧会を最近ちょっと捉えなおしてみて、海上の森にしてもほとんど県有地になっているわけですけど、県が購入しなければ、新住計画はなくなりましたけども、民間開発で虫食い状態になったと思うんです。実は野生生物にとってこの虫食い状態というのが一番たちが悪いんですね。ですから、そういう意味でうまく調整された大規模開発のメリット、それをどういうふうに発揮していくのかという、その大きなステップにこの検討会議がなれれば、愛知万博がなれれば、非常にいい情報発信もできるし、それから里山も先程から議論ありますけども、この里山はアジアのしかも極東のほぼ暖帯林地帯に属する里山だと。ヨーロッパの森では決してないということですよね。ヨーロッパの森に当てはまる基準は日本の里山に、特にこの地区の里山には当てはまりません。ヨーロッパ人の森林観は日本人の里山の森林観と絶対合わないです。彼らの森林観を押し付けられたら、あるいは森林に対する管理基準を押し付けられたら、我々にとっては大きな迷惑だというふうに私なんかは感じております。そういうことを考えれば、こういう所で放置するんでなくて、人が適当に関わりながら、そのことによっていかに調整した開発というものを、自然保護と矛盾せずにやっていけるのかということは、いわばこういうふうな計画合意に達するプロセス抜きにしては語れないんですよね。単なる技術問題だけではないんです。自然保護はほとんど技術問題ですよ。けれどその技術問題が本来の技術問題として意味を持ってくるのは、技術問題も含めた計画そのものをどういうシステムで、どういうプロセスで計画し、実現し、モニタリングし、フォローアップし、あるいは場合によってはフィードバックしていくのか、そういうこと自体が問われていくんですね。そういういわば大きな枠組みで、計画に対する、海上の森に対する合意のモニタリング、だからこそ海上地区が盲腸でなくてメインなんだということを言えるわけですよ。単に使う場所がこれだけだから、建物をこれだけしか建てないからウエイトが低いんだというんではなくて、むしろこれこそが一番重要な問題。ここまでいかに絞り込んできたか、オオタカも関わりやってきたか、そのプロセスがあるからこそ私はいつまで経っても海上地区は愛知万博のまさに心臓部だと思っておりますし、心臓どころか脳神経の部分だと、そんなふうにまで思っているわけです。ぜひそういうところを、特に國分委員が積極的に進められていますので、そういう組織作りも含めてやっていっていただければいいかなと思っております。それこそが市民参加の実質を我々が作っていける、そういうことになるだろうと思っております。

□ 谷岡委員長

木村さん、森山さんといきます。それから小池さんいきます。

□ 木村委員

あんまり話が面白いんでずっと聞いててもいいですけども、実はそういう話を四つの小さな作業グループで詰めていきましょうという話を検討部会でやってまいりましたので、そういう話をできる場を確保するかどうかという話だろうと思うんですね。まだ一つ気になりますのは、先程黒岩さんがおっしゃっていたような言い方で、いつも黒岩さんがおっしゃるとああいうふうになっちゃうんで、何でかなと思うんだけども、別に真意をねじ曲げているつもりはないんですけども「あんた達がやるんなら邪魔はしないよ」と聞こえてしまうところに、博覧会協会の持っている体質が見えてしまう。そうじゃなくて、それを「私たちと一緒にやっていきましょうよ」というふうにおっしゃっていただけないものかなというふうに、私なんかは思います。

□ 黒岩企画調整G長

一緒にやっていきましょうよと言ったつもりなんですけども。

□ 木村委員

やっぱり日本語がちょっとずつずれるんですね。今までよく専門用語だ何だと言ってまいりましたけども、非常に慎重におっしゃるのはよくわかるんですけども、どこまできちんとフォローできるかということをご心配になっているのかもしれませんけども、私どもが聞いておりますと、できたらそういうものはない方がいいんだけどなあというのが裏にあるように聞こえちゃうもんですから、そこのところをもう少し注意していただけないかなというのを検討部会で申し上げたつもりなんですね。この四つのメインテーマ、キーになるテーマというのはお互いに同意されたはずです。検討部会の中で県の方も合意されたし、博覧会協会も合意されたと僕は認識していますから、この四つに一体誰が参加するのがいいのかといことと、それぞれの会議が、3)については県が積極的にやりましょうとおっしゃっていますからそれでいいんでしょうけど、1)2)4)については博覧会協会とどういう関係でやっていけるのかということを、もう少しこの検討会議で詰めていただければと思います。

