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11 植物

11-01

シデコブシの40%絶滅は避けるべきである。  

見解

本博覧会事業による消失面積率は1.5%ですが、他のシデコブシ集中分布地が良好な状態で残されるよう、関係機関との連携・調整を図りつつ、必要に応じ適切な措置(移植の採否も含め)を講ずることとしております。  

11-02

シデコブシのアロザイム分析において交雑が全く考慮されていないため、一部集団が消失した分を単純に差し引いても多様度が低下しないのは当然である。
シデコブシのアロザイム分析を採用したことは評価するが、その結果にたよって自生地を改変する影響の大小を評価することには異議がある。  

見解

アロザイム分析は、単純に消失集団を差し引くのではなく、消失した残りの集団を評価するものであり、遺伝子多様度維持の観点から行っております。  

11-03

シデコブシは永続的な存続を維持できるレベルギリギリのところまできているため、代償的な保全対策ではなく、全面的な保全策を目標にすべき。
シデコブシは「注目される植物(絶滅危惧Ⅱ類)」となっている。住宅開発や万博で伐採できるのか。
シデコブシの群生地は、100%保全。(他に同趣旨1件)  

見解

シデコブシは、植物版レッドリストにおいても、絶滅危惧種の3番目のランクであり、極めて危機的な状況ではないと判断しておりますが、種の多様性維持のために、遺伝子分析調査を行っております。  

11-04

遺伝子多様性の保全とは、「頻度の低い遺伝子を喪失させない」ことである(①遺伝子の調査は各グループ100個体は必要。②シデコブシの遺伝的変異全体を視野に入れた保全策を考えること。③集団の距離からのグループ化には、統計的な有意性の検定が必要。④遺伝子分析を、ヒメミミカキグサ、ヒメタイコウチ等の種についても行う)。
遺伝子多様度の評価を、1集団あたり30個体程度の分析では不十分である。  

見解

遺伝子多様度は、頻度が高い遺伝子(その集団で量的に多い遺伝子)が消失すると増加し、頻度が低い遺伝子(その集団で量的に少ない遺伝子)が消失すると低下するため、遺伝子保存に必要な事象は反映されると判断しております。なお、調査個体数の少ない集団については、全数サンプリングしているため、統計的な有意性は問題にならないと判断しております。
遺伝子分析については、周伊勢湾要素植物として、当該地域における情報が豊富で会場候補地を特徴づける植物の一つでもあるシデコブシについて実験的な取り組みとして行ったものです。  

11-05

アロザイム酵素多型による遺伝子分析は調査の一つの方法であり他の手法と合わせて使われるべきである。  

見解

アロザイム分析は遺伝子分析では一般的な方法ですが、環境影響評価において用いられた例がなく、本環境影響評価においては実験的に試みたものです。  

11-06

シデコブシの絶滅リスクを評価する上で、個体数を減少させることによる生態学的効果を評価されていない。  

見解

生態系の評価は、知見の蓄積も不十分の中で、環境影響評価法の趣旨を踏まえた要領に基づき可能な範囲で行っております。  

11-07

集団の遺伝子多様度の評価では、集団数が減少すれば、遺伝的変異の消失が促進されることを考慮する。遺伝的浮動がどれだけ強まるかを評価する必要がある。  

見解

遺伝子浮動の強さを評価する方法については、アセスメントにおける適応技術において、現時点では知見の蓄積も不十分であり、本環境影響評価において取り入れておりません。  

11-08

シデコブシを移植して例え生き存えたとしても遺伝子が混乱するのではないか。
スミレサイシンやウスバシケシダなどに試みられる移植について疑問である。
植物の移植等の代償措置の具体的内容を示すべきである。
代償措置として移植を考えるべきではない。(他に同趣旨9件)
移植等の手段で保全すると書かれているが、他例での実績を示していただきたい。  

見解

本事業において、現時点で移植は、検討しておりませんが、今後計画の熟度に応じて、適切に保全措置を検討してまいります。  

11-09

一つの谷のシデコブシを消滅させるということは、その遺伝子を消滅させるということであり、絶対避けなければならない。

見解

どの程度他集団の遺伝子を共有しているのかについてアロザイム分析を行い検討いたしました。  

11-10

注目すべき植物種の直接改変による影響」と「注目すべき植物種からみた保全重要性の高いエリアに関する直接影響」の表において、シデコブシに対する影響予測に関する表の整合性がとれていない。  

見解

「注目すべき植物種の直接改変による影響」では、全てのシデコブシに対しての影響について予測しており、「注目すべき植物種からみた保全上重要性の高いエリアに関する直接影響」では、シデコブシが特に集中して分布するエリアを抽出してそのエリアに対する影響について予測しており、全てのシデコブシについて予測したものではありません。  

11-11

シデコブシがわずかに消滅とは何本のことか明記すべき。  

見解

本事業による保全重要性の高いエリアでの消失本数は8本です。  

11-12

カザグルマの影響なしは本当か?(他に同趣旨1件)
カザグルマの自然観察ができるようにしていただきたい。(他に同趣旨1件)  

見解

直接改変する場所にはカザグルマは確認されておりません。
また、自然観察ができるような環境体感プログラム等についても検討してまいります。  

11-13

里山の雑木林は、自然度だけで評価するのは好ましくない。
Aゾーン、Bゾーン、Cゾーンと分けて植生(植物群落)評価をすることはナンセンスである。森林の種多様性の評価としてα多様性、β多様性、γ多様性についても評価する必要がある。
里山の生態系を基本的に支えている落葉広葉樹を軽視している。
雑木林への評価が低く、生態系を全く理解していない。
植物群落特性評価の根拠を示してほしい。
植生(植物群落)の評価が、自然度の高い植生・希少な植物群落に偏っており、アベマキ・コナラ林、アカマツ林が意図的に低く評価されている。
コナラ・アベマキ林の総合的な価値の調査と評価が不十分。  

