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13 生態系

13-01

2,500万人もの入場者で森の生態系は必然的に壊される。
森の生態系は、部分的に保護しただけでは守れない。
森林の改善による保全措置では、代償となるかどうかの評価ができない。  

見解

周辺に残される森林域を含めて考えると、土地造成と樹林の伐採によって失われる森林の林縁効果を代償するような造成緑地づくりと、残される森林の適正な保育・管理によって代償効果を生み出すことはできるのではないかと考えております。

13-02

食物連鎖の頂点に位置するオオタカ、フクロウの生息する海上の森は豊かな生態系であるので、全面保全すべきである。(他に同趣旨6件)
オオタカ、フクロウ等、非常に豊かな生態系であることが明らかである以上、新住事業や博覧会事業で海上の森を潰すべきでない。  

見解

会場候補地内の動植物・生態系への影響については、実行可能な範囲で回避・低減できるものと判断しました。  

13-03

オオタカ、ハチクマの営巣期における高利用域はわずか2ヶ年の調査で結論を出しており、慎重な再調査、再評価の必要がある。(他に同趣旨1件)
開発予定地が見えない地点からの観察記録により作成されたオオタカの営巣期高利用域の図は全く信用できない。
オオタカの調査期間としては1.5年以上の調査期間が必要であるにもかかわらず、このように早い段階で準備書が公示されたことは大変遺憾である。
オオタカの行動圏全体をカバーする範囲を調査した上、予測評価し直すべきである。  

見解

会場候補地内には全体が一望の元に観察できる場所はなく、オオタカ等の出現状況により、会場候補地外も含め、地点を変えながら調査員を適切に配置し観察し、加えて早朝の踏査によるなき交わしの確認等も実施した結果、オオタカの営巣地が会場候補地外に存在することが判明しました。しかし、それが移動する可能性もあることから、調査を継続して実施することとしています。  

13-04

博覧会協会と我々のオオタカの調査に違いがある。調査方法に問題があり、行動域の把握調査に不備のあるままで、保護方策の検討は正しいものになるはずはない。オオタカなど猛禽類についてはマニュアルにしたがった調査をはじめからやり直すことを要求する。  

見解

この準備書は、平成8年及び平成10年の調査データを用いて評価しており、それによりオオタカの営巣地が会場候補地外に存在することも判明しました。周辺部を含めれば利用頻度が比較的低い場所に改変域があたっていたということでありますが、今後も調査を継続してまいります。  

13-05

オオタカ、フクロウの工事の騒音・振動による影響を考慮すべきである。
オオタカ保護のためすべての工事の中断という項目が必要である。  

見解

オオタカ等については、営巣期間内は営巣中心域での重機の稼働及び工事関係者の立ち入りは行わないことなどの配慮事項の徹底により、生息の維持ができなくなるというような影響は回避できると判断しております。
なお、今後も継続した調査を実施することとしております。  

13-06

オオタカの食痕による採餌状況が非常に少ない。少なくとも繁殖期には毎月1回、オオタカの出現した地域をローラーをかけるようにくまなく踏査すべきである。

見解

オオタカの行動圏域等の把握のための定点観察調査、踏査調査を毎月1回実施しましたが、会場候補地外の営巣木付近以外では、オオタカのものと断定できる食痕は発見できませんでした。  

13-07

オオタカ、ハチクマ、フクロウでいえば営巣可能な木の分布について専門家を交えて調査することも必要である。  

見解

現在の知見では、営巣可能な木の分布について把握することは難しいと考えております。  

13-08

今後のオオタカの繁殖についてどんな代償措置をとっても悪影響を排除することはできない。人の入り込みによってオオタカ、フクロウの餌となる鳥が減少することについて影響評価がなされていない。(他に同趣旨2件)  

見解

餌量の減少としては、直接改変による影響が大きいと判断しております。博覧会開催中の人の入り込みによる影響については、一時的な忌避反応による影響はあっても、それにより餌量を判断すべきものではないと考えております。  

13-09

オオタカの調査データは既存資料に支配されており、さらに、新住宅事業については全くオオタカ保護のための調査すらもっていない。愛知県、博覧会協会はオオタカ保護の立場に立っていない。オオタカ保護の立場に立って調査をはじめからやり直すことを強く求める。
オオタカの高利用域の判定にあたってはメッシュサイズ、調査回数等に不備がある。準備書の信頼性を根底から覆すことになる。また、営巣期の高利用域のみでなく、非営巣期の高利用域の判定も大規模事業においては必要とされる。
オオタカの営巣中心域の判定は不十分である。  