□ 谷岡委員長

私皆さんの意見聞いていて感じたのは、今後例えば登録していてから、じゃあその市民参加みたいなものを、環境だと環境グループがあるわけですよね。環境問題は万博協会の中の環境グループに行けばいいんだっていうふうに一応あるんだと思いますけれども、市民グループっていうと、今までどちらかというと反対する市民等も含めた市民対策グループであって、市民参加を促進するようなグループではなかった。これについてこのままでやっていかれるおつもりなのか、それともそういう形で窓口でちゃんと受けていただけるのかとか、あるいは今プロデューサーが出てくるだとか何だとか巷にうわさがあるんだけども、そういうものというのは、これまでの検討会議で言ってきたようなことがどういう形で継承されていくのかとか、その辺の構造がぜんぜん見えないところで、ひょっとしたら役目済んだんだからもういいじゃないのと、「やりたければ勝手にやんなさいとおっしゃってるのかなあ」と木村先生がおっしゃるような状況に多分なってると思うんですね。そこら辺がぜんぜん見えてないっていうことが、かなり疑問を呼んでしまうんじゃないかなって私は感じたんですけども。すみません森山先生どうぞ。

□ 森山委員

私の質問は簡単です。森さんにお尋ねしたいんですけども、これは確認ですけども、海上の森の保全・活用法に関する会議というのは、当然万博を視野に入れてるわけですね。それとも遠い将来、万博後の海上の森をどうするのかというところに重点をおいて、万博の時にどのように利活用するかということは別の問題なんですか?ここが僕は重要なポイントではないかというふうに思うんです。当然それも含まれているものだとすると、この会議がどういう形で作られていくかということが非常に重要なポイントではないかというふうに思うんですね。この検討会議から全くかけ離れてしまう形で作るのか、それとも何らかの関係を持ちながら作るのか、という問題も出てきますし、その辺のところは森さんはどんなふうにお考えになっているのか、きちっとお話いただければ・・・

□ 森局長

直接といいますか、県が元々海上の森の整備をするというのはですね、まず登録会場というのではありませんので、より広い範囲で博覧会と関連をしながら、博覧会場を中心に博覧会の展開はまず行われますね。それも踏まえて2005年後長期的にそこでの事業主体がどうでてくるのか、あるいはそういう事業主体によってなされる事業が、多分複数になると思うんですけども、そういった調整を行いながら、先程申し上げたような私どもとしては学びと交流の森といいますか、そういったものにしていくことになるかなということと、多分森山委員がおっしゃりたいことは、博覧会のときにどうするかということだと思うんですね。そこは実は回廊の議論だとか色んな議論がありまして、まさに博覧会の登録会場の中で行われることと、どう関わりを持てるのか。そこはまだ私は実は充分に見えてきてないというふうに思っています。ただ、少なくとも申し上げたいことは、エリアの中で何が行われるかということがまず明らかになっていって、それとの関わりで博覧会のエリアの外にあります所と博覧会の中の展開とがどうリンクするかということが次に出てきて、そのまた線上に先程私が申し上げた2005年後に更にそれが引き継がれる形で、更に新しい事業が立ち上がってくるかもしれません、2005年後の連続線上にですね、そういう形で物事が進んでいくのかなあという風に思っておりまして、まだそういう意味では、博覧会会場の中と外が連携するような格好で、これからまだ検討していくべきことだと思っております。

□ 森山委員

要するに、海上の森の登録会場としての海上の西地区と540haという非常に広い面積の森との、その万博における活用も、当然の事ながらこの会議の射程に入っているということでよろしいですね。

□ 森局長

海上の森の会議が独立して動くわけに行きませんので、というのは当然それは森山委員も認識されているんでしょうけども・・・

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