2005年日本国際博覧会 The 2005 World Exposition , Japan
土地利用を計画するにあたり、これまでの検討過程において、会場候補地をA・B・C3ゾーンに区分して、次のような方針のもとに会場計画の検討を進めてきたところである。
(1) Aゾーン | 展示施設等の施設・工作物を主として配置するが、できるだけ地形や水系に配慮した利用を検討する。 |
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(2) Bゾーン | 現況の森林をまとまって残し、自然環境の保全に配慮した限定的な利用を検討する。 |
(3) Cゾーン | 森林を活かして自然環境の特性を踏まえた保全・利用を検討する。 |
その後、会場計画の検討を進める過程において、Aゾーンの区域の中で主として展示施設等の施設・工作物を配置する区域を「主要施設地区」とし、また、Aゾーンの区域の中で森林のまま残す部分並びにBゾーン及びCゾーンの区域の中で森を体感する機会を提供する区域を「森林体感地区」として配置することとした。
なお、希少種がまとまって見られるところは、希少種を含む多様な生き物の生息・生育環境を保全するために、現状の森林をできるかぎりまとまって残すこととする。
なお、土地利用計画を検討するに当たっては、地域整備事業との整合性を十分に図り、博覧会開催に伴う環境への負荷等を低減する観点から、先行して整備される新住宅市街地開発事業の一部区域及び既存の造成地(上之山町地内)の適切な利用を前提として、全体の施設等の計画を検討している。
平成17年3月25日から同9月25日まで(185日間)
約2,500万人
なお、計画基準日における入場者数は275,000人とする。
午前9時から午後10時までに入退場することを基本として、閉鎖時間帯を設けず24時間連続して開催する期間を設けることも含めて、今後、検討を進めていく。
本博覧会は、国際博覧会条約に基づき開催する博覧会であることから、外国政府の出展スペース等、規約上必要となる諸機能を有すること、また多数の入場者が集まる場所であることから、観客への基本的なサービス、移動等、快適な博覧会会場として必要となる機能を有することが求められる。
そのため、次に示す施設を設けることを想定しているが、詳細な計画については、今後さらに検討を進めていくものとする。
なお、地域整備事業により整備される施設は、本事業には含まないものとする。
本博覧会の各施設には、関係法令に基づき地震対策、火災対策等の災害対策を行う。また、博覧会会場全域について、防災・緊急時に適切に対応するため、警備・救急・消防等の体制を備える。
さらに、入場者の避難については、各種の災害、緊急時を想定し、多方向で開放的な避難経路の設定を行うとともに、スタッフによる適切な誘導により万全を期するものとする。
博覧会会場への主要な来場手段として、次に示すように、JR、愛知環状鉄道などの鉄道系と、バス、自動車などの道路系を想定している。このうち、鉄道系は全入場者の約40%が利用し、道路系は約60%が利用するものとして、輸送計画の検討を進めている。
また、博覧会会場内の入場者の動線は歩行のほか、場内シャトルバス、動く歩道、ゴンドラ等の移動手段による。また、歩行困難な方などには、電動車椅子、電動カート等の利用を検討する。
なお、来場手段及び場外駐車場の位置等アクセス交通の計画については、現在検討が進められている公共交通機関や道路整備計画、ITS(高度道路交通システム)等最新の交通システムの具体化にあわせて検討する必要がある。このため、今後、これらの計画主体と連携を図りつつ総合的な検討を進めることとしている。
本博覧会に必要な供給処理量と、博覧会会期後の新しいまちにおける必要量を勘案し、できる限り無駄の少ない供給処理計画とする。
また、21世紀のエネルギーシステムのあり方を提案するために、新エネルギーや省エネルギー技術を積極的に導入し、CO2排出量の削減や、効率的な運用が可能なシステムを導入する計画の検討を進めることとしている。
本博覧会は、会場候補地の立地条件を十分考慮して、人と自然の新しい関係を示す博覧会を目指している。そのため、地域整備事業の造成地部分等に予定している主要施設地区だけでなく、会場候補地全域に広がる森についても環境に配慮した上で、保全・活用を図ることとしている。
主要施設地区について、人と自然の新しい関係を示す博覧会会場とするために、次のように工夫している。
屋外の空間が、そのまま展示や体験の場となる屋外型展示空間を設ける(領域型展示空間)。
森林体感地区は、誰もが森を体感する機会を提供し、来場者がその中で楽しみ、学び、環境について考える場所として位置付け、さまざまな仕掛けの導入を検討している。
供給処理施設の配置計画については、会場候補地の地形、博覧会会場の需要の特質を勘案して、次のような計画とする。
エネルギーセンターの設置場所を検討するにあたり、主要施設地区の北地区、南地区及び西地区に各々1か所ずつ配置する案(第1案)と、主要施設地区の北地区又は南地区のいずれか1か所のみに配置する案(第2案)を検討した。
第1案の分散配置に比べ、第2案の集中型配置では、熱供給の配管長さが約2倍となり、ポンプ揚程も大きくなることから、配管の熱損失量は約1.5倍となる。これをCO2排出量で比較すると、第2案の方が約3%増加する。また、大気汚染物質(NO2等)濃度については、ほとんど差がないと推定される。
さらに、エネルギーの効率的利用の観点から最適エネルギーシステムの構築を目指しており、その中でリアルタイムに制御することを考える必要がある。そのためには、エネルギーセンターからの熱供給の配管長さをできる限り短くする必要があり、できるだけ分散配置したエネルギー供給システムであることが望ましい。
以上のとおり、環境への負荷低減及びエネルギーの効率的利用の観点から第1案を選択することとし、本書第2編において予測・評価等を行った。
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