見解

平成10年調査については、環境庁のマニュアルを参考に専門家の指導も得て実施し、適切に行われたと認識しております。なお、今後も適切な調査を継続していくこととしております。  

13-10

ムササビ、オオタカ・ハチクマ、ハッチョウトンボ、ゲンジボタルについての「実行可能な範囲とは」の意味は、理解できない。  

見解

技術的に確立されていないことや事業者が行う上で膨大な時間や費用をかけなければできないものは「実行可能な範囲」ではないと考えております。  

13-11

2つのオオタカの営巣地は会場候補地からはずれているので直接の影響はないと安易な結論を出すべきではない。  

見解

営巣中心域への直接影響はないと予測しているものであり、オオタカへの影響については、全くないのではなく、生息の維持ができなくなるというような影響は、回避できると判断しております。  

13-12

フクロウの消失により食物連鎖における階層構造の変化で生態系が壊滅的になることが読み取れる。生物にとって餌がなくなるとは、死を意味することで、「保全措置」は、不確実性の高い「代償処置」で補うことはできない。(他に同趣旨1件)  

見解

フクロウの3番の内1番に影響が出て、食物連鎖の階層構造に変化が生じる可能性があることから、地域整備事業において、改変区域の緑化計画の実行等の保全措置により影響の低減を図ることとされております。また、ご意見については、愛知県にもお伝えいたします。  

13-13

猛禽類(オオタカ)の繁殖・生息等の公表を行った以上密猟対策を関係機関の責任において実施するように。  

見解

準備書中のデータは、希少種保護の観点から位置情報については、詳細を掲載することを控えております。  

13-14

オオタカについては、営巣場所選択の時期、工事対象地付近に営巣した場合の工事停止、会期中の人のにぎわいの問題等に対する予測評価に疑問。工事の騒音等の対策で繁殖の継続が得られているかどうか事例を用いて示す必要がある。  

見解

準備書での記述のとおり営巣期間内は営巣中心域での重機の稼働及び工事関係者の立ち入りは行わないこと、オオタカの営巣中心域に直接改変が及ばないことから、影響は回避・低減できると判断しております。  

13-15

オオタカ・フクロウ・カワセミを頂点とする食物連鎖に関する調査方法や評価方法に誤りが多い。(①食物連鎖には誤りがある。②中型の鳥の体重がいいかげん。③中型の鳥の生体量がでたらめ。等)。
フクロウを中心とした主要餌生物の現存量とその量的関係について、残存森林や緑化計画での保全措置は他の鳥類以上同様不十分である。
オオタカの餌生物である中型鳥類の現存量の算定方法を示すべき 中型鳥類環境類型毎の季節別現存量を図中に数値で明記すべきである。(他に同趣旨6件)
主要生物群の量的関係は科学的に非常識な結果であり、再調査が必要である。  

見解

生態系については、技術的な調査手法などが確立されていない中で、専門家の助言も得つつ現在の知見により、できる限りの手法で調査等に取り組んでおります。
なお、詳細については準備書の「オオタカ・フクロウ生息圏における主要餌生物群の現存量とその量的関係」の中に掲載いたしました(p.666~)。  

13-16

フクロウの育雛期の環境類型別の小型哺乳類の現存量の算定方法を示すべきである。
フクロウの育雛期の環境類型別の土壌動物の現存量を算定したもとになる、環境類型に対応する調査区域内採集土壌動物重量が資料にないので明記すべきである。
フクロウのエサのネズミ類のエサとなるコナラ等の堅果の種子現存量の算定方法を明記すべきである。  

見解

準備書において、「フクロウを中心とした主要餌生物群の現存量とその量的関係」の中に掲載いたしました。(p.676~)。  

13-17

生態系の特性と自然との触れ合いの場としての意義を踏まえて、「里山」の再評価を強く要望する。(他に同趣旨2件)
里山という言葉がどこにも出てきておらず、多種多様な生き物を育む里山の生態系を重視していない。
里山の評価を生態学的に行うこと。(他に同趣旨1件)
里山としての観点から生態系を評価しなければならない。
里山の自然環境保全よりは、里山利用の観点が強調され、二次的自然としての雑木林の評価が低く見積もられている。雑木林の減少が生物の多様性の低下に影響を及ぼすか言及されていない。
里山利用のみの観点から書かれており、里山の自然を軽視している。  

