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第4回「愛知万博検討会議(海上地区を中心として)」議事録

委員提案に対する質疑応答・論点整理についての合意形成

□ 谷岡委員長

大変多様な中身の濃い提案をしていただいた。その中でどう論点を整理していくかは大変難しいが、ある種の自由な議論を保証しながら少しずつ一定の方向性に絞っていきたいと思う。もちろん我々に課せられた仕事は海上の南地区・青少年公園を「どういう形で、どのような目的で、どの程度使うのか」までいかなければならないが、イメージが数値的な問題だけでない議論「こういうことをやるんだから、こういう施設を作る必要がある。ならば、このくらいのことはやってよいのではないか」といった議論の関係もあるだろうし、そこを全部度外視するということは無理だと思う。
いくつかの確認をしたい。まず、この万博が環境万博でとして、人と自然のよりよい関係を模索するものであるということに関してご異存のある方は? 

□ 各委員

返答無し

□ 谷岡委員長

もう一つ、跡地について何らかの形で恒久的に保全していく為の新しいタイプの公園化という方向性についてご異論は?

□ 糸魚川委員

私は、公園化に賛成していない。すでに愛知県には県立の公園がたくさんあり、国定・国営の公園が現実にある。公園というのは、手を加えるというのが原則としてあると考えるので公園とはしたくないと考えている。

□ 加藤委員

私は、跡地というと万博会場にするという前提があるので、そこのところが違っていると思う。公園化するということについては異論がある。生態系をそのままの状態で保全するという観点が必要。 

□ 谷岡委員長

議事進行の基本的なルールとして、直前の議論に対しての意見を優先的にしたい。

□ 森山委員

いきなりその問題を議論するより、たくさんの委員から出されている疑問点やBIE登録等の現実的な問題フ話し合いのほうが先ではないかと思う。

□ 谷岡委員長

その辺が読み取れなかったので、一応の確認をさせていただいた。これからの議論は基本的にフリーにしたい。森山委員からの提案で万博協会・事業者側の立場としては、今まで出てきた様々な疑問にどうお答えになるのか。どういう形の前提条件で考えているのかお聞きしたい。

□ 事務局

いくつか疑問点があったので、これまで説明していない中で、特に会場を考えるときに重要と思われる点について説明したい。
分散会場の提案のなかに、「登録会場」「協賛会場」という言葉が出てくる。まず「登録会場」は、BIEに登録する会場。ここに、公式参加者すなわち海外の政府・国際機関が出展する。登録会場である為には、開催国の政府が地域の管理の責任を持つということがある。但し政府が直接管理しなくてもよく、愛知万博の場合博覧会協会が管理の責任を持つ。
(管理する場所は複数でもよい)登録会場は保税地域(輸入する際にかかる関税が、博覧会に出展するものに限って関税を取らない)となり、保税の関係上、柵で囲うなどといった物の管理も必要である。また分散会場になる場合、公式参加者が出展するにあたって、BIEから公平にという指示がある。青少年公園と海上の森が離れている点についてもBIEから懸念が表明されている。
博覧会の運営という観点からも会場が分散すると運営上難しくなり、コストアップ要因にもなるということから、管理する会場が離れたところに複数あるという点については、主催者としても、できれば避けたい。
「協賛会場」は誰が運営主体になっても構わない。博覧会のテーマに沿っていれば日本中、世界各地に広がって構わない。望むところである。
BIEは公式参加者の利益が損なわれないようにという観点なので、公式参加者が出展するということが前提でない「協賛会場」については、BIEの規制はない。

□ 森局長

地域整備について述べたい。第2回の検討会議で「海上地区の活用と保全についての検討案」を出した中で、公園化という方向を出しているが、これは海上の森全体(540ha)を保全し活用するものである。一方で海上の森の保全を実行に移していくとなると、そこに博覧会をどういう風に経由していくかが大きなファクターとして働くと考える。内容的に活用策を具体的にどういう形で示すことができるか。また、2005年後にどう保全していくかは博覧会の展開の仕方に大きな意味がある。
博覧会の開催は、国、愛知県、NPO・NGO等様々な力が結集するということは大きな意味がある。
よって、ここに、公園的な整備を進めていくことが適切だと考える。

□ 林委員

私は、跡地という発想はとらないほうがよいと思う。今回の万博を里山でやるなら、一過性のイベントではなく、長い保全活動の一部として万博を計画するものである。環境万博といいながら、大量のゴミをだすという会場計画は立てるべきではない。100年~200年先を見通したものの中に博覧会がある。公園とすることは生産活動が存在しない。住民と切り離されたものであり、地域住民が参加し続けていく保全活動とは異なる。公園という発想は避けたい。
地域住民の生産活動を尊重したい。生産の方法が時代とともに変わるだけで、地域住民にとっては跡地ではない。

