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第5回「愛知万博検討会議(海上地区を中心として)」議事録

自然の保全と活用について・討議・その他

□ 谷岡委員長

では会議の方再開したいと思います。皆様少しお腹に入れられて、これからの壮絶なバトルのエネルギーも十分補給なさったと思いますし、だいたいさまざまな資料が出そろいましたところで、ここからそういう形にはいりたいと思います。もちろん協会からの提案等が出ておりますので、みなさん噛み付く用意をなさっているのではないかと想像するわけでございますが、まずですね、やはりこの間何人かの方々からどの辺の所がどんなふうに論点になってるんだろうなということで、論点の整理をするべきだと言われました。ただこれを一つずつ全部やっておりますと、それ自身に膨大な時間がかかりますし、またそれ自身のやりかたについてさんざん議論しなければならないということになります。ここではみなさんそれぞれに論点の整理をしていただくということで、協会のほうからもある種のフォーマットもすでに出ましたし、島津先生のほうからキーワード的なものも出していただきました。今日戸田さんのほうから、別の形で論点整理ということをする方法論と、みなさまがそれぞれに資料としてお持ちいただいているものに書き込んでいただいたりしながら、御自分で言った地図を作っていただきながら、こちらで全部整理してしまうというようなやり方ではなくてすすめたいと思います。そのあと一番大きな問題になっております海上の南の使い方というものを、これは実は自然の活用なのか保全なのか、ということが基準になっておるわけですけれども、このへんのところをきちんと議論をしませんと実は海上の使い方がまったく見えてこないということになりますので、ここに一定の時間をさいてそのあとその他の討論ということでまいりたいと思います。じゃあ戸田さん、資料の説明をお願いします。

□ 戸田委員

それでは今日の配付資料の一番うしろです。これまで出ました各委員の意見、提案を分類したものです。冒頭に書かれてございますように佐々木葉さん、それから戸田、萩原、森川とでまとめたものです。A3の表が2枚ついております。これから、海上地区の会場計画についての提案ということでの議論となるわけですけれでも、そこで海上の地区について各委員の提案を、海上のどこを使うか、それから主要施設位置、施設内容、主体、アクセス、土地利用、また森川委員から提案がございましたが、今日もお話がございました関連会場、あるいは会場計画に関するキーワードで分類しています。また、最後のページにお書き込みいただけるようなものをつけております。これをまとめあげた結果のものが、一番最初のページです。各委員の提案一覧表から読み取れることとして、ここでは4~5点のまとめがあります。
一点目が、広域展開の議論がありました。これは委員長が言われたように、今後の議論としては残るということだろうと思います。それからほとんどすべての委員が展示は恒久施設として提案されている、したがって恒久施設を前提としてどのように事業化に結び付けるのか、ということがあります。
三点目には、海上地区についてはどなたもなんらかの形での位置付けをしておられるということですが、その内容は南・西に展示施設を建設するもの、あるいは南・西以外には手を加えないものとの種別があります。
四点目には、南地区を利用することの意義ということですけれども、不可とする場合は明解です。地形急峻、建設大規模造成等々であります。一方南地区を利用するという点においては「なぜ南か」とうことについては今日の議論になるのであろうと思いますが、明示されていません。それから、次に環境容量の議論ですが、これについてどう決めるか、これは今日の大きな議論です。第三者機関での評価が必要ということが前回林委員からありました。また、全体にはアクセス提案について不明ということがあります。それを図面でパターン図にしましたら、大きく海上全体を登録会場とする場合、それから海上の一部を登録会場にするものとにわけられております。その中は点々でおいたところが、フィールドとしての登録ということになりますが、全体に利用施設なし(この黒丸が施設)。南・西以外、A3が南・西、A4が南・西以外と、B の方で海上の一部ということで分類されております。若干それに続けてですけれども、私のこれを見ながら概念だけで別のものがありますが、それはのちほどさせていただきます。一応このような海上地区利用の分類であります。

□ 谷岡委員長
よくお分かりになったと思います。どの辺がポイントになるのか。委員長が頼りないと、ボランティア的にいろいろやってくださる、ということでそのほうがうまくいくんだということが分かっておりますので、たいへん楽をさせていただきました。ありがとうございました。
さっそく議論にまいりたいと思います。自然の保全なのか、自然の活用なのか、あるいは海上地区全体として見た場合、あるいは海上の南という形で見た場合、というようなことでありますけれども、このへんは森山先生がこの間の林委員からの活用論に対して、異論が有るということで、まっさきにわたしのほうに御意見をいただきました。今日実は、御発表のところでやっていただこうと思いましたけれども、むしろこの議論を展開していただくにあたっては、これを言っていただいて、それに対して対立する意見などはございましたら、どなたかにその議論をはっていただきまして、そのへんから突破口を作っていこうかなと思っております。じゃあ森山先生よろしくおねがします。

□ 森山委員

私が意見をのべたかったのは、公園化ということに関してのものですから、今の直接この問題とは関わらないので、あとでこの議論をする場でお話したいとおもいますけれども。

□ 谷岡委員長

ではパス1出ましたので、活用なのか保護なのか両者共通にしている部分というのは何であって、どこが違っているがために今海上地区あるいは海上南というものに対する考え方の違いがでてきているんだろうか、みなさん様々な御意見をここについてはお持ちなわけでございますけれども、どなたか口火を切っていただけますでしょうか。木村先生。

□ 木村委員

先程ですね、協会の松崎さんが説明してくださった大変いいデータがあったわけですけども、そこで強調されたことは、海上の森の自然というものが実はモザイク状に多様に入り組んでいるということでございました。このことを私達はベースに考えなければいけないだろうと思います。モザイク状に入り組んでいるということは、自然のあり方としてもそうだろうけども、人間のかかわりかたが随分に多様にかかわってきた、その結果である、その相互作用の結果である。というふうに考えたいと思います。実はそのモザイク状にいろんな自然がある、まあ人口林も含めていってもいいのかもしれませんけど、そのモザイク状に多様なことをまるごと保全しないと言われたら、これはかえす言葉がなくて、「はいそうですか」と申し上げたいんですが、そうではなくて、モザイク状いろんな自然があって、その一つ一つの特徴を後世に保存しながら里山のあり方を論理的とするならば、これはもう、手をつけずに放置するということはありえない。なんらかの形で今のモザイク状の植生のあり方というものを持続させなければならないだろうと思います。そういう観点でいきますと、これは保全なのか活用なのか、というようなorでつなぐような設問自体が、多分意味をなさなくなるでしょう。そういうことから申しますと、この4回5回の議論で、海上の森をひとつの自然のあり方を模索するモニュメントとしてきちんと位置付けたいということは皆さんほとんど合意になっている。そういう状況の中で、「さあ海上の森の多様性というのをどう持続しながらそこに自然の叡智を見い出すか」ということになりますと、今有るモザイク状の自然をどう持続させるかということに尽きてくるだろう。その時にはなんらかの手の入れ方、それは必ずしも平地を作れという話ではございません。いろいろな手の加え方があるだろうと思いますけれども、なんらかの手の加え方をしなければ、今のモザイク状を守る事はできないと思います。一例を申し上げますと、瀬戸地域でだんだんと、ギフチョウが見られなくなりつつあります。これは私のキャンパスでもそうなんですけども、その要因は一つには、スズカカンアオイがだんだんなくなってるということでありまして、それは何もスズカカンアオイを誰かがもっていくという話しではなくて、雑木林がだんだん茂ってまいりまして、下に明るいところがなくなってきた。そのことがカンアオイの生息を非常に阻害した結果、ギフチョウが飛べない環境になっている。私どものキャンパスでも1980年ごろまでは、わりあい開けた森でございまして、その頃はギフチョウもけっこう飛んでおりましたが、最近ではまったく見ることができません。逆に言いますと私どもの大学で自然林、二次林を放置しながらなんとか育成しようとして、ある意味では逆の結果がギフチョウにおいては出ている、ということが起こっておりますので、なんらかの形で二次林の中にギャップをどんどん作っていかなきゃいけない、どれくらいが適切であるかというのは議論すればいいわけでありますけれども、なんらかの形で手を加えながら、今の多様性を守っていく。もちろんその中には原生的に保護しなければならない、例えば湿地状のものでありますとか、いくつかのものがございますけれども、そういうことに配慮しながらどういうふうにギャップを作り多様性の展開を持続させるかということを片一方で考えなきゃいけない。そうなりますと何も手をつけないで保護するんだよという論理は、少なくとも海上の森では成り立っていないのであること、これは共通理解として認めておく必要があると思います。ただしそのことが何が何でも工事をしなさいということとつながるとは限らない。こういうことだけ申しておきますけれども、保護と保全と活用というのがそれほど裏腹ではないというのは二次林のまっとうなありかたではないかと、いうのが私の意見であります。

□ 谷岡委員長

保全と活用というのは必ずしも、二律背反的なものではないのだということで、なんらかの手を入れ今の状態を維持しながらやっていくことの必要性と、放置する自然ということではないんだということを共通理解であるというまとめがあったわけですけども、これでここらへんのところで共通理解ということでよろしゅうございますか?どうぞ北岡さん。

□ 北岡委員代理(上杉委員の代理)

海上の森の自然観察会の北岡ですけども、今里山の管理とか、里山は絶対手をいれなきゃいけないというふうにあちこちでけっこう言われてるんですが、それは人間の目から見た考え方じゃないかなと思います。いつも私はあちこちの山に行っていますけども、里山の管理というのは人間がここをこう使いたいから管理をしたいとか、さきほどギフチョウのこともおっしゃりましたけども、それももうちょっとよくいろいろデータをそろえて、ほんとうに雑木林の遷移が進んで林床が暗くなれば、スズカカンアオイがなくなるかというのは、ちゃんとしたデータを出して調べてみないと分からないことじゃないかなと思うんです。今の南地区のことを見ましても、けっこう上の方が封鎖されて、暗い林相でもスズカカンアオイはたくさんあります。スズカカンアオイが減少しているのは、二次林が植林されて植林になったところはもうほとんどその林縁を除いては、真ん中のところが真っ暗だったところはスズカカンアオイはほとんど見られないということは、海上の森の中ではそういうふうに言えるんで、二次林の整備が進んでだんだん森林に近付いていく過程で、どの程度スズカカンアオイがなくなっているのかというのはもうちょっとデータを出してからのほうがよいのではないか。二次林の整備が進めば、林床が暗くなり、スズカカンアオイがなくなるということは、ちゃんとデータをだして、実証してから管理するなりすることが大事ではないかなと思うんです。ただ一般的に里山を管理する場合はどうして管理するのかという理由がはっきりしていなければ別に二次林が進んで、より豊かな椎の森になっても、かまわないんじゃないかなって、生物の種類が変わるだけで里山が荒れるとかそういうことではないんですよね、人間の目から見れば入りにくいとかいうことだけであって、里山を整備しなければ、里山が荒れてしまって、生態系がだんだん悪くなるということはない。そのへんは本当は、鷲谷先生に海上の森ならどうかということをお聞きしたかったんですけども、この間鷲谷先生をご案内して入る時には海上の森の中では、里山を海上の森の今の状態では管理する森はないとおっしゃりました。

□ 谷岡委員長

委員がお休みの時に、その方の代弁をなさるのはやめてください。というのは、ほんとうに鷲谷さんの御意見かどうか私達は調べようもないという状況でございます。それと同じことを2度くりかえさないでいただきたいんです。というのは時間の制約がございますので。

□ 北岡委員代理

すいません。里山の管理についてはとりあえず人間の管理がいるということを前提にしないでいただきたいということと、何が一番自然に触れあって一番大事かということは、管理をすることが大事ではなくて、海上の森だったら自然の命に触れ合う事が、まず一番ほんとは私達にとっても子供達にとっても一番大事なことで、里山を管理しなければだめになるという発想からは保全なのか活用なのかという以前の私達が自然をどう考えるかという、命のあるものをどういうふうに利用するかという、どうやって守っていくかというのが前提じゃないと、「里山が荒れてるから、じゃあ木を切って整備したら」という単純な発想では、あんまり管理しなければいけないというようにはしてほしくないとは思いますけど。

□ 谷岡委員長

じゃあ糸魚川さん木村さんという形でよろしゅうございますか。反論ですか?糸魚川先生もたぶん反論かなと思うんですけれど。

□ 糸魚川委員

いや私は反論ではなくて

□ 谷岡委員長

じゃあ木村さんのほうにいきます。

□ 木村委員

人間の立場とおっしゃるけれど、私ども人間の立場の論議をしておるんで、そういうことを除きにしてほしくない。人間としてどう自然と関わっていくかという議論をしておるんです。ほっておけばシイの林に帰っていくかどうかと、そのとおりかもしれない。それはもう自然のサクセッションの問題ですから、そのことをよしとするのであれば、こんな会場いらないんです。今私達が問題にしているのは、海上の森で何かをやるかやらないかというのを決める時に、自然をどう取扱おうかという話しをしているのでございまして、ほっておいたらシイの林になった、それがいいんだったら、博覧会なんかいらない。博覧会がいらないからそこに座っていらっしゃるかもしれないけど、私ども、具体的に対象があってその対象をどう取り扱って、そういうことでもってどう自然が変わるのか、あるいは変わらないのか、あるいは変わってもそのことでもって、わたしどもの自然の叡智に対する心構えなり取り組みなりが進むのならば、あえてそれを触ってみようということも含めて議論をしておる、そういうことだけ少し考えて議論していただきたいなと思います。

□ 谷岡委員長

糸魚川先生どうぞ

□ 糸魚川委員

結局関わり方の問題だと思うんです。ですがこの前申し上げましたように、私は今里山というふうに一般的に言われているのは本当の里山なのか、里山を活用する、里山を利用する、それは場合によると公園であったり、私の考えているような博物館なんかもあるわけなんですが、その関わり方をどうするかということの議論で、あまり活用だとか保全だとか割り切れない、万博をやるというふうなことの前提としてあるとするならば、どの場所をどのように活用するか、これ私は南の地区をさらに縮小した形で活用して、森全体はなるべく利用密度を薄くする、そういうふうに現在は考えております。ふれあいの森の構想はですね、BCと言われる海上の森のかなり広い地域を活用する。それは森としての活用、自然観察としての活用、その他のことをとりあげたんですが、現在私個人の気持ちは、ふれあいの森の構想をさらに縮小したい、そういうふうに考えております。それは「現実的でない」とたぶんご意見があると思いますし、みなさんの大勢の御意見と違うと思いますが、私はそのへんでは北岡さんとちょっと共通するところもあるんですが、そっとしておけるところはそっとしておきたい、圧力をかけない、そういうふうに考えております。

□ 谷岡委員長

それじゃあ、ここでルールを一つだけ説明しておきたいと思います。もちろん委員の方が中心に議論していただくわけですけども、例えば、今回ずっと加わっていただいております、このテーブルでも周りにもいろいろいらっしゃるわけですね。特に事務方の方々もいらっしゃいますけれども、瀬戸市、長久手町、あるいは環境庁というところからもお越しでいらっしゃいます。いわば、役所の方々というのは基本的にそういうところで議論には加わらないもので、質問があったときだけ、というのは20世紀ルールでありますので、そのへんのところの議論にはぜひいろんな形で加わっていただきたいと思います。なぜならば多方面からの意見がでる、また、専門でおやりになっている方々はしばしばわたしどもは持っていない情報を持っていただいている。そういうことがこの場の議論に対しては非常に重要な資料情報を提供するということもございますので、そこはどうぞ御遠慮なくみなさんと同じように手を挙げて言っていただきたいと思います。あえてこちらから指名するということはいたしませんので、どうぞみなさんと同じように手を挙げていただきたいと思います。
(傍聴人が手をあげる)
傍聴席はごめんなさい。交代していただければいいですよ。テーブルにお入りいただきたいということでございます。じゃあ高垣さん森山さん環境庁の小林さんにまいります。

□ 高垣委員

ずっと探鳥会をやっておりまして、この海上の森というのはすばらしいところだから、みなさん来て下さい。ぜひこの海上の森を見て下さい。ということを言いました。今もたくさんの人がきてるんですけれども、最初やりだした頃、「ここにシュンランがありますよ、こういう希少な植物もあるんですよ。」というと一週間でなくなるんですね。希少なギフチョウやゲンジボタルをとりに来るんです。この前もちょうど電話があったんですけども、サンコウチョウのまわりにカメラマンがいっぱいいて、サンコウチョウの親が巣にはいれなくて困っているというような話があるんですね。なにが言いたいかというと里山というものの概念が、人とのふれあいという言い方しますけども、人とのふれあいという中にはオーバーユースの危険性が内包してるんだ、そういう観点がなければ話にならないんですね。だからオーバーユースに対してのサスティナブルユースということ、草刈さんのほうでいわれているオーバーユースに対しての危険性をどうやって回避するのかというシステムを、きちんと作りきれるんですかということをみなさんに聞きたいんです。そのオーバーユースに対しての危険性を回避する何か。突然大変なことが起きるんです。いろんな予想もしないオーバーユースが生じるんです。その予想もしないオーバーユースをみなさんどういうふうに回避するんですか?ということをみなさんにお聞きしたいんです。それができればいいじゃないですか、使いましょうよ。そういった話しになるんですよね。

□ 森山委員

里山というのの定義の問題と関わってくる事柄が、今のお話は大部分里山林の話しなんですけども、実は私が少なくとも知っている里山というのは田んぼがなくては里山じゃないんですよ。里山と田んぼの耕作。水田に水をはり田んぼに稲を植えるという、あるいは水路をつくる水をひっぱる。そのことと里山の森の中と生物が生き生きしているこういう関係が里山というふうに私は自分の中で定義しています。ですから、今までの話は里山林で林相が川からうんぬんというものだから、手をつけたほうがいいかどうかというそういう問題ではなくて、里山を今のような海上の現状はほとんど草ぼーぼーなんです。ごくわずかな部分が田んぼとして耕作されているにすぎないんです。ここは私は絶対手をいれなきゃならないだろうと思う。もし里山であろうとするならばそういうことでなくて、まったく放置したほうがいいという考えもあるかもしれません。しかし里山を保全したいということであれば、田んぼを抜きにしては考えられない。問題はどういうふうな手のつけかたをするかどうかというのが問題ではなくて、今問題になっているのは南地区を物理的に地形を剥いで埋めて、生物を皆殺しにして、こういう開発がよいのだろうか。これが手をつけることなのか、自然を保全することなのか、ここが一番焦点の問題ではないかと思います。私はもちろん後者の立場です。

□ 谷岡委員長

小林さんから手が挙がってましたけど、そのあと國分さんいきます。

□ 環境庁 小林環境影響審査室長

海上の森の実態についてはここにおいでのかたのほうが非常にくわしいと思いますが。考え方の整理について私なりの考えを述べてみたいと思います。役所などではよく保護・保全・活用みたいなことを言いわけることがあります。これも定義ですのでいろんな使い方があるんですが、保護というのは手をつけずに守ってそっとしておくという考え方。保全というのは定義の問題ですからいろんなものがあってもいいんですが、もう少し積極的に手を入れることによって、最終的には守られていくというようなもう少し幅広い概念が入ったものが保全というような使い方を一般的に役人はしておりました。たぶん里山を、管理していかないと守れない、というのも範疇にはいるのかなと思います。活用というのは少しベクトルが違っていて、もう少し自然を守るということだけじゃなくて、新しい考え方ですね、方向性を入れることで結果的にはいろんな面があるとは思いますけど、自然を中心に考えるとすこし違った使い方をすることによって、結果的にはもう少し大きなメリットが得られるというのが、活用という見方ができるのかなと思っております。保護でいくべきなのか、保全でいくべきなのか、それは私の定義で申し訳ないんですが、こういうところはたぶんこの問題の一番ポイントになるんではないかなと、最初から思っておりまして、多分場所によって違うんだろうなと、里山的に見えるところであっても、非常に脆弱であれば手を入れるとだめにしてしまうというところもあるだろうと思いますが、今全国各地の里山がいろんな意味で衰退している、これは物理的に開発されてなくなってしまうという面ももちろんありますし、もうひとつはシステムがなくなってきたのでおのずと手が入らなくなって、それが多少価値観が入るのですが、山が荒れているという評価を得ている。あるいはそういう中で、多少これはちょっとずれますが、あまりそこに対するみんなの価値観というのも低下してですね、究極的には台無しになっていく、というところがあって、里山的なところを、どういう形で関与をしていくと、こういう形で守れるのかというのは大きなテーマになっている。そこがここでもおおきな論議を呼んでいる理由なのかなと思っています。

□ 谷岡委員長

金森さんどうぞ

□ 金森委員代理(宇佐見委員の代理)

里山という定義なんですけれど、これは文化人類学的な定義だと思うんですよね。森山さんが言われたように、水田があって裏に里地があって、裏に里山があってこれを構造的に利用したのが里山っていうのが里山の定義。通常ですと里山と奥山の間には山の神なんかが祭ってあって、そこから先は日常的な使用ではない。というのが、本来の里山だと思います。
さて里山をどういうふうに扱うかという問題なんですけれども、だいたい私、木村さんや森山さんのやり方でいいのではないかと思うのですが、少し反論しておきたいのは、我々は今の時点をみておりますけれども、少なくとも今生存している大部分の希少種はここのところで何万年は生きております。我々はちょっと見たときに減ったといっても、それで地形かなんかの変更をしなければ絶滅することはたぶんない。多少数が増えたり減ったりすることはあるでしょう。しかし少なくても10万年の単位で生き残ってきたものですから、これが放置したからといって無くなるというものではない。生物多様性のことからいいますと、どこの世界でも、地球上どこへいっても、原生な林よりは、ちょっと人が利用したのと組合わさったところが種類が多くなるというのが一般的であると思います。原生の林になりますと面積の割には種類が少ないです。そういう意味で里山で非常に種類数が多いという特徴もいえると思います。
もう一つ申し上げておきますと、今武内さんや隈さんから出たものを見ておりますと、さきほどオーバーユースという話がありましたが、これは施設自身をつくることによって、どういう影響がでるのかという生態を理解した人がいないんじゃないかと思うんですが、なぜかといいますと、これだけの面積を平地にしますと、あるいは建物をたてますと、どういうことが起きるか、ここのところに建物をたててまったく電気をつけないというわけにはいかないでしょうから、電灯をともしますと、夕方にもっとも昆虫が集まってしまいます、そうするとこの周辺の昆虫はかなりのダメージをうけてしまう。開催期間を考えますと、夏は含まれておりますから猛烈な量が減少する。さらに平均しますと、ゴルフ場などでみられるように、特定の鳥類が非常に増えてしまう。そうしますと、それだけでも大部分の鳥類が追い出されてしまう。なおかつここのところに、一万人も一日にはいったら、ほとんど動物はみられない、いったい何をみせるつもりなのか。これが活用ということだとちょっと問題です。一万人もあそこに入ったら、ほ乳類はもちろん鳥もほとんど街の中で見られるムクドリとかヒヨドリの程度のものしかいなくなってしまう。いったいそこへ人を連れてきて何をみせるのか。三万人ということになりますと、ほとんど理解を越えることなんです。これは人の場合ですが、建物や施設や道路を作っただけでも、かなり変わってしまう。自然環境で何を見せようとしているのか。自然の木や草に触れればそれで自然の叡智がわかるかというとそういうことではないと思うんです。ですからそのへんのところ、活用と保全、どういうふうに理解してもらうのか。
もう一つ気になることは一回目の議事録を見ていましたら、活用と保全の言葉の使い方がかなり間違ってるような気がします。勘違いしたのではないかと思いますが、議事録を訂正することはしなくていいんですが、扱いをどうするかというのは委員長が考えていただいて、今時間をとることはありません。
それから、もう一つついでに言わせていただきますと、我々はBIE国際博覧会事務局に登録しなければなりません。登録したあと審査にくるといわれてます。これはなんなのかということを理解していただいて、計画をたてていただかなくてはならないと思います。そういう意味で県から2つの資料を、今日でなくてもいいいのですが、それからその資料について議論するつもりはありませんが、出していただきたい。一つは1月に11月のBIEとの会談のメモがすっぱぬかれた例の記事をみなさんに配ってもらい、なにを言われてるかよく確認して、その上で計画を最終的につめていただきたい。もう一つはその中で指摘されているかなり重要なこととして、長久手町にいったいどういうような説明をされるのか。アセスをされるのかされないのか。それが一点。されるとすればどういう日程でされるのか。計画はあると思います。もしされないとすれば、説明会はするのかしないのか。すればどういう日程でどこでされるか。日程というのはなにもきちんと日にちまで決まってなくて結構です。だいたいいつごろにどういうふうにするのか。それは登録前なのかどうかということがわかれば結構です。そういうことお願いしたいと思います。

□ 谷岡委員長

今のご議論に長久手町の部分は6の討論というところへまわしたいと思いますので、とりあえずは絞りたいと思います。そしてたぶん武内さんと隈さんに対してご質問が出ましたんで、そのお答えを考えていただく間、國分さん、先程スキップしてしまいましたので、どうぞ。

□ 國分委員

南地区を里山にしていくのか、これが里山であるのかというような問題とは違って、私は別の観点から少し話させていただきたいと思います。まず今までの出てきたご意見をお聞きしますと、やはり手をつけずにこのままの形で博覧会として利用できないかというようなことではないかと思うわけです。はたしてそれで博覧会の会場として成り立つのかどうかという問題が一つあるわけです。もう一つ博覧会会場として使う場合に、当然人が入るとすれば、人の入れるような状態をつくるわけですから、それを自然の改変というふうにとればですね、それは現状から変わるという、現状をそのまま守るんだということからすれば、それは大きな負荷になるだろうと、思います。ですが、やはり今回の博覧会は、世界が注目する博覧会であるわけですし、私はできるだけ大勢の人にこの愛知にきていただいて、そして、この愛知がいわゆるほかのテーマではなしに、環境というテーマで愛知の我々が関わり、そして世界に発する環境意識というものを、この博覧会を契機に世界に伝えるということがあるとすれば、私は愛知県民としても、非常に価値のあることでないかなと思うわけです。問題はそういうことを実行する場合に、自然の保護をどこまで保護と開発(言葉はあまりよくないかもしれませんけど)というものを調和させていくかということだろうと思うのです。そうしたときに先ほどからこの地域の南地区というのだけをクローズアップしてとらえれば、それは非常に大きなあるウエイトでの面積の改変ということになります。ですが、これを海上地区全域の中のこの地区という見方をしたり、場合によっては、たまたまこの絵で赤い線が引いてあるからいけませんが、もっと大きなこのエリア全体の中で、この地域というのをとらえていけば、例えばこの隣に愛知工業大学があります。それからここに上之山団地があります。これも、逆を言いますと真っ平らな従来型で開発された場所で、ここは夜も場合によっては煌々と電気がついておるわけですね。それをこの海上の森のど真ん中で、例えば大々的な開発をするなら別でしょうけれど、こういうようなところで、自然と調和をはかりながら、どこまでやるかというのはこれから議論しないといけないんですけれども、私はこの範囲であるのなら、許されるべきことではないかと思いますし、また、叡智によって何かいい知恵というものが出るんではないかなと思うわけです。瀬戸地区にも近辺の豊田にも、いろいろなところでこれ以上の場所を、みんなで叡智を絞るということなしに、ただ単に企業だけがまた一事業者だけが、真っ平らにしている開発というのがたくさんあります。逆にそういうようなものに対する一つのおおきな考え方を見せるという意味でも、私は意味があるのではないかなと思いますので、私はここで環境のみなさんの考えておられることと、それから博覧会をやるということの接点をどう議論していくかというふうにしていただきたいと思います。これを里山にするのかどうかだとか、里山であるかだとかということではなしに、私は本題に入っていただきたいと思います。

□ 谷岡委員長

武内先生からも隈さんからも先ほどのご議論についてご回答いただけます。

□ 武内委員

私どもが今日発表した内容について、おそらくこれまでの議論の経緯を見ますと、南地区の施設の部分について、議論が集中するということは予想できたことでありますので、そのことについて私が直接的にお答えをすればいいのかもしれませんが、少し私自身も遡って少し全域の中での南地区というようなことについて話をさせていただいたほうが、私の主旨が伝わるのではないかと思うので、ちょっと戻ります。
この海上の森の里山的環境としての位置づけについては、みなさんいろいろと思いがあるということは承知しておりますが、とりわけ重要なことは3つの大きなゾーンがあるということだと思うんですよね。ひとつは東海丘陵群の貴重な動植物があのみちみちた空間に存在しているということ。それから中央部分においてコナラを中心とした、比較的良好な雑木林が発達していて、これが従来は主会場という形になってみなさんさまざまな点でご批判があったということですね。本来はもう少し活用したほうがいいんじゃないかと思われるような、ヒノキを中心とした林が奥の方にあるんですが、それについては残念ながら地形が非常に急峻すぎて、博覧会の会場としては難しいというなかで、どういう選択をするかというふうに思います。おそらく最高のプライオリティというのは、一番里に近い側におかれたというこの大きな判断があったと思うんです。これは環境庁の判断であるし私どもがそれを容認したという事実もありますが、この空間というのは非常におもしろい空間でありまして、おそらくもともとは氷河期の残存動植物というのがですね、本来ならば森林の遷移にともなって消滅する危険性があるのものがですね、人為的な撹乱によっていわば裸地的環境が継続的に表れていった。その結果加湿的な環境が沢に現れた。そしてそれに伴って、氷河期の残存植物動物群が今日まで残されてきたという、そういう中で、今現在私たちが何をすべきかということ。ある人は手を入れるべきだと、ある人は手をいれなくても守れるという、そういうところにきているということですから、これは従来の自然の保護、つまり高い山の上で貴重な自然があってそれはそっとしておくというふうな形ではなくて、きわめて人に近い所で少なくともある種、動的な環境の中で維持されていたということは間違いないということをどう守るのか。これはどうすべきかという自身がテーマになると思っている。これは日本の自然保護の中で非常に新しい概念だと思うんです。ここをまず我々としては注目する。これは海上の森の特殊性です。日本の中では非常に特有な環境です。その一方で私たちはBゾーンに代表されるような海上の森のいわば普遍性というものに直面している。これは当然のことながら、適度に管理をすれば森を維持される。しかし過度な開発があれば森は壊れてしまう。そして多くは、森を大規模に破壊して宅地なり学校にしてきたという歴史があるというなかで、私たち今何を考えるかということです。
これについては私一番最後にお話を申し上げたいと思うんですが、人工林の問題があります。これは非常に大事な問題だと思いますけれども、日本は海外から大量の木材を輸入しながら、日本の国の木に目を向けていないという、きわめて特有な国でありまして、こういうことが21世紀社会のなかで許されていいのかどうか、いうことを考えますと当然のことながらこの森を切って、CO2を固定して、自分の国で自分の木材を使って、生物資源の有効利用をしていくという、これは誰しも考えていい話だろうと思うんです。そういうなかで私はBゾーンの問題についてあえて開発と言うことを申し上げました。それは何かというとこれまでのように自然保護運動は非常に強ければ、それがごくまれに残る。しかし、だいたいはそうではない形で壊されてしまって、それこそ小さな造成どころか、全面的に山がなくなってしまうというような造成が他方でこの世の中で存在しているという状況に対して、海上の森は一般性を持った答えとして何かをだせるんだろうかと。私はもちろん開発をするということはすなわち、自然に対するなにかのインパクトを加えることですから、インパクトを加えることを悪だと考えれば、当然のことながら、ゼロというのが最大であるという答えしかないわけですけども、しかしそういう中で新しい開発のありかたというのが自然をある程度活かしながら考えられないか、あるいは環境を修復するということによって、自然の破壊というのを補えないだろうか。それからもう一つ非常に大事なことは、これから海上の森の保全のいろんなしくみを考えていく上でここが非常に重要な拠点施設になるということは考えられないだろうか。そして最後に森の中に人がきれいなデザインをすることによって、森と施設とがむしろ一体的になってある種の自然と人工の融合した、空間設定というのができないだろうか。そしてそれらを、さっきおっしゃったような、今現在つくられている、環境アセスメントという高いハードルを越えた次元で実現したとすれば、それこそがまさに21世紀に誇る日本からのいわば発信ということになるんじゃないかということで、私自身、思いとしていろんなことは思っておりますし、少なくとも私自身の個人的な学問の経験から言って、私はむしろ今自然保護でみなさん反対されている人たちに非常に近い立場であると自覚をもっております。したがってその中で私自身として、そういう立場が開発というものに、ある程度の理解を示すことによってこれまでまったく保護か、まったく全面造成の開発かというふうに、二元論的に語られてきた問題に対してある種の答えを出したい。しかもそれは非常に高い答えでありたいと思っております。今回の答え、今日だしたものがそれに回答としてみなさん満足していただけるとはとうてい思えませんけれども、しかしこれを機会にみなさんの意見をどんどん吸収した上で、アセスメントも含めてみなさんが要求する高いハードルを越えていけるということができれば、この検討会議という中でですね、議論した意味があったんじゃないかというふうに思っておりますので、私としてはあえて今日提案させていただいたという次第であります。

□ 谷岡委員長

ありがとうございました。ではあとお二方に議論をいただきまして、お三人お並びのところが手があがってるんで、みなさん了承あればそこをいただいて、そのあとどなたかから、新しい提案がないかどうか、この今の議論、随分集約されてきていると思いますし、ある種さがった見方というのもあろうと思いますけども、そういうように対して新たな提案みたいなものを、手短にお話していただいた後、その提案的な意見を今度はみんなでだしてみることができないかというところへスイッチを切り替えたいと思います。その前に一つだけご質問をおねがいしたいんですが、BIEは自然保全というような考え方について、最初の案を、團さんが作られたんですか?評価してらっしゃったということを新聞で見た記憶があるんですが、その場合はどのくらいのヘクタールが造成されることになってたんでしょうか?あとでいいです。ちょっと疑問に思ったのですから。じゃあ草刈さん加藤さん木村さんという順番でいきます。

□ 草刈委員

第2回目の検討会議で配られた今後の博覧会に関する指針の中に、「全ての参加者がそれを表現できるほど十分大きなものであって当該分野における科学的、技術的および経済的な進歩の現状と人間的、社会的な要求および自然環境保護の必要性から諸問題を浮き彫りにするものでなければならない。」と書いてあります。社会的な要求および自然環境保護の必要性からということから指針が述べられているのですから、自然環境の許容量を越えたような使い方がよいのかどうかというのはちゃんとここで判断しないと登録に持っていった時BIEにはねられるんじゃないかという気がします。

□ 谷岡委員長

加藤さんどうぞ。

□ 加藤(徳)委員

私は、里山の保全・活用というとき、皆さんが手を入れるとおっしゃっていますが、今の海上の森の一木一草を切るなとか触れるなというつもりはありませんし、これからもありませんが、手を入れるというときにどういう立場で手を入れていくかということがあいまいにされてはいけないと思います。今の海上の森はモザイク状の生態系があると協会の松崎さんからご説明があったわけですが、そうして生態系の豊かさ・多様性を保護していく立場で手を入れていくのか。これはやはり、生物多様性条約という国際的な条約を日本は結んでいるのですから、そういう観点からも自然環境を保護していくという考え方が必要になると思います。もう一つは事業者の側の方々、万博協会の方も県の方も海上の南地区を活用したいといっている方も「手を入れる」といってみえます。今出されているのは30ha以上造成してしまうような自然環境の大規模な改変をやるというものです。これが手を入れることなのか。わたしは違うと思います。単にこれは開発をするということであって、きちんと言葉を区別していただきたい。その上でいま出されているものが高垣さんや森山さんが言われたようにオーバーユースになるのかならないのかのところを、きちんと判断しないと環境にすばらしい万博にならないと思いますので、ここのところはきちんと区別していただきたい。
もう1点ですが、今出されている西地区南地区のこういう様相を呈したとき、里山的な環境になるのかどうか?これは全く違う都会的な様相を示すだけですのでそういう点では単に言葉だけの遊びは止めていただきたいと思います。最後のもう1点ですがこの中に文化財の保護の観点からいくと、ひとつ欠落しているものがあります。資料-4と出されたきれいな色刷りの万博協会さんに説明していただいた部分ですが、海上西地区の所で愛工大の土地と県の買収した土地があります。黄色く塗った部分が本来ならば古窯がなければいけません。既に先行して掘り返してしまった場所もありますし、現在瀬戸市で一番古い瀬戸物のルーツといわれている鎌倉期の古窯がこの中に一箇所発掘されたものがありますが、この場所をしっかり落とし込んでいただきたい。そうでないと文化財の保護になりませんので、資料を正確に作っていただきたいと思います。以上です。

□ 谷岡委員長

吉田さんと木村さんどちらが先になさいますか?じゃんけんで決めますか?じゃあ吉田さん。

□ 吉田委員

先ほどからでているオーバーユースに関係することですが、ディスカッションでそういう議論をする時間があるかと思いますが、収束するように話をしていくということなので今よろしいですか?

□ 谷岡委員長

収束でしたら次へまわします。

□ 吉田委員

じゃあ、そちらの方に時間をとっていただければ結構です。

□ 木村委員

里山の定義をいくらやってもきりがない話ですのでこの辺で終わりにしたいと思います。活用の仕方をめぐって今のオーバーユースやキャリングキャパシティという話に行かざるを得ないんだけれど、何をベースにしてキャリングキャパシティということをいうのか厳密に考えておかないと、土地の改変をすれば「破壊だ」という話にどうしてもなってくる。私どもが海上地区をひとつのシンボルとしながら博覧会展開していくときにあえてどこまで犠牲を要請するかという話になってくると思います。その時は、一般論的なオーバーユースであるかどうかという話は、少し横に置かざるを得ない。一過性の破壊で戻るのであれば、あえて目をつぶって次のステップへ行かなければならないかもしれない。なぜあえて目をつぶるかというと、ここで私達が提案する自然と人間とのかかわりが、次に世界のいろんなところで自然をまもるために役立つからだと思います。その地点がどうしてもいると思います。海上の森をどうするんだという所で議論を収束させてはいけない。
もう一点は、武内先生たちのおつくりになっているアイデアの中で、大変面白いものがいくつかあると思いますが、例えば古窯群が出てくる、あるいはかつての歴史的な展開がでてくる。だとすればこの問題はこの設計図の中で議論するのではなく、バックグラウンドになっている瀬戸のあり方・文化・瀬戸が窯業地としてどう関わってきたかということをきちんと踏まえて議論をしなきゃだめだろう。瀬戸市の意見をこの後是非議論の中で聞かせていただきたい。

□ 谷岡委員長

分かりました。予定時間どおりに必ずしもいっていませんが、ここで大変いい議論ができたのではないかと思います。5分休憩したいと思います。その後瀬戸市ということもありましたし、吉田さんのほうからも収束に向かう議論をやりたいということもありましたし、他にもどなたか提案してみようかという方いらっしゃいますか?分かりました。その辺のところ収束に向かえるかどうか皆さんに提案を出していただきたいと思います。5分休憩です。

(休憩)

□ 谷岡委員長

ではよろしいでございますでしょうか。國分委員と傍聴席にお座りになっていた、加藤寛美委員が、お替わりになりました。これは提案をするということについてのおまとめを加藤さんにまかせたいというふうに國分委員から申し出がありましたのでタッチ交代がございました。これからほんとに私はここまでの間に随分本質的なこれまで日本の会議の中でいわれなかったような本質的な議論というのができたということを思っておりまして、この会議をある意味で新しい境地をひらきつつありますが、でもおそらくここからの何十分間か、我々がほんとに力量をためされる、その際チャレンジをどういう形で乗り越えることができるかと、いうことがためされる議論におそらくなっていくんだろうと思います。でもここまでのこの会議を見ておりますと、きっとそれができると思っておりますので、みんなでがんばっていきたいと思います。田中さんから口火をきられますか?

□ 瀬戸市 田中国際博覧会推進監

それでは瀬戸市の田中でございます。海上地区全体での活用のありかたにつきまして、瀬戸市の基本的な考え方を説明させていただきます。資料-3の23ページをごらんになっていただきたいと思います。瀬戸市が考えます海上地区での利活用は、20世紀の発生しましたさまざまな自然環境にかかる課題を解決していくために、海上地区とその周辺地区を含めまして、世界に冠たる質の高い取り組みを実践するモデル地区として展開が図られるものというふうに考えております。海上地区の南では博覧会開催地に自然の叡智の具現化をはかり、テーマ館や政府シンボル館の整備が考えられていることから、博覧会開催後にはそうした施設が博覧会のテーマを継続的に実践していく場として、環境に視点をおいた、研究拠点施設としても展開を目指していきたいと考えております。具体的には自然環境と共存する手法に取り組む研究や、環境負荷軽減に役立つ新たな技術創造の場として、世界規模での事例研究の集積と、先導的な技術を実践する環境技術研究所を提案していきたいと考えております。また海上南地区以外では、暮らしの技が体験できる里山体験エリアや、自然と共生したアートオブライフの実践の場を提案していきたいと考えております。この里山体験エリアは海上集落を拠点に地元市民団体の交流やNPO活動も協力を得まして市民の手作りによる運営で、後世に本来の里山の姿を伝えていく場として提案をしていきたいと、考えております。
それから、かつての新住の北地区でございますけれども、海上北地区には、1300年も歴史に裏付けられた、里として陶芸に関する、創作交流の場も展開を考えていきたいというふうに考えております。あと、かつてのAゾーンの飛び地というのがありまして、それが銭屋鋼産の跡地というとこでございますけれども、実はここも1ha弱面積がございまして、これの使い勝手もこれからこの場でこの検討会議の場で議論をしていただけたらというふうに考えています。いずれにしましてももともと海上地区での博覧会の会場は平成6年の6月の計画案では、約650haのエリアで展開するということになってございましたが、さまざまな経緯の中で現在は海上南地区に限定されております。しかし、これは自然環境に最大限の配慮をした結果だと考えておりますけども、博覧会を推進する地元としましては複雑な気持ちと寂しい思いでいっぱいであります。どうかこの検討会議におかれまして、海上地区での積極的な活用と保全が図られるよう委員のみなさんにお願いして私の提案を終わらせていただきたいと思います。

□ 谷岡委員長

ありがとうございました。それでは、次は加藤さんお願いいただけますか?

□ 加藤(寛)委員代理

実は前回させていただいたエコパーク構想の委員長しております、加藤と申します。保全とか活用という議論になっておると思うのですが、我々もいろいろ南地区の利用ということで何回か議論をかさねてまいりました。その中で、やはり保全すべきところは保全する。要するに負荷をかけないまったく手をかけない部分、それから手をかけなきゃいけない部分、開発すべき部分、というふうに一つの会場の中で区別することが必要だろうということで、検討してまいりました。我々は開発する方につきましては、テーマゾーンみたいな形で、2.5haから3haというような数字が出ているわけですけども、そういう部分について上之山団地のいわゆる西地区ですね、を中心に作っていただくと、そこの中からある程度、我々の中にはエコセンターという形で発表しているわけでありますけども、そこでレクチャーを受けていただいて、森の中に入っていただくと、すべての入場者が全部はいるんじゃなくてそこに入っていただく方はそういうことをかならずレクチャーして入っていただくということでそこには森を体験するゾーンという部分が、吉田川に沿ってこう作っていこうと。その奥にもうひとつ山を越えて海上側に出る山がありますけども、そちらのほうも何遍も見ましたけども、そこを自然の森の中でその場所にあった自然を生かした芸術を作ろうと、森を見ていただきがてら、環境技術をそこで見ていただいて、森と調和した芸術、そこにはやっぱり鳥やいろんな動物がいると、いうようなことが、そこで共存、ともに遊ぶような考え方ができるような場所を、ぜひ作っていただきたいと提案をしております。
それからもう一つ、重要な点は、市民参加でそこの部分を全部作っていただきたい、環境派の方も賛成派の方もいろんな方が知恵をだしてやれる場所をぜひつくっていただきたいということが我々の委員会で議論したなかで一番重要なことだと思うんです。今回お話をいろいろお聞きしますと、市民参加というのが薄いような気がするんです。ですから、市民参加で市民の手に近づいてみてください。これは私は第一番でFAXを流したわけですけども、そこに書いてありますが、ぜひ市民に博覧会の内容をつくらせてみてはどうかと、その案をいろんな方が集まって作っていただいてそれを実践すると、市民はそういうことができれば、汗も出すし、お金も出す、知恵も出すし、みんなやろうではないかと、いうことになると思うんです。ですから、そういう形で市民参加をぜひあそこで作ってあげてほしいと、みなさん600団体ぐらいありますけども、みなさんそれぞれいろんな意見があります。どんどんそこでやりたいという人が集まってます。しかし残念ながら今のこの状態では、どうも我々の意見は「とおるのかな、やれるのかな、よくわかんない」というのが現状だと思います。でも、そういう意見を協会とか県という方々がサポートしていただいてぜひ実現するようにお願いをしたい。こういう会の中でも、私も4回のうち3回ですか、ずっと来ておりますけども、ぜひそういう意見を実際どうしたら解決できるかということを知恵を出して、ぜひ守るべきところ、開発するべきところ、その辺の人と森の共存するところですか、里山といわれるような所、そういうものをぜひみんなの知恵を出して作っていただきたいというのが、案です。それからもう一言、私どものエコパーク、前回のやつをもう一度よく見てもらうとわかると思うんですが、今回出されたものに非常に近いですよね。ほとんど近いかなというような絵なんですけども、違うところはやっぱり市民参加が主力ですよと、市民のそれを作りましょうと、知恵も出してあせも出して、ぜひつくっていただきたい。そういう検討会議にしていただきたいということでございます。どうもありがとうございました。

□ 吉田委員 (OHPを使って説明)

ちょっと海上の森地区の保全と活用について頭を整理して共通理解を得るために先ほどから出ておりました環境収容力だとか、環境容量だとか、キャリングキャパシティーという言葉、オーバーユースを防ぐという言葉などがございましたが、それをちょっと整理したいと思うんです。ここの中に「奥の院」とか「参道」とか言う言葉が出てきてですね、さきほど隈委員と武内委員からお話があったようなのとなんか似ているですけど、別に示し合わせてつくったわけではありません。武内研究室に盗聴機を仕掛けているわけでもございません。たまたま一緒になったんですが、というのは私、東京都の高尾ビジターセンターというところに勤めておりました。自然観察の仕事をしていたんですけれども、そこでの経験からちょっとヒントとなることを申し上げたいと思うんです。高尾山は東京近郊にございますので、一年間に250万人の人が訪れるということで、協会のほうで想定されている半年間で300万人くらいですか、それはまあ倍くらいになりますけれども、かなりの数同じくらいなわけです。で、そこでこの高尾山は高尾山口という、ここまでは京王線の電車でこれるところ、そしてそこからはケーブルカーとリフトがかすみ台というところまで通っていまして動物園・植物園がございます。ここまではかなり都会的なゾーンなわけですね。そして舗装された参道があります。「薬王院」という真言宗のお寺がございます。ここまでが舗装したところをハイヒールとか革靴で歩いていけるゾーンで、ここまではお正月ですとか、それとか豆まきのシーズンとか、そういったときはたくさんの人が来ます。数百万人の人がここまでくるところなんですね。そこから先は自然研究路が六本ほどとおっております。これは、舗装されていない遊歩道です。高尾山頂があって私が勤めていたビジターセンターはこの山頂にあるんですけれども、そこからさきに今度は東海自然歩道、関東ふれあいの道というハイキング道路があります。これはさらにもっと整備されていないというかもう登山靴で歩くような、その手前はまあ運動靴で、スニーカーとか運動靴が必要なゾーン。まあそういうちょっと分かりやすくこういうわけ方がいいのかどうかわかりませんが、ケーブルカーゾーンとか自動車ゾーンとかそういう乗り物でくるゾーン。それから、舗装道路で歩けるゾーン。研究路で歩くゾーン。それから、もう登山道。そういうゾーン4つに分けてみました。で、こういうかたちで特にそのゾーンの境目でゲートを設けて人数を制限しているわけではないんですけれども、自然にキャリングキャパシティというかあるていどのオーバーユースを防ぐ手立てになっているわけですね。ここからさきは関東ですので、もうちょっと雨が降ればぐちゃぐちゃの関東ローム層です。それから冬は、霜柱でぐちゃぐちゃになってしまうのでハイヒールや革靴ではとてもいけない。ところが、年に数回、ゴールデンウィークのころとか、それから、あるいはもみじのシーズンとか、非常に人が混むシーズンがあります。その時は、このハイヒールゾーン・ケーブルカーゾーンにくる人がそのまま山頂のほうまで押しかけてきちゃうんですね。だいたい、数万人規模がここら辺で止まってくれればいいんですけれど、ここら辺まできてしまいます。そうするとどういうことが起きるかというと、このビジターセンターにですねトイレがあるんですけれども、トイレに入るために列に並んで一時間待ち、展示なんかはろくに見ることができない、自然観察に参加するなんてことはとてもできない。それから、迷子が50人くらい出る。お弁当食べる場所がない。そういう状態になってしまいます。そういうことを経験してるもんですから、何とかこういう所まではですね、それだけの人数が押しかけるのを防ぎたいわけですね。何度かこの、「奥の院」と書いてありますけれども、実際「奥の院」があるんですが、その「奥の院」のところで制限をするというですね、そういう仕組みをやはり作らないといけないと思うんです。で、先ほどの案を見ますに、海上の森の場合ですね、先ほど、「参道」とか、「奥の院」とかという言葉が書いてありましたけれども、先ほどの案はですね、「参道」を使って「奥の院」がこの辺まで南地区に「奥の院」があるというですね、こういう形になっております。こういう形になりますと、先ほど具体的に面積もございましたけれども、展示面積、まあ2 haくらいにしてもですね、建物をその程度にしても造成面積は5 ha、あるいはその周りまで盛り土、切り土、こう埋めていくとこは10 ha、それからそこに行く道路というのが18m道路とかですね、非常に大きな自然破壊になってしまうわけです。ですから、これを防ぐためにもう一度、考え方をこういうふうに戻すしかないんじゃないか、これを皆さんでちょっと議論していただきたいんですけれど、どこに「奥の院」があるんだろう、私はこの西地区のあたりにですね、「奥の院」、ここから先は「奥の院」だという境目があるのだと思うんです。で、そこが、そこまででハイヒールゾーンにくる人達、一回、一日何万人とくる人達は止まっていただいて、そこでちゃんとですね、先ほど加藤さんからお話がありましたようにレクチャーを受けてある程度定まった人数の人がここから先に入っていく。私はここから先は絶対使っちゃいけないというようないい方をしてるわけじゃあありません。この先はスニーカーゾーンとか登山靴ゾーンじゃないかというふうに申し上げてるんですね。で、なぜここかというふうに申し上げるとですね、ひとつは自然環境の面の影響がここからさきに道路やパビリオンなどを作るとあまりにも影響が大きすぎるということです。それからもうひとつは歴史的な理由があります。お配りしたところにですねこうしたものがあると思うんですけれど、ここにですね西地区、具体的にはですね、愛工大のところからこちらがわに西地区の方に入っていく道、それから南地区の方に行く道、と、この境目があります、このところにこういう石碑があるんですね。この石碑を見ますと、左の方は瀬戸道とか書いてあるわけですけれども、ここに大日という言葉が書いてあります。ここがもしどんどん人が使っていい里山の部分だったら、これは馬頭観音とか地蔵尊でなくちゃいけないんです。大日というのが書いてある、大日如来というのは、私その仏教の方は詳しくありませんけれども“習わぬ経を読む”でそういうふうに習いましたところによると、真言密教の方では一番最高の仏さんですね。普通は、飯豊山だとか出羽三山だとかそういったところの一番「奥の院」に奉られている。そういうものが大日如来です。で、ここに“大日”という言葉が入っているということは、昔の人々は「ここから先は、大日如来の領域だ」と。つまり、ここから先は「奥の院」だと認識していたということではないでしょうか。もういちどどこから先が「奥の院」で、そこから先はスニーカーあるいは登山靴で行かなきゃいけない場所なのか、そういったことをもう一度整理しないと、どこまでは会場、登録会場にしていいのか、そこから先は舗道でいかなくちゃいけないのか、ということが整理できないんだろうと思うんです。わたしはここに昔の人が立てた石碑、これは正しいんじゃないかと思っております。

□ 谷岡委員長

なんか、めちゃくちゃ納得してしまうこと言われてしまったので、そういう段差をつけるといいますか、案を、段差つけるといいますと物理的段差ではなくて心理的段差であるとか、それから入るということについてこう、皆さん同じだけの、5000円ですか入場料を払ったらみな同じだけ権利があるんだよというところから、ある種その、形式だとか認識の高さ、あるいはその準備、そういうものを含めて、そういう差別化みたいなことをきっちりやっていくことが必要なんじゃないかと、これはほんとに非常に新たな示唆を受けたなというふうに思います。じゃあ、戸田さんお願い致します。

□ 戸田委員

先ほど、海上地区利用の分類をいくつか示しまして、あの分類を利用して、私は、 利用の方のプランナーでございますので、そういうことを考えてみたということです。
基本的に3つの考え方を、お持ちしました。一つは、集合しない。あたりまえですけれど、集合しない施設にする。これはどうするかというと、既存の道路から接続できるということであります。そのことによって開発の分散ができる。それから二つ目にはEXPOは一過性であるというお話がありました。一過性ということは一過性のとき、つまりその会期中と会期後で、ハードが変わるべきだろう、というのが二点目であります。三点目に、先ほども吉田さんのお話を伺ってまして、自然って非常に微妙だと、ということがあります。だからなるべくその場所場所を細かに選ぶことができるような利用というのがないだろうかということです。そういうことで、私あまりこの地区をよく知らないで大胆に絵を書いたということでして、概念として受け取ってもらいたいと思います。
(OHPを使って説明)
 一点目に申し上げました、集中的に施設を造ると、切り盛りをまとめてやらないといけない。そのためには既存の道路に接続して分散しないとできないということがあります。今の案は全部ここ(南地区)で止まっているということですから、それをこえて東側は、人工林地区で保安林等かかっているということを伺いました。しかしながら、これから調和を考えていく上で、既存の制度指定も見直してみるということを前提にしております。ここは自動車に対応できる道路が入っているわけですが、その道路からアプローチをすることはできる。こういったところでかなり分散的に、恒久施設をつくることができるんではないかと、いうことであります。それも、集中時期である会期中と会期後というのはずっと変わるであろうと考えます。会期後になるとずっと人の利用も減りますから、こちら地区全体に対する負荷が減るであろう。なおかつ同地区に対するシンボル的なものを残すことはできるだろう、ということが一点です。もう一つは、アプローチをなるべく分散していこうということがありますが、どうしてもこちらが海上地区、YPが入りますからこちら側から入らなくてはならない。
これがずっとこの南地区に入っていくということであります。これは、ずっとご提案 があったようになるべく人と車の分離をするということだと思いますが、この場合完 全に車を東側に持ってきますので、車側からのアプローチはこちら、サービスもこち ら、という形を考えたらどうか。で、西側からを歩道だけにするということでありま す。それから、一番問題になるのがおそらく奥の院がどこかということです。この辺 りのところなんだろうと思いますけれど、ここを一本の線として、束として、道路を つくらない。束から糸へというふうに書いてありますが、分散して糸にすることによ って環境の負荷を減少して、そして細かな配置を選ぶことができるんじゃないか。ま た、会期後撤去するような形もとることができるんではないかということであります。
そういう施設形態をここに分散的にして見たらどうだろうと思います。南側は回廊型のパビリオンであって、バーチャル技術があり、当然この全体をパビリオンとして使っていくことができるであろうということであります。そして、自然環境との問題として、この辺がまずいとか、もうちょっとこう分けた方が良い、そういった配慮がここを利用する考え方としていくつかとることができるんじゃないかということであります。繰り返していいますと、東側に施設的なものをおくことにして、ここでは地球パビリオンということを書きましたが、NPO,NGOといったこれから主要なテーマとなる機関の交流の場を据えてみました。会期後は南側の交通線は非常に細くなります。で、東側からアプローチをする既存施設は残る。というような形のものはどうだろうかということです。

□ 加藤(徳)委員

車道といわれましたが、車道という認識なんですか。

□ 戸田委員

どういう意味で。

□ 加藤(徳)委員

要は林道なんで、車が通れる道なんて全然ないんですよね。整備も何もされてないんでちょっと車道という言葉はよくわからない。

□ 戸田委員

それはこれから議論していただければいいと思いますが。いずれにしても南側で手を入れることができないという前提で、もちろん今の道路で良いということはもちろんないと思います。また、東地区の環境容量とのバランスもありますから、それをこれから議論していだだければいいと思います。

□ 加藤(徳)委員

ただ現状認識だけちょっと違っているのではないかというふうに思いました。

□ 戸田委員

わかりました。ありがとうございました。

□ 谷岡委員長

戸田さんちょっとお聞きしたいんですけれど、今人工林のスギ、ヒノキの部分をむしろパビリオンとして使おうと、そういうことですか。

□ 戸田委員

はい。要するに、また車道というと怒られますけども、既存の林道ですか、それについてはわかりませんが一応道路が入っているというのと、沢沿い、下のところで、南を開発するよりは負荷を下げてすることができるんじゃないかということです。それについては現地をよくご存知の方とでいずれにしても即地的な問題は私はわかりませんので、それはこれからお詰めいただくことだというふうに思っております。

□ 谷岡委員長

武内先生どうぞ

□ 武内委員

あの、吉田さんと「奥の院」論争が生じるであろうということは、私別に下打ち合わせをしたわけじゃないですけれども、おおよそ予想しておりました。それで私、繰り返し南地区における小規模な開発の必要性を申し上げることは致しませんが、ひとつだけ私のほうで主張しておきたいのは、吉田さんはこれをですね高尾山を例にとっておられて、いわば、何十年にもわたってインパクトが加わるという前提での高尾山の模式を海上の森に当てはめようとしている。しかし、私はですね前に言ったと思いますけれども博覧会の会期中のインパクトというものとそれから博覧会後何十年何百年と維持されていくであろう海上の森における人的なインパクトというのは、当然これは分けて考えるべきであって私たちがなぜワンランク上のインパクトを提案しているかというと、それは会期中においてはそのことは博覧会の開催ということを前提にすればそうならざるをえない、しかしその後のですね超長期的な収容力のことを考えればいずれは解決することになるのではないかという、こういう希望を持ってのことでございます。もちろん一過性のイベントがもたらす環境の問題について、「おまえはちゃんと考えてるのかと」ということは言われると思いますけれど。それについては今後最大限そのことを考えていくと、その中で厳しく批判もいただいた上で繰り返し申しますが高いレベルでそれを達成するということを目標に掲げてみたいというふうに思っております。
ちょっと先ほどの話のなかで実は私南地区も含む中央部の開発をBゾーンといったようでありましてこれはAゾーンの間違いでございますので訂正したいと思います。

□ 吉田委員

二つだけ、今武内先生がおっしゃった中で、高尾山は何年も何十年もインパクトが続きますけども、その代わりですね、休みの次の日はパタッと数百人しかこない日があって、その、休みがあるわけですね、ところが、博覧会の場合はかなり高いレベルの高尾山で言えば一番込んでる日のレベルの混み方が半年間ずっと続くと、これはやっぱり大きな物ではないかと思います。それからもうひとつは、インパクトが全体的に広がることを防ぐために施設を作るというお考えだと思うんですけれども、それがまた非常にこの南地区に大きな影響ではないかと。まあ、その2点を指摘させていただきたいと思います。

□ 金森委員代理

今の武内委員の話を聞いていて心配しますのは、先にまとめられた協会の案がBIEに何の為にけられたかをよくお考えいただいて、登録できる案を作っていただかないとならないと思います。例えば、ドイツで原発を止めましたがあれも無関係ではないです。ヨーロッパの事情がそういうふうになっている。おまけに誘致するとき理想的なことを言って旗を振ってカナダに競り勝ったとそこまではよかったんですが、カナダはしっかり監視をする立場に回ったわけです。それできちんとBIEの要求事項をクリアできるのか。この頃ポロッとBIEの人がハノーバーかどこかで「我々は環境の専門家ではない。ヨーロッパの多くの国々が反対したり、緑の党やグリンピースが動き出したらなんともならない」と言っていました。彼らが恐れているのはそこなんです。ちゃんとクリアできるようなそういう案を提出して頂きたい。それは前から委員をやっておられる方の責任だと思いますし、この頃の黒田総長の話を聞いておりますと何を理解しているんだろうと思います。BIEにすっぱ抜かれたときも、「でるべきものでないものがでてしまった。」とか「説明に行けば何とかなる。」と全く理解しないでいったものですから、またつき返されて帰ってきたということを、高給をもらって責任を持たずにやってもらっては困るので、今度出すときは通るものを、どういう条件をつけられているのかしかも審査に来る。これは明らかにカナダが後ろで指図している、カナダは環境に関しては日本よりもはるかに進んでいます。それをクリアしなくてはいけないということを肝に銘じて責任をとってください。

□ 森川委員

森川です。先ほどの私の資料で説明し忘れた点が1点ありまして、資料(20)P.73の裏にこの検討会議が当面答申すべき事項を私なりにまとめてみました。予定ではもう一回で終わるということですので、今日のお話のように「ここは手を入れるべきだ。いや手を入れないべきだ」ということをやっていると何を答申すべきかがだんだんぼやけてきまして、少し見ていただきたいのですが答申すべき事項が(1)(2)(3)(4)(5)。その後具体的な会場計画になった後にしっかり環境影響評価をやり、それが環境博としてテーマと整合するかというのをこの会議でモニタリングしていくのではないかと考えています。じゃあ何を答申すべきかということを海上南地区について申しますと、これは私だけの考えではございませんし、思いつきでもございません。これは半年ぐらい企画運営委員の有志と一部の環境NGOの方の何度もインフォーマルに話し合いを持ちました。そのときに今日のようなことを想像しておりまして南地区、里をどうするかといったら100人いたら100人様の考え方がある。そうすると登録すべき会場というのは、吉田さんの話ではないが、「奥の院」西地区辺りを7月2日の時点で登録すべき会場。しかし、540ha先ほどのプレゼンテーションで申しましたように、まさに海上の森こそが環境博の大木の要ですから、精神的には登録すべき本会場ですが、先日の黒岩さんのお話聞きますと、登録会場といいますと非常に保税措置とかVIPを連れて行くような道がないといけないとかハードルが高いということですので、登録フィールド会場というのは、協賛会場といわなくては仕方がないかも知れませんけれど、今後南地区、里、北地区、これはどうせ、ふれあいの森構想、新住事業として県が買った土地ですから有効に利用していかなければいけない、保全、活用利用していかなければいけない場所ですのでしっかりと考えていかなければいけない場所です。ですから7月2日までに海上の森全体の利用の仕方を考えるのはとても無理だと思います。ですからこれは黒岩さんの説明された登録会場からはずして、今後3ヶ月なり半年なりかけて、または2005年までかけてもいいかもしれません。今後、恒久的に利用していく施設、そして博覧会期間中は当然「奥の院」から吉田さんがおっしゃったようにレンジャーが連れて行くのか、携帯端末を持っていくのか分かりませんが、海上の森全体を登録フィールド会場か協賛会場か分かりませんが、精神的に海上の森を使っていくというような案を。

□ 谷岡委員長

確認事項ですが、登録会場から海上の森を外すとおっしゃっているのですね。

□ 森川委員

西地区は、黒岩さんのおっしゃる今までの登録会場ですが、540ha全体を登録会場といっていいのか分かりません。黒岩さんの定義でいうとこれは登録会場であり得ないです。

□ 谷岡委員長

丁度いいことを言っていただきました。今までかなり自由にご議論いただきましたが、まとめに入りたいと思っていますので収束、議論を収束させる方向でリードさせていただきますが、保全の問題6者合意でも当然のことでしたが深くかかわる問題でした。この問題について少し議論をしていただきたいのですが、公園なのか、NPOがやるのか、NGOがやるのか、一切国や県等の公の費用がなくても保全しましょうという話なのか、やはりそういうものがいるよという話なのか、その辺のところが登録会場うんぬんというものに大きくかかわってくるが、そこについてはどういう考えをお持ちなんでしょうか。森山さん。

□ 森山委員

ようやく公園化に関わることが出てきたもんですから、私の意見を申し上げます。この前の公園化ということに関して林さんと糸魚川さんから色々な危惧が出されました。ひとつは「里山というのは基本的にその地主、住民が管理していくものなんだ。」というご意見で、ところが、海上の森の現状を見ますとご存知のように、今日の資料-3のP.74に載っておりますが、頁の真中辺りに私が情報公開で得た資料を示しておきましたけれど、9割5分以上のほとんどは民有地が買い上げられまして、地主さんがごくわずかしかいないという現実です。そのために全部で186億円と新住の区域で125億円のお金を費やしている。こういう現実があるということを十分踏まえていただきたいのです。こういう事実がある限り現在は大部分が愛知県の土地所有になっている。私が先ほど強調したように、海上の森の田んぼはほとんど県有地になっているという現実があるわけです。これで果たして住民は、私の知っている限りでは3人しかいませんし、出耕作で瀬戸の街に住んでいながら田んぼをやっているという5~6人の方がおられる。これでは里山の維持管理はできっこないわけです。どういう風に考えなければいけないかというと、誰か田んぼを管理し里山林の手入れをするといけないとするならば、市民しかないんです。ですから名古屋でも瀬戸でも尾張旭でもそこに住む人達が、今まさに全国で市民運動が展開されております。里山林を守っていくために市民がいって、地主さん達と関係を深め、里山林を守る運動も行っていくわけです。この辺りは草刈さんとか古南さんよくご存知だと思いますが、そういう時代になっている。近郊の地域の都市住民にとって森が貴重な存在になっている。価値があるわけです。そういうものに都市住民はアメニティー空間としてそれを体験をしてみたいという願いをたくさんの方が持っています。県有地を提供しながら市民参加というかたちでやっていくためにはどうしたって公園化せざるを得ないと考えます。

□ 谷岡委員長

公園化しなければいけない理由は?

□ 森山委員

現在の公園というとレジャーランドで芝生があって遊具が置いてあってプールやスポーツ施設がたくさんあるというイメージがありますが、そうでない公園だってやり得るんです。例えば都市公園法という法律がありますが、県営公園などは都市計画施設の中の都市公園になるわけですが、その場合には「幹線道路が6m以上にしなければいけない」等の細かい規則があります。ところが私達が提案している国営公園の場合は、地域の実情、公園の性格付けをきちんとすればそういうこともしないですみます。国営公園にはそういう利点があります。愛知県は膨大な赤字を抱えているさなか186億円とか125億円かけてしまう、新住がなくなってしまった今、回収するあてが全然ありません。これを回収するためには国に何とか出していただく、国営公園ならそれが可能だということです。私はそんな風に考えます。

□ 山田委員

皆さんからいろんなご意見いただいて、今里山の話も出てきました。森山先生がおっしゃったように海上という地域には数人の方が住んでおられて、なおかつ田んぼをやっておられる方は5~6人だろうと思います。ですが吉野の方も含めて海上地域A.B.Cゾーン全部そうですが、それ自体が私ども山口地域の農業用の水源になっています。あの山全体がそういう観点から言うと大事な水源になっています。今現在海上の第2ダム、通称大正池といわれているダムも農業用の水源になっております。以前にもうひとつ先ほども話に出ましたAゾーンの県がお買いになった銭屋鋼産の跡地の近くに山口ダムというダムがありました。これは十数年前に埋まってしまいましたが、篠田池よりも大きいし、相当量の水がためれるダムでした。理由はわかりませんが埋まってしまいました。その代わりに海上の第二ダムといういわゆる大正池が農業用水力を持ったダムということでそのダムすら今は少しずつ埋まりかけています。博覧会のことで、あの山にほとんど手を入れてないものですから、常に土砂が流れて、以前は愛知県が山の管理をずいぶんされていろんなところに砂防の堰堤が造られて、それがことごとく全部埋まって、最後の砦が沢で言うと大正池になっていると思いますが、それすら少しずつ土砂が流れて埋まりかけています。ですから、あの山は管理しないとどんどん崩れていってしまう。これからまだ田んぼを続けていくという条件がついておりますので、その辺も十分皆さんでお考えいただいて会場のこれから造成されることについても検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

□ 谷岡委員長

先ほど北岡さんから手があがっていますので、北岡さん、高垣さん、隈さんというふうに行きたいと思います

□ 北岡委員代理

公園化についてはどうしてあえて海上の森を公園にしなくてはいけないのかを、海上の森を訪れる人達はそうおっしゃっている方が多い。国営公園というのは建設省の管轄で、海上の森の保全を考えたときには、地元の要請があったら、道路ができたりテニスコートができたりプールができたりするような公園ではなく、自然の中にある生き物と人が対等なかたちで触れ合える場所として残して欲しいと思います。名古屋近郊には唯一残された豊かな生き物達の宝庫なので、公園にすると結局人が管理して何らかの利用をしたいとなってくると思うんですが、利用とかそういったことではなく、様々な生き物に触れ合う場所ということで、国営公園ではなく自然公園とか環境庁がやっているふれあいの森なり環境庁管轄の愛知県の自然環境保全地域とか、本当に自然を残す方策もあるのであえて海上の森を守ろうという時に、公園という手法をとらなくても自然環境保全地域なり、鳥獣保護区なり、私達は世界遺産にして登録してほしいといっていますが、世界遺産にするにしても人の手を入れるか入れないかにはいろんな意味がありますが、全然人が入るなということではなく、景観そのものを文化的な景観、大切な里山景観として人が生き物に触れ合う場所として残してほしいというふうに思っています。後ひとつ、田んぼの整理ということをおっしゃいましたが、あそこには8人の人しか住んでいないとおっしゃいましたが、実際に8人の中の3人はずっとそこに住んで田んぼを続けていってあそこで生活をしていきたいという人達なので、よその人達が勝手に入ってきて、「ここをこうしたらどうか。」という以前にあそこに住んでる人達の意見ももう一回きちんと聞かれた方がいいと思います。泣く泣く田んぼを手放した方も見えるので、田んぼを耕作するんでしたら以前そこを持っていた人達がもう一度そこを耕作するとか、あそこにすんでいる人達も尊重していただきたいと思います。

□ 谷岡委員長

北岡さん1点明確にしたいんですが、世界遺産というのはユネスコがやっているやつですよね。

□ 北岡さん

そうです。世界遺産といっても自然遺産と文化遺産があって最近は複合遺産というのが世界遺産の中の登録基準に入ってきたんですが、そこの中にアジアの自然風景とかを文化的景観ということで登録基準にあがってきているもののことです。

□ 谷岡委員長

景観といってしまいますと、そこまでは道を引いたりするということになりませんか?たくさんの方にそこに行ってもらうとか、そういうことではないんですか?

□ 北岡さん

そういうことではないんです。今ある日本の里山風景をそのままということです。

□ 谷岡委員長

どこから見るんですか?

□ 北岡さん

見るとかそういうことではなく、体験して感じるということでも景観・・・

□ 谷岡委員長

体験はどのくらいまでしていいんですか?

□ 北岡さん

毎日毎日何千人と訪れるのではなく、今丁度一日にピーク時を除くと平日などは200人か300人程度です。ですからこのくらいで目いっぱいだと私は思います。博覧会の人数についてはこの間WWFジャパンの草刈さんがおっしゃったように日本全国里山エコツーリズムをやればそれぞれの地域でそれぞれの人達が、それぞれの里山を発見すると考えれば人数についてはどういう風にでも考えられると思う。

□ 谷岡委員長

ありがとうございました。高垣さんにいきましてそれから隈さん木村さん、そこでまた議論を止めたいと思います。

□ 高垣委員

実は国営公園を進める会の提案に対しては、木質発電プラントを、万博会場にということで木をばさばさきりましょうという提案に私は反対します。
それと共に先ほど言われた既存の公園のイメージを越えてということに関しまして私が調べたことについて話しをしたいと思います。都市公園といいますと利用の皆さんが遊んでというイメージがありますが、最近建設省が1995年1996年大至急資料を出しても結構ですが、新しいタイプの都市公園というものを考え出してきています。都市林という内容の公園です。都市林というのは、ヒートアイランドの防止、野生生物の保護のために樹林地を保全していくというような都市公園です。都市公園のイメージが変わってきているというようなことなんですが、実際の例としては、大きい都市林による公園はまだありませんが、神奈川県にはやま三ヶ岡山緑地というのがあります。ここなどは、ハイカーも訪れないような、周りの人にここに公園があるのか?ときいても「えっ?それ公園なの?都市公園って何?」という公園なんです。もうひとつは都市公園法の都市林と言う考え方を用いてオオタカの保護をやっているところもあります。都市公園ということで、рヘ国営公園でも都市林でもいいんですが、利用規制がきちんとできるんです。先ほどから私「オーバーユース オーバーユース」ということを繰り返していっていますがオーバーユースを管理していく一つの方策として、それができるということです。建設省がかかわると建設省はドンドンお金をつぎ込むが、私もそんなにたくさんのお金はいらないと思いますが、年間2~3億ぐらいあればいいんじゃないかとも思いますが、ランニングコストが必要になってくるので、ランニングコストの面、利用コストの面、自然の保護をしていく上での担保をしていく上でも、都市公園法というものを使ってやっていくということは自然保護の上で積極的な方法である。国営公園には問題点がひとつある。これは考えていただかなければいけませんが、コンセプトが自由なんです。コンセプトが自由でさあ話をしましょうとなると、人間中心のコンセプトにどうしても流れていく。「これは都市林のコンセプトを用いた公園だ」としていく必要があるということで、様々な法的保全策についてはあると思います。これがどういう長所を持っていて短所を持っているかということはきちんとした場できちんと話をしていきたいと思います。

□ 谷岡委員長

ありがとうございました。実はそれをやっていただきたいからこそ県にお願いしようと思っておりますが、皆さんは万博で使ってもいいよ。その後本当に豊かな自然になるように、そしてその他の多くの里山ですとか、放置されてきた様々な森といったものがこれから生き返って行く手立て・モデルになるようなことをここでやっていただかないと、何の為に一定程度の自然の改変などをしなければいけないのかということの意味が、あそこで万博をやらなければいけない目的・意味というものがちゃんと出てこないではないかということが、大勢のご意見だと思うんです。私が知事にお会いしましたときに、知事はあそこの保全については県を中心として、国にどんなお願いをするかということは別問題としてやはりここに関わってこられた環境団体を始めとする市民の方々を含めて様々な方々にきちんと議論をしていただく場を作って、検討会議の中で保全の細かい方法、仕組み、今高垣先生がおっしゃったような、法律上のどういう枠付けで、法律だって人間中心の解釈からどこがどのように動いていかなければいけないのか、どのような設定をしていくのか、これもまた検討会議の大きな課題になってしまうような大変重要な問題だと思うんです。ただその問題はほっておいて万博に使っていいよ、ここがどうなるか分からない、また今度荒れ果ててしまうかもしれないという状況で簡単に使えるとはおっしゃれないと思うんです。ここはまだご議論が続く所なのかもしれませんが、私として県に特にお願いしたい。環境庁、建設省色々な方々が、協会等でもかかわってらっしゃって、そこでお願いでございますが、皆さんがそこの部分について最大限に知恵をお出しいただきたいと思いますし協力していただきたい。また環境団体を始めとする委員の皆様を始めとして、「何年かかっても頑張ってやり方を考えたほうがいいんじゃないか」という森川委員からのお話がありましたが、万博について登録に間に合わせようと思えば、ここでどれだけのことをやれるかについては別問題といたしまして、少なくとも後の保全の問題については、時間が一定程度あると思うんです。一方ではそのめどがたたない。自然保護団体を始めとして皆さん方が「万博として使ってもいいよ」ということにならないと思いますので、ここは私委員長として県のほうにお願いいたしますのは、早急に保全の問題のありよう、どこの省庁にまたがる公園なのか、別のやり方なのか、あるいは世界遺産なのか、県の保全の指定なのか、こういうことを含めましてきっちり検討していただいて、最良の永続的な海上の森の維持運営管理のあり様という仕組みを考えるような場を別途県の責任で設置していただきたいといいますのは、2005年の万博が終われば万博協会というのは保証を担保できる機関ではなくなるわけですから、当然恒久的、県は恒久的ですよね?県は恒久的だと思いますので恒久的な存在である県のほうがここの部分はお引き取りいただきまして、検討会議との話の連動の中でその問題は検討されていくんでありましょうけれど、そこを中心にお話いただいたほうがいいと思いますのでぜひそういう風にやっていただけませんでしょうか?

□ 愛知県 森国際博推進局長

第二回の検討会儀の時にですね海上の森の保全と活用についての検討案を出していただきましたけども、それ自身はもともと4月4日の三者合意の文書にもですね、海上の森の2005年後のあり方といいますか、も書いておりまして、そこでは地元関係者とか自然保護団体なんかの意見をお聞きしてやっぱりしていかなきゃならんということも言っておりますしね。

□ 谷岡委員長

だからじゃあよろしいわけですねリセットしてゼロで初心に帰って、原点からきちっとつめていただくと。

□ 愛知県 森国際博推進局長

博覧会をしっかりあそこで展開するということを大きなきっかけにしながらですね、540を2005年後にどうやっていいかということについて、しっかり主張していきたいと思っておりますし、もちろん地元関係者、NGOを含めてですねしっかり御意見を聞いてきたいと思います。

□ 谷岡委員長

例えばお造りいただくように努力いただくと。はいそこはひとつ担保していきたいと思います。

□ 糸魚川委員

はてしなく議論をなされるということでしょうか?

□ 谷岡委員長

いいえ違います。ここまでを今日の実はやりたかったことでございます。

□ 糸魚川委員

熱心な議論に水を差して申し訳ないんだけれど、やっぱり4時間というのは私の年齢にはたえかねる時間ですので、

□ 谷岡委員長

はい、実は私も10時をめどにしなければいけないと思っておりましたので

□ 糸魚川委員

約束は9時ということで

□ 谷岡委員長

はいわかっております、しかしもう一方の7月最初という約束も非常に重視しておりますのでお許し願いたいと思います。ここで私は今日のまとめに入ろうと思っておりました、なぜここまでの議論を知っていてあえてやったかということを御説明いたしますと、

□ 糸魚川委員

いいですから、

□ 谷岡委員長

わかりました。じゃあ3分ずつお願いできますか?

□ 隈委員

BIEが恥ずかしくないというお話がありましたから私BIEの登録の最初の時から知ってるもんですから、お話をしたいと思うんですが。BIEに最初にプレゼンテーションしたのは、50ヘクタールの会場でした。それは團と私と竹山と3名の建築家で出したんで、BIEがさきほど評価した案というのは50ヘクタールの案でありまして、それにくらべますと今回の今日提出したものは、のり面も全部含めて南で13、西で3.6合計でも16.6というものです、それから先程森川さんが登録うんぬんというお話があったんですが、これも私海上を登録申請しないのは難しいのではないか、実際2月にBIEの議長とか事務局長と話をしたときに、彼等は海上に非常に注目しておりまして、おまえたち海上をテーマゾーンで非常に大事なのをわかっているし、自分達もそう思っているということも、そこどうなるんだと。テーマ館というのは万博でテーマをやるとこは非常に重要で、ハノーバーはテーマだけで数十ヘクタールのパビリオンを作っている。それにくらべて愛知のはどうなるんだと。我々は非常に規模は小さいんだけども、自然と一体になってテーマをあらわすんだと言ったら、じゃあ早くそれがどうなるか見せろ、ということで非常に注目度は高いので、それを登録にださないというのはむずかしいんではないかと思いました。

□ 木村委員

私は環境派に近いんだけども、あえてね若干の改変を含むような会場計画をやっぱりやってほしいと思っています、ただしそのあと森山先生おっしゃるようなきちんとした保全策をとれるかどうかということはきちんと担保されるかどうかにかかっております。僕はなんでみなさんが国営公園にそんなに言葉の問題でこだわって反対されるのかわからない。これから新しいタイプの国営公園を作っていこうという提案をなさればいいだけで、それをほんとに建設省なのかあるいは環境庁にもっていけよという話しなのか、合議体でやれよという話しだとか、これからの話しだと思う。今有るイメージで国営公園に賛成だ反対だという議論はやめにしていただいて、あとはきちんとやろうよ、今も委員長すでにおっしゃったけれども、あとは県と国とがきちんとやれるかどうかを私達が見届けるだけだと思っております。以上です。

□ 谷岡委員長

井戸田さん、本日まだ一度もご発言ないんで、どうぞ。ではこれで今日は私はしめたいと思います。

□ 井戸田委員

よろしいですか。だいたい議論をお聞きしておりまして、私森のことについては素人なのですが、大きく見まして今、結局日本というのに期待されてるのは、今まで日本は西洋一辺倒。どっちかっていうと、西洋の映画、西洋のいろんなものの考え方。明治以降それに興味を持っていろんな文物をとりいれてきて、今ここで日本的なものの新たな見直しというのが、衣食足りて日本的な文化にたいするいろんな思いは市民の間にもでてきてると思うんですね。それで今の武内先生のお話にもありましたように、おそらく先生も例えば、西洋の技術、西洋の建築、いろんなものを見てきたはてに、今度日本的なもの日本らしい優しいしなやかな日本の文化にのっとった日本の自然との共生の、西洋に今までなかったありようを提案されているんじゃないかと思うんですよ。そういう建築をやってみたい、そういう美術をやってみたい、それは私達低公害車でも同じなんです。今までガソリン車でばぁ~~~と音をだしっぱなし、わ~~~っとこの世界に対してアピールしていく自動車のあり方から沈黙を愛して自然と優しい環境を持ってきた、日本の自動車というものを作ってみたい。そういう願いが市民の中にも100年も自動車勉強してきてあるんです。そのへんの潮流をふまえたうえで、みなさんにも日本らしい技術開発、今転換点なんだと、いうことをふまえて自信をもって、なにもBIEや西洋の考え方だけが世界の考え方じゃないぞと、こらからはアジア的なものもいろいろ提案できる今がチャンスだと、そういうこともふまえて、今後の検討会議の議論も自信を持ってすすめていただきたいと思っておりますし、私もそうするつもりです。

□ 谷岡委員長

その今後の検討会議、委嘱上3月31日までいただいておりますのですが、宿題は7月はじめに一定の答えを出せと、私もこの何週間かは焦りまくりながら、しかし、みなさんの意見をきちっと伺いたいという二律背反の中で問題の中でずいぶん悩んでまいりました、単純に申し上げまして、7月2日には1つの案がでなければならないというふうに思っております。それを出そうと思っております。どこまで、みなさんの意見というものが一定程度出尽くせば、ある意味での案をだせるのかを私にとっての今日の課題でございました。
そして私はそれをつくらねばならないと思っております。これはみなさまに対するお願いですが実は7月2日には、委員長試案を出したいと、思っております。しかしこの会がここまでやってこれたのは、みなさんのほんとうにものすごい御努力、御協力のおかげであった。私はみなさまからの提案というのがここにこれだけのものがありますし、これは今何度も読んでどういう形で一つの案をここからつくることができるんだろうかということをここ2週間くらい考えてきました。私の結論といたしましては、それができるということであります。なかには様々な海上の南、青少年公園ということだけではなく、そして、ほんとに今の井戸田さんからお出しいただいたように、藤原さんからもお出しいただいてるように、國分さんからもお出しいただいてる、ほかのみなさんからもいただいている、たとえばソフトウエアに関する様々な案というのもございます。そして私達は一方で、海上の森の使い方というものをごく制限された形で、始めに4千万とお聞きになっていた方から見れば、非常に縮まってしまってしまった万博案を出すことにあろうかと思います。しかしその一方で今日山田さんたちに語っていただきましたように、21世紀の社会へ向かうほんとうに重要な実験の場、野心的なチャレンジを行わなければならないということも事実でございます。そしてその片手落ちに一方の縮んだ話だけしてしまっては、これは検討会儀の結論になりえないと。一方こういうふうに新しい万博をやっていただきたいということを含んだことを提示していくべきですし、またそういう案をみなさま自身がお出しになっておられます。私はこの作業をこの一週間をかけてやろうと思います。ただ一人ではやりたくないと思います。実はみなさまにまた負荷をおかけする話しで大変申し訳ないのでございますが、委員の皆様方に御協力願いたいと。私はこれから、夕方6時か7時から毎日協会の入札室4階でございますけども、ここにつめようと思います。私自身が。そして、私自身がどのような案を作れるかということをそこで、みなさまとともに作業をやっていきたいと思っております。で、毎日もちろんこれる方がいらっしゃれば、それはもうその方に抱き着きたいくらいでございますが、そういう方ばかりではなかろうと思います。でも本当にどなたでもけっこうですし、この委員の方々、あるいは委員の代理者としてこの間活躍していただいた方。協会のかたがたで、仕事が終わったかたで、5時以降にボランティアをしていただこうという方々。ぜひお手伝いをしていただきたいと思います。
私の方も、必要不可欠な専門家として、ここにはいらっしゃらない方々で、プロデューサー、イラストレータ。これは一つの大きな絵にできやしないだろうかということを考えております。まだYPの問題が青少年公園についてつめなければいけない問題が当然残っているわけですから、実はそこはあけたままにしておいて、たとえばどういうYPのことを考えるのか、どれくらいまで入れられるのか。この問題は来週当然やらなければなりません。また、その作業をすすめるうちで、まだここはつまっていないじゃないか、ここはぜひとも検討会議でやらなければならないではないかという点が見えてこようかと思います。しかし、それを私の整理の仕方としまして7月2日への宿題として残したい。一方ではある種の提案というものがみなさんの手で手伝ってやれるような状況を、つくりたいと思っております。どうか私はとにかく一週間ここでがんばろうというふうに思っております。7月2日になんらかの形を提案したいと思いますので、お手伝いいただける方、お手伝いいただきたいと思います。実際にはその委員長試案として出すかも知れませんけど、心はこの委員会の合同案であるというものをこの一週間に作成してまいりたいと思います。以上です。
長々とすいません。事務局へお返しします。