見解

本環境影響評価は、明示的に「里山」という要素を項目として取り上げてはおりませんが、会場候補地の特性を把握するため様々な調査を実施し、これらの結果をもとにこの地域の環境特性を求め、影響の程度を予測したものです。  

13-18

ウンヌケを生態系の指標として位置づけたのは決定的な誤りである。  

見解

会場候補地を特徴づける貧栄養で疎開している立地に生育する植物であるウンヌケを生態系の指標として位置づけております。  

13-19

渡り鳥の実態を把握すべきである。  

見解

サンコウチョウ、サンショウクイ、オオルリ等の渡り鳥については、繁殖期に随時調査を追加実施し、巣や個体の確認に努めました。  

13-20

植物群落を植物社会学的な手法で予測評価することを求める。  

見解

植生については、植物社会学的手法で予測・評価を行っております。  

13-21

普遍種の絶滅危険性のリスクを評価してほしい。  

見解

絶滅危険性のリスクの予測については、特定地域を対象とした環境影響評価における適応技術に関して知見の蓄積が不十分であり、本環境影響評価では採用しておりません。  

13-22

キツネ、タヌキは行動域、テリトリーの分断から現地での繁殖活動が阻害されると思われる。  

見解

会場計画の熟度に応じて、今後適切な配慮を検討してまいります。  

13-23

生物量と種の種類数の関連を研究調査し、その観点から動植物評価をすべきである。
現在のひとかたまりの生態系を分断化する事業の影響は、1年の調査で「影響は回避・低減できる」と結論づけることは、注目種のみの調査が中心であることから困難ではないかと考えられる。
数多くの生物種が分布していることの重要性が評価されていない。個々の種の評価だけでなく、総合的な生物相の評価が必要である。
吉田川沿いには、カワセミ、アオゲラ、サンコウチョウ、ギフチョウ、ムササビ、ゲンジボタル等、これらの種のセットとしての評価がなされる必要がある。生態系は、それぞれのサブシステムが共存して全体としてのまとまりを保っているので、きちんと評価しなくてはならない。
準備書は、生態学の専門的な立場から検討したところ、適切さを欠く内容と判断された。「計画」を根本的に見直すこと。
生態的な予測は、数理モデル的手法等を用いて科学的・客観的な予測を行うべきである。
経年的・歴史的観点に立った調査が必要である。
生態系の調査が一年では不十分、継続した再調査をすべきである。
里山自然の生物多様性について総合的な調査と評価が必要である。
貴重種の保全だけでなく普通種の動植物も保全してほしい。
オオタカやフクロウなどへの影響について、個体群生態学や群集生態学の調査手法等を用いて検討すべきである。
オオタカの個体識別なしに行動圏は理解できるはずがなく、行動圏の把握なしに正しい保護方策の検討ができるはずはない。

見解

生態系については、技術的な調査手法などが確立されていない中で、専門家の助言も得つつ現在の知見に基づき、いろいろな手法の調査に取り組み、その結果をもとに予測及び評価を実施しております。
なお、今後も適切な調査を継続して実施してまいります。  

13-24

会場候補地内の非改変部分を事業対象地外、ある時はオン・サイト・ミチゲーションの場と捉えているのは不統一である。  

見解

博覧会においては、会場候補地内を全て対象事業地として考えております。なお、今後の会場計画の熟度に応じて、環境への配慮を検討してまいります。  

13-25

生物多様性の諸要素の保全と生態系プロセスが全体として保障されるような会場計画の見直しが必須である。   

見解

動植物、生態系への影響については、回避・低減できるものと判断しておりますが、今後、会場計画の熟度に応じ、引き続き環境への配慮を検討してまいります。  

13-26

淡水魚類の現存量の推定で各個体体長及び体長から体重への算出方法を明記すべき。
淡水魚類の現存量推定は正しいのか。
カイツブリも淡水魚も現存量の値が記載されていないが不十分な影響評価は許されない。  

見解

準備書において、「カワセミ・カイツブリに着目した食物連鎖の関係性」の中に基本的な事項について掲載いたしました(p.687)。