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第5回「愛知万博検討会議(海上地区を中心として)」議事録

委員からの提案(その3)

□ 谷岡委員長

どうもありがとうございました。いろいろご議論はあると思いますが、議論は後回しします。では次に、3番目の議題であります、委員からの提案の説明です。山本さん、武内さん、隈さん、森川さん、辻さん、という順でやりたいと思います。では最初に山本さんのほうからお願いします。

□ 山本委員

ただいまは、通産省さんはじめ愛知県さんの方から立派な構想を聞かせていただきまして、私の話がこの場を汚すかもしれませんが、10分という時間がペナルティをいただきまして7分を頂戴しましたので、お手元の資料をかいつまんで話をさせていただきます。
私ども商工会では、添付資料のような商工会事業の活性化を図るとともに住みよい街づくりの一役を担うよう、平成元年にNMCという40歳以上の異業種の集まりである「長久手マーケティングクラブ」および「長久手街づくりクラブ」というものを創設していただきました。今日まで活動させていただいておりますが、3年前より万博担当理事として私も勉強中でございますが、極力美しい万博をやりたいという推進者の一人ですのでよろしくお願いいたします。承知の通り私どもの街、長久手町は自然環境が非常に豊かな、皆さんが先ほど見られましたような海上地区のような田舎でございましたが、時代の流れによりまして田んぼや畑や林を区画整理等に造成いたしまして、現在といたしましては4万を超える急速に大きくなった名古屋圏のベッドタウンでございます。当開催会場の瀬戸市とは、非常に陶磁器の脚光をあびておりました景気のよい昭和30年代頃までは、あらゆる面で瀬戸に頼るところが大でありました。愛知万博が瀬戸市へ招致運動の時には、われわれ商工会はじめ町民をあげて応援努力をやってまいりました。そして関係各位や住民のご尽力によりまして3年前にBIE総会におきまして決定されましたことはご承知のとおりだと思います。この地域はオリンピック招致、またワールドサッカー等、ことごとく失敗してきました。ようやくこの万博により光が差し、この中部圏にとりましては、ひいては21世紀初頭に近世初めて国際的な大事業がやって来るんだと非常に喜ぶ次第です。思うに私の万博の思い出は、大阪万博でございましたが、見るもの見るもの非常に感動したものでございました。開催地の瀬戸市をはじめ近隣市町村にも、非常に万博を契機に21世紀にふさわしいエコ的な街づくりや高レベルの社会基盤整備に大いに期待を寄せる今日でございます。また、個人的には建築設計をやっておりまして、次世紀の環境に配慮した新住計画にも深い興味を持って楽しみにしておりましたが、残念なことに万博の理念に合致しないとの事で廃案になり、まことに残念でございました。来るべき時代の問題提起型万博と唱えているものなら、あらゆる実験などで共存の形で良かれと思うことはどしどしチャレンジしていただきたいと思います。答えは即答で今出なくてもよいと思います。非常に価値観の多様化の多い時代でございまして世間の意見や提案には十分に時間をかけ対応検討することは必須ではございますが、成功万博とするならば施設づくりや自然を守るための施策事業も大いに時間をかけなければよいものが出来ないと思います。実験は不評に終わると思います。そしてわれわれ地元といたしましても、工期が短いと超法規的に突貫工事等されて無秩序な状態となり、そういった悪影響なんかで普段の生活が脅かされるものと懸念しておる次第でございます。当初の瀬戸・海上の計画案は現在見直し・批判等にまどわされ、今青少年公園会場案の発表によりまして、少し地元瀬戸市の盛り上がりや、推進団体の弱体化に憂慮するとともに、私ども長久手町の住民といたしましては、旧態の瀬戸市との関係に気まずい感を覚えとる昨今でございますが、国を挙げての博覧会なので、理解を賜って瀬戸市と一致協力いたしまして成功万博の開催を見たいものです。「自然の叡智」かもしれませんが、世界国際博ですから合意すべきは早く合意し早く決断いたしまして「人間の英知」を駆使して次世代の世界に誇れる環境万博を成功させたいものです。
つづきまして、次ページですが。私も動物や花は大好きでございますが、こういった生態系の学問的なことは浅学でございますので、間違ってるかもしれませんが、一応協会さんのアンケート、論点整理に向けての合意形成にお答えしたいと思います。
1番、博覧会における海上の森の基本的位置付けはどうか。森というと森林等を連想し、当地は森なのか林なのか分からない。私は思うに海上地区は雑木林的景観環境のため木偏に土と書いて「海上の杜」として人の管理を伴ったテーマ「自然との共生」の場とし、人が大いにかかわる裏山的里山としたい。まったく人の手を加えない保全した場合の緑地や河川には果たして未来はあるでしょうか。循環もしないし、また河川等もあのままですと氾濫したり汚泥等も流したりするので疑問であると。
2番、海上の森に期待する働き。どのような場所にするか。これはですね東海環状道路の内側でありますので、将来まったくの自然は維持できないと思い身近で気楽に入山できる、違和感のない普通の里山にしたいと思っております。
3番、前述の働きを実現する為に、森で行われるべき活動。環境教育や芸術・創造・文化の先進的な発信をする活動および施設。
4番、海上の森の安全・活用に関する基本方針、