□ 森山委員

「登録会場」と「協賛会場」との基本的な違いは公式参加者が来るか来ないかということだが、そうすると、公式入場者数は「登録会場」の人数をいうのか。

□ 事務局

BIEに対していうのは、「登録会場」に入る人数になる。ただ、対BIE以外には規定がない。

□ 森山委員

そうすると、今まで算定していた2,500万人というのは「登録会場」に入る人数となるのか。

□ 事務局

その通りだ。

□ 谷岡委員長

基本的には、海上の森地区と青少年公園地区が会場対象であるとお考えのようだが、希望的なものは一切白紙で結論をお待ちなのか、なんらかのかたちの期待があるのか聞きたいと思う。今現在の想定入場者数および海上の森地区、青少年公園地区の活用方法について事業者側の考えはどうか。

□ 片山事務次長

4月4日の合意により、2,500万人という数字は変わらざるを得ない。海上地区をどの程度活用できるかについてはこの会議で議論いただいているので、一言では言いにくい。青少年公園地区と海上地区の利用比率はフィフティ、フィフティで検討してきた。海上地区の肩代わりを青少年公園地区がどの程度できるかも検討中。2割程度減はやむを得ないと考える。

□ 谷岡委員長

登録博についての人数の条件はあるのか。

□ 事務局

ありません。

□ 木村委員

2割減るのは「登録会場」だけでのことか。

□ 博覧会協会

北の部分がなくなったので、その減少によって2割減るということ。

□ 木村委員

「環境に配慮する」ことについては誰も異存がないが、その内容については千差万別である。そういった中で博覧会協会が「この会議で答えを出してください」というのは無責任だと思う。事業主体として目安を出してほしい。

□ 國分委員

博覧会協会が考えていることを、目一杯示してほしいと思う。先ほどからの海上の森を保全しつつ海上とする方法で、博覧会のエリアとして成り立つのかどうかを聞きたい。「パビリオンが必要」「出展者が必要」「海外からの参加者が必要」というものとのギャップが大きいと思う。成り立たないことを議論しても意味がない。また、検討会の一方的な結論を協会が飲めるのか。議論を無駄にしないためにも協会は目標、考え方を提示してもらいたい。

□ 森川委員

2,000万人という数字は採算ベースが入っていると思われるが、

  • 青少年公園はどう考えても10万~11万人の容量
  • 分散会場はいけない
  • 南地区に政府館を持ってくる

等を考えると、解が見つからない。そうするとどこかの制約条件を破らないといけない。その方法として

  • 海上の南地区を開発して10万人規模の会場にする
  • 分散会場を本気で考える
  • 採算性を度外視して1,000万人の博覧会にする

等大きな変化が見込めなければならない。

□ 山本(江尻)委員

長久手の町民としてお願いしたいのは、博覧会をやるという前提のもとで出席しているので、協会・行政側も積極的に話を出してほしい。はっきりした意見の上で有効な議論をしていきたい。そうでなければ交通アクセスなど地元住民の不安感は拭えない。第2回の会議で提案すると言ったが、ワープロが打てなく、遅れている。次回、提案の時間を頂きたい。

□ 島津委員

先ほど出した回答アンケートは、協会側に答えてもらいたいものばかりである。
この話をまとめる難しさは、各委員の提案は「コンセプトレベルの提案」「マスタープランのレベルの提案」等、レベルの違いがあるので、共通の認識が立ちにくいというものだが、実はコンセプトのレベルから協会側に考えていただかないと話にならないのでお願いしたい。

□ 辻委員

想定人員のもともとの根拠がわからないので、そこを考えたい。財政面から言っているのか。お金の取り方、お金のかけ方まで検討会議で議論してもよいのではないか。協会側に全てを任せると、今までと変わらない。協会側から経緯をよく聞いた上で、これからのことについて、検討会議で議論すべきではないか。

□ 國分委員

海上の森を極力保全して使い、最小の建物を建てて、博覧会として成立するのかという質問にまだ回答してもらっていない。

□ 片山事務次長

私自身は、単に博覧会をやればよいというものではないと考える。21世紀の人間のあり方を世界にアピールしていきたい。國分委員の質問である「どういうものでなければ博覧会として成立しない」かは、答えることは不可能である。しかし、やりたい博覧会としてある一定のものがある。
具体的には、保全の観点からの計画の見直しにより、シンボルゾーンは、北地区から南地区であろうと考えている。北地区は展示面積として2.5ha~3haを考えていたので、そのぐらいの施設を南地区に設置し、そこを中心に展開していきたいと考えている。国際的ゾーンは青少年公園に置く。ITSは難しいとしても、何らかの手段を考えて海上と青少年公園を一体会場としていきたい。

□ 森川委員

南地区を3.5ha、3万人規模の会場にしても、青少年公園を目一杯使っても14万人会場にしかならない。

  • 14万人会場で2,000万人を達成しようとしているのか。
  • 登録会場で1千万人規模になったときの問題は、採算性の問題なのか、参加国に対するアピールの問題なのか。
  • 協賛会場からの上がりのお金を博覧会やBIEへ入れるのか。 を教えていただきたい。

□ 事務局

登録会場の入場料収入の1%をBIEへゲートマネーとして収める。協賛会場からの収入については、博覧会協会が何らかのお金をいただく可能性はあるがBIEに対しての義務はない。「1千万人では採算が取れないので…」というのは理屈にならない。BIEとの関係で、2,500万人という条件で開催権を獲得しているので、大幅に割り込んでいくのは信義に反することになる。開催を争ったカナダの計画が1,400万人なので、1,000万人とはいいにくい。

□ 森川委員

最大でも14万人という考え方と、カナダとの関係を考えての2,000万人との整合性はどうなるのか。

□ 事務局

平準化を図ることによって、なるべくたくさんの人に入っていただく努力はしていきたい。

□ 森川委員

どんなに平準化しても1千6百万人が常識的な値である。

□ 國分委員

1日8時間として往復で1万人規模の輸送システムの案があります。60億円を掛けることにより、現状のルートを大きく改変せずにできる方法もある。人数の想定の仕方は色々ある。大事なことは、想定入場者数を上回る博覧会であってほしい。
やはり人数の想定も協会側から出していただくことが(理由も含めて)必要。

□ 片山事務次長

そのことについては、毎日考えている。会場の規模は、単に面積だけでなく、輸送能力も絡んでくる。従来のパターンでは季節によって入場者数は大きく変わり、大半の日が大幅に下回るのが普通である。それに対する対策は今のところないが、大きな課題であるので、調査・工夫をしていきたいと考える。

□ 森嶌副委員長

万博に何人来てもらったらいいのかという話をしているのではなく、海上の森地区にどれぐらいの人が入ることを想定しているのかを聞きたい。今までの経験からリスクを考えた場合、どれぐらいならば環境容量の範囲と考えているのかを示してほしい。協会としての数字を出して、それについてここで議論をすればよい。

□ 武内委員

今日は、協会が自分の意見を言い始めたと、むしろ評価したい。
今議論しようとしている一つの前提について話したい。海上地区に数万人を期待してるのか、数千人しか期待できないのかの桁の違いが大きな問題。この桁の違いは解決不能ではないと思っている。博覧会の会期中の収容力と会期後の収容力をどう考えるかという問題になる。開催時期の環境負荷について何らかの工夫がありうるのか、ありえないのかを議論してほしい。細かいことではなく、大きな合意が必要だと思う。

□ 吉田委員

問題点が2点あります。
一つ目は、大事な前提条件を示していない。
「緊急車輌が往復で通れなければならない」「VIPの緊急救助対応」という条件があると聞いた。南地区は2.5haから3.0haの会場を作ることよりも、大きな道(巾30m)を作らなければいけない事のほうが問題である。登録会場にするのに本当にそれが必要なのか。必要であるなら南地区は無理である。
二つ目は、政府館についてである。4月4日の案では日本政府館を南地区に作るということだが、青少年公園に出展する外国館と離れた位置になり、外国から見れば政府館は遠くに作ってほしくないのではないか。

□ 谷岡委員長

今の時代、道を作る代わりにヘリコプターで運んだらどうでしょう。

□ 事務局

救急体制については、BIEから説明を求められる。しかし、数字として30mとは示されていない。通常地方博も含めて、だいたい25mは欲しいという話は聞くが、救急車が通れればよい。
政府館の位置については、青少年公園の中にも政府の出展がほしいとBIEよりアドバイスがあった。

□ 谷岡委員長

皆さんの話には、オプションが3つしかない。「環境への負荷」「入れたい人数」「分散会場はだめ」の3つを満たすということは、不可能である。どこかを破らないといけないが、どれを破るのかを決められない。
「環境への負荷を無視して万博を開く」のか「分散化しても規模を確保する」のか「採算を度外視しても、海上の森と青少年公園にはまるような規模で考える」のか、黒田総長にお聞きしたい。

□ 森嶌副委員長

「北から撤退しても、海上の森・青少年公園のいずれも負荷の容量を越えないでやれる方法があるか」という選択肢もある。

□ 黒田事務総長

毎日こういう議論をしてきた。今まで「2,500万人の博覧会を海上の森でやるべき」という日本政府・愛知県からの提案をもとに作業してきた。海上の森と青少年公園で2,500万人入る博覧会をやることは、環境上あり得ないといった議論は、今まではなかった。 あそこに町を造るという当初の構想はすばらしいと今も思っている。
大阪の花博の2,300万人、筑波の科学技術博が2,030万人ということを考慮して、2,500万の目標となった。様々な経緯を経て今にいたるが、南地区を念頭に置きながら、展示面積ベースで、1日2万人~3万人が入れる会場ができると考えている。先ほど森川委員が、「14万人の規模で2,000万人の博覧会はあり得ない」と、断定的におっしゃったが、やってみないと分からない。何らかの工夫をお願いしたい。
BIEに対する登録は、ある程度限定したものにならざるを得ない。
分散会場については、とるべき手段ではないと考えており、現在検討対象になっていない。
森嶌副委員長のご質問は難しい。実際にはルートが限定されているので、入れ込み人数はコントロール可能である。環境容量が過大にならないようにするのは当然のことである。