サイト内検索

自然環境に配慮した会場づくり

リユースを前提にして作られたモジュール(グローバル・コモン)

グローバル・コモンは公式参加国や国際機関が集い、国や文化の違いを超えて<地球大交流>を実現するためのステージです。6つのコモンがあり、それぞれ大陸を基本とした地域別の構成で、グローバル・ループに隣接して作られています。コモンごとにまとまりのある空間を作り出し、広場としてのランドスケープをデザインしています。

いままでの万博は、各国が自由な発想で奇抜なパビリオンを建設していましたが、愛知万博では全ての国に再利用(リユース)がしやすいモジュール方式と呼ばれる構造物の使用をお願いしました。モジュール方式とは、縦18m・横18m・高さ9mのユニットを協会が建設して各国に提供するシステムで、一定のルールの下で各国は内外装に個性を発揮することができます。参加国の規模によって、1モジュールに複数の国が参加したり、また一つの国で5つのモジュールを結合して使用しているところもあります。このモジュール方式を採用したことにより、費用負担の面からもより多くの国が参加しやすくなった、といえます。

このモジュールは万博閉幕後、解体してリユースしていきます。倉庫や資材置き場としての利用などが見込めます。各国がバラバラに設計した場合と比べて、リユースできる部材の比率は格段に高いと予想しています。巨大な建築スクラップの発生を避けるための新しい考え方の取り組みでもあります。3Rを目指したこのモジュールの採用は一見地味に感じられますが、これからの環境の時代を先取りした方式と言えるかもしれません。

1モジュールの参加国

1モジュールの参加国

複数のモジュールを結合した参加国

複数のモジュールを結合した参加国

世界をつなぐ空中回廊「グローバル・ループ」(長久手会場)

 これまでの国際博覧会は開発型が多く、広大な平地を作り出し、そこに最先端の建築物や技術を展示し、国威発揚・産業振興を目的にしたものが中心でした。愛知万博は会場の決定までには紆余曲折があり、結果として開発型を取り止め、自然の地形をそのままいかした会場作りに、コンセプトを大きく変更してきました。このような会場作りは万博150年の歴史上初めての試みです。
 長久手会場はもともと愛知青少年公園だったところで、野球場やテニスコート、スケート場などが起伏に富んだ地形の中に点在していました。その自然の地形の中を来場者が自由に移動できるように考案されたのが、この「グローバル・ループ」です。起伏のある地形や池の改変を最小限に、また希少な動植物の生息にも配慮し、それらを迂回しながら設計されています。このグローバル・ループから6つのグローバル・コモンと企業パビリオンへ接続されており、ループを歩いて世界一周ができることになります。グローバル・ループは全長2.6km、幅21mのひょうたん形で、地面から最も高いところは14mあります。
 一方、歩行部分は来場される方々にもやさしい水平に近いバリアフリー構造で作られています。最大傾斜度は3°で、ところどころ水平部分が設けられています。これは車椅子のスピードがつきすぎないように配慮されたものです。路面はアスファルトではなく、木材が使われています。幅21mをほぼ均等に3つの部分に分け、中央部分は廃木材と廃プラスチックを50%ずつ混ぜ合わせた材料で出来ており、両サイドはブラジル産ユーカリの植林材が使われています。またその一部に愛知県産のスギの間伐材も使用されています。ループを歩いてみると「木質の柔らかさが靴からも伝わりとても気持ちいい」と視察に来られた方からの評判も上々です。中央部にプラスチックを含有した材料を使用したのは、トラムの通行や緊急車両の動線として使われるため、十分な強度が必要であるためです。

(左)建設中のグローバル・ループ、(中央)地面から14mの高さのループ、(右)バードビュー(中日新聞提供)

(左)建設中のグローバル・ループ、(中央)地面から14mの高さのループ、(右)バードビュー(中日新聞提供)

間伐材

一部の木を伐採することで残った木の生長を促し、森林の健康を守ることを間伐と呼び、伐採された材木を間伐材といいます。間伐しなければ木の根付きが悪く、大雨による土砂災害や、倒れた木が川に流出して河川沿いの人家に大きな被害をもたらすこともあります。