  1. 整備方針、恒久的な整備方針、里山の共生型自然をバーチャルでなく実際に体感し観察する通路、研究所、展示場、休憩所等の施設を設けたい。
  2. 保全・活用の仕組みといたしましては人(NGOのような市民団体等)の管理による保全と活用。

人が間伐、下草刈等の管理することにより、かえって植生が豊かになり、小動物たちも繁殖するといわれております。ギフチョウやオオタカ等も数多く棲める杜となるのではないでしょうか。しいては愛知万博のマスコットにオオタカを利用したいと思っております。
5番、博覧会における活用のあり方。会場計画の中での位置付け、青少年公園地区との関連
海上地区・・・・
10分のつもりでまとめてきたものですから、誠に今日はペナルティーをいただきまして7分ですんで時間オーバーしましたが、お手元の資料をお読みくださいますようお願い致します。どうもありがとうございました。

□ 谷岡委員長

どうもありがとうございました。次は隈、武内委員にお願いしたいというふうに申し上げていましたね。よろしくお願いします。

□ 武内委員

それでは最初に私から、説明をさせていただきます。資料3の綴じた中に、見ていただきますと29ページというのがあります。この29ページにまとめておりますのは、私ども環境プロジェクトチームの中のフィールド活用部会で検討してきた内容でございます。最初の「万博会場予定地の里山におけるランドスケープ保全と生物層の保護」」につきましては、海上の森および青少年公園における自然環境の保全、活用等についての私どもの考え方がかなり具体的に書かれています。
2番目の「博覧会における生物多様性に配慮した自然環境復元案」ということでございますが、これについては環境を修復するということで生物環境の質を維持していくということを提案してあります。この中には具体的にノー・ネット・ロス、例えば、希少種を結果として減らさないということをどう実現していくかということが書かれています。
3番目の「里山の活性化:里山起源の生物資源の里山での有効活用技術の展開」、これはバイオマスにかかる問題でございまして、これについてエネルギーのみならずさまざまな森林資源の利活用についてかかれております。とりわけCO2の吸収ということを、木質の施設で造りますと非常に効果が高いんだということが書いてあります。本来ならば、これをもう少し具体的に説明をしたいんですが、今日はもう一つの課題がありますので、そちらのほうを優先させていただきたいと思います。
前回この委員会の中で、会場計画についてそろそろ具体的な案を出していただきたいという要請があったと思います。これについて具体的には隈委員の方の担当でございますが、会場計画のフィジカルなプランを出しても、何の為に提案したのか、そこで何をするのかが、まったく示されないままでは、おそらく議論というものが施設系の話に集中してしまって、事の本質を見失ってしまう危険性があるということで、私ども、西岡さん、宮城さんにも加わっていただき、相当長時間にわたって中身について議論をいたしました。その結果を私が概念的にまとめ、それを西岡さんがかなり整理した形で図および表にしてくれました。94ページ、95ページがその結果でございます。94ページの左側はすでに隈さんが前回説明した内容ですので詳しくはそちらの方を再度ご確認いただきたいと思います。右側には全体を読んでいく時の分かりやすいガイドラインを示したものですが、これも時間がありませんのでこれについての説明は省略させていただきます。ここで私が強調したいのは95ページです。結果的に申し上げますと、この南地区および西地区については森を一つの物語とし、そして里山に入ることによってより自然と文化が理解できるという形の、全体構成を考えたらどうなるかということを示してあります。ここでは起承転結ということで物語を組んでありますし、それぞれ空間部分が対応しております。ここでは「門前町」としての西地区。それから「本殿」に行く過程としての「参道」。「本殿」からさらに奥の「奥の院」という4つの構成部分を、非常に象徴的に日本の文化伝統にもとづく空間構成になぞらえてこれを展開しております。これについては吉田さんが「奥山的環境である」といわれたことが私どもにとって重要な発想のヒントになりました。そしてこの「門前町」ではいわば博覧会における自然の叡智というテーマを展示するにふさわしいイントロダクションが行われると同時に、すでにこの場において1つの完結した小さな物語も語られる。従って、この場で帰られる方もそれなりに海上の森に満足して帰っていただけるのではないか。「環境遠足」とか「教材水田」とありますが、これらは全て物理的にそこに水田があるということを確認し「環境ルネッサンス」はそこに人工的な池があってそこを復元すればハッチョウトンボが生息地を拡大できるのではないかということもある程度想定しながら議論しております。さらにその中に入って参道に入る部分、これがどのくらいの人数になるかは議論になるわけですが、当然のことながら歩いて中に入っていくということで、徐々に森にふれていくということになります。触れていく過程のなかで里山学習、生物多様性に対する理解が深められ、さらにその次の私どもが提案している施設の2つの中で、具体的に物事を学んでいくということでございます。1つは文化を学ぶ場。もう一つは自然を学ぶ場。これは跡地利用としては文化的な跡地利用、もう一つは自然史的な跡地利用という形になります。当然のことながら、これらについては開発を最小化し環境修復を行うことはいうまでもありません。また、「里山自然ミュージアム」とかかれている部分については屋内と屋外の一体的設計というのは図られていく必要があると思います。さらにその奥に水平回廊があり間伐材を利用したアート。それから多くの自然との出会い、古窯を活かした展示施設、というふうに通すことによって森の深い理解が得られ帰っていくわけです。行きに見た自然と同じ自然を帰りに見るわけですが、展示内容が非常にすぐれたものであるならば、おそらく帰りに見る風景は行きとは根本的に違ってくるのではないか。そのようなことを通して多くの方々が森・自然・里というものを十分理解し、今後の社会の中でそうしたものの考え方が普遍的なものになっていくことを私どもは願っています。まだこの図の中にはさまざまな余白がございます。こうした余白をこの検討会議を中心とした皆さんの知恵で埋めていき、この物語を豊かなものにしていくことができれば、私どもとしてこの提案を出したことが非常に意味があったと思いますので、ご理解を是非いただきたい。私からは以上です。

□ 隈委員

隈でございます。今、武内リーダーから説明がありました全体に何をするかという話を受けて、どういう会場をつくってやったら一番上手くいくかということで絵をお見せしながらお話したいんですが・・・
ひとつは95ページで、どんなことが行われるかという絵です。ここでは起承転結という言葉を使っていまして、一つの物語に沿ってリニアに連鎖するようにして森の中を展開する会場がふさわしいのではないかということです。これは全般的にバーっと切り開いてしまって、そこに大きな建物をつくるのではなく、等高線を配慮しながらつくった小規模な建物を造って、それを連鎖していくという考え方がふさわしいのではないかと考えております。前々回武内リーダーから、北側は吉田川の水系に対する影響の問題があって使わないほうがいいという話があったが、北側に関しては水平につながっていく細い径路を北側に伸ばしていって、吉田川の南側の連鎖と北側の細い径路がひとつながりになって起承転結の大きなストーリーを展開するというような会場がふさわしいのではないかと考えております。
もう一つ絵を参照していただきたいのは、別紙のほうの議事次第が書いてある紙に3ページ目のA3ものに実際に等高線の入った図の中に、今言いました連鎖する会場がどんなものになるのか入れております。技術的な説明は、今言ったアイディアをどうしたら上手く実現できるかを協会にお願いして検討していただいた結果ですが、技術的な話は後で協会の方から説明があるかと思います。
ここでくすんだ茶色で塗った部分が海上の中にできる平場のイメージで、それを水平回廊と言っている吉田川北側の細い道につながってひとつながりの連鎖を終えて戻ってくるというイメージです。等高線を配慮しながらこの茶色の部分の一つ一つをなるべく適正な規模につくっていって、それがつながっているというイメージが、見ていただくと分かると思います。その中に薄い黄色で書いてあるところに、恒久施設を作って展示・休憩等が出来るようにしたらいいのではないかということです。この中に恒久施設があって森と施設が一体となって後々活用されたほうがよいのではないかということが、私と武内リーダーの前々回からの提案の中心です。一つ一つ分節された建築が森の中で上手い関係を森と作っていくといいのではないか。BIEに一番最初にプレゼンテーションした時から、海上の森を使って、建築と自然が対立するのではなく、建築と自然の新しい関係を作るということをBIEに説明してきて、BIEのほうも賛同してくれたと言う経緯もありますので、そういう新しい提案の建築、それは材料的には間伐材等を中心に造り、CO2固定等の機能を持たせる。具体的には将来屋根にも緑化をしていって、回りの植生の修復等の機能も担わせるなど、色々なアイデアがあると思いますが、そういう建築の新しい提案を行って、森の中に恒久施設を造ったらどうかということです。
重要なことは、西でバスを降りてもらって、そこから歩いていくということです。中にまで車を入れてしまうと、大きな問題、ガスの問題等が出てきますし、大人数を車で入れると道幅も非常に大きくなってきますので、バスは西地区で降りて歩いて南地区に入っていくという考えが相応しいと思います。多少歩く距離が長いですが、むしろ歩くということに価値を見出していただいて、歩いてもらったほうがこの万博には向いているのではないかという考え方をしております。後で協会からの説明があるかもしれませんが、私のイメージとしてこういう平場の作り方をして、平場が南地区で5~6haの感じかと思っております。そこで建坪率が例えば3割ぐらいの建物を造って1.5~1.6ほどの建築になります。前回2.5~3haというお話もありましたが、こういう造り方をすると1.5~1.6がキャパとしてはいいのではないかというイメージです。この中の道路の巾ですが、前回吉田さんから「30mぐらいになる。」という危惧がありましたが、緊急自動車やVIP対応についてはBIEが一番気にしています。「安全性、VIP対応は大丈夫か?」とずっと言われていますが、30mなくてもいけるのではないか。例えば18ぐらいの数字であれば、何とか基準をクリアできるのではないか。それも、道路という形で造るのではなく、そこを人間が通っていざというときに緊急自動車やVIPが通れるという形のものを造り、連鎖してつなげていくというイメージがよいのではないかと思う。以上です。