見解

調査手法については準備書p.182以降に、評価手法については準備書p.186以降に記載しております。
また、調査項目については、植物社会学的手法による群落域の抽出、生産生態学手法による植物の現存量の把握等いろいろな観点から調査及び予測・評価を行っております。  

11-14

貧栄養湿地植生について、湿地の遷移の方向性を結論づけているが、森林の発達と地下水の関係はまだ明らかにされていないので、立地が安定すれば遷移が進行し湿性低木林へと移行していく傾向がみられるという理論は通用しない。(他に同趣旨1件)

見解

地下水流動の維持、また、地下水流動に伴う小規模な斜面の崩壊と土砂細粒分の移動などの動きについて調査を行った結果に基づき評価しております。  

11-15

生態系の全量採取法による調査結果及び植生調査の組成表に記載のあるオオミヤマガマズミなどの植物が、高等植物種確認リストに記載されていないなど、調査の方法に疑問を感じた。
高等植物確認種集計表の値が新住アセスと異なるがどちらが違うのか。
魚類の分類が名古屋瀬戸道路アセスと異なっているがどうしてか。  

見解

準備書において一部誤りがありましたので、評価書において修正いたします。  

11-16

「注目すべき種」と「保全すべきエリア」についてが概念が混乱しており、言葉の使い方が根本的に違っている。  

見解

準備書では、判断の一つの目安として「注目すべき動植物種」を一つの観点として取り上げ、予測・評価をしております。それらが集中的に分布しているエリアを一体の空間と捉えてその一体的保全を保全目標の一つに上げて回避・低減等を検討しております。  

11-17

注目すべき植物で、直接改変を受ける面積が名古屋瀬戸道路アセスと異なる。  

見解

名古屋瀬戸道路と本事業との調査対象区域面積が異なるためです。  

11-18

植物種の現地目視観察が不十分である。 

見解

フロラリスト(平成10年調査)に掲げた種については基本的に現地又は標本により学識経験者によって確認されているもののみをのせています。組成表の種についても種名の正確性を期すために植生調査段階で種名確定できないものについては後日観察して種名の確認努力をしているとともにフロラリストとの照合作業を実施しました。
会場候補地内はこれまでに幾つかの団体が詳細な植物相調査を実施しており、その結果も公表されております。従って、原則として、平成10年調査では注目すべき植物種を主眼とする調査としており、植物相については注目すべき植物種調査の際に既存調査結果の追加確認を実施し、フロラリストを作成しました。  

11-19

林種別現存量の計算表で幹材積等の算定根拠を示すべきである。(他に同趣旨1件)
各アセスにおける伐採木量の算定根拠を明記すべき。
植物群落の現存量では、植生タイプ毎では不十分、成長の違い等、特性を考慮し、さらに、土岐砂礫層地域、花崗岩地帯に区分して解析することが必要である。

見解

幹材積等については、準備書のp.522に記載したとおり、愛知県資料及び図上計測値を基に算定しております。
また、伐採木量については、植生現存量分布図と直接改変域を基に図上計測しております。  

11-20

大木についてもアセスが必要である。
蘚苔類・菌類が評価の対象となっていない。(他に同趣旨4件)
土壌微生物、ネズミまで調査すべき。
「自然との触れ合い」について、触覚、味覚、聴覚、臭覚の環境調査を実施すべき。  

見解

現時点で蘚苔類・菌類等の環境影響評価における適用については、知見の蓄積が不十分であるなどから、本環境影響評価において取り入れてはおりません。  

11-21

植物種及び群落の保全については、それら周辺の植物種や群落を含めた立地及び現在まで生育している歴史等を考慮した保全策が必要である。  

見解

本事業により影響が予測されるシラン等の保全策につきましては、いただきましたご意見を参考とさせていただき会場計画の検討を進めてまいります。  

11-22

注目すべき植物種の間接的影響に対する保全対策の実際に成功した実例報告はあるのか。
「間接的影響が想定されるエリア」の範囲がごく少なく見積もられているのではないか。  

見解

博覧会事業として、保全重要性の高いエリアに生息する注目すべき植物種について、工作物の出現による間接影響が想定される場合には、追跡調査を実施し、必要な措置を検討することとします。  

11-23

絶滅危惧種である、クサナギオゴケ、キイムヨウランなど場所が確認されていないものは、再度今年の開花時期に調査を行い、影響回避の対象とすべき。
ミズニラ、クサナギオゴケ、ヒメカンアオイについては、位置情報不明のまま影響を予測しないというのは、影響予測の放棄に等しい。  

見解

同種については、平成10年調査においても注目種調査として、開花期に合わせて調査を実施しましたが、確認できておりません。また、確認情報の提供をお願いしていましたが、情報の提供はありませんでした。  

11-24

コハクウンボク、ミズメ、コミネカエデ、クマシデ、フサザクラが海上の森にみられることは普通ではなく、とても貴重な森であり、また、学術的にも意味があり、海上の森を保存すべきである。  

見解

ご指摘の植物種については、平成10年調査では確認できておりません。  

11-25

保全される森林の多様性維持・回復のためには立地に合った植栽計画が必要である。  

見解

会場候補地内の緑化については、ご提案の趣旨も勘案して、適切に対処してまいりたいと考えております。  

11-26

植生で、年間炭素固定量等はいつ誰が調べたのか。
林種別炭素固定量計算表で幹成長量等の算定根拠を示すべきである。  

見解

準備書のp.523に記載しており、愛知県資料及び図上計測値を基に算定したものです。  

11-27

注目すべき植物で、直接改変を受ける種と株数について明記すべき。  

見解

準備書p..538に記載しております。