□ 谷岡委員長

どうもありがとうございました。では次の森川委員お願いします。

□ 森川委員 (OHPを使って説明)

森川でございます。6月12日に企画運営委員が連名で発表いたしましたが、今日はその続編ということです。6月12日には、海上の森と青少年公園の詳細な分析をしまして、その中でネットワーク会場がよいのではないか、とくに「森―街―海」というコンセプトを一言だけ言いましたが、今回はその話を少し詳しくしたいと思います。実はこの「森―街―海」という提案は、1年以上前に、この連名者にもなっております、佐々木葉委員と協会に提案したものがございまして、今日はその原点に立ち戻って、その話をしたいと思っております。まず「基本コンセプト」というところですが、当初海上の森540haを大々的に造成して、産業博としてやると言う事で始まったものが、途中で環境博になり、そのまた途中でオオタカが出てきて北地区の開発を少し止めることになる。昨年の5月で北地区の一部をあきらめて青少年公園に会場を移すが、今年になって北地区をあきらめてこの検討会議が開かれている。我々から見ても言葉は悪いが、なし崩し的な会場計画に見えてしまいます。当初の産業博から環境博にコンセプトも変わったわけですし、このなし崩し的な会場変更が、出展者、出資者の意欲を削がしているのではないかということで、環境博という原点に立ち戻って、出展者、出資者が積極的に参加できるような会場計画の方向性を出すべきではないかというのが第1です。
第2に、海上の森を出て行けということかというと、全く逆です。海上の森こそがこの環境博の重要なポイント。ここでは扇の要と申しました。例えば多種多様性ですとか人と自然の共生、循環型社会というような全てのキーワードが入っております。ですからこの海上の森を最大限に活用したい。最大限活用するというのは、必ずしも大々的に開発して大人数を入れたり、大きなパビリオンを造ることではないであろう。ここでは環境の記憶というキーワードを使いました。森と山と里を保全しながら利活用していくというような会場にしたいということです。あくまでも海上の森が一番重要な会場であるということです。
3番目は、最初に山田さんがご説明しましたように、万博では大人数の人とコミュニケーションしたいのに、海上の森には人数としてあまり入らないので、どこかに大人数の会場が要るだろうということで、この「森―街―海」というコンセプトを出したわけです。これが1年前の話です。ご存知のように20世紀は都市活動が森と海の自然を侵食していった。「IT時代になぜ万博などという20世紀型の事をするんだ」とよく言われますが、バーチャルではなくリアルな体験、リアルな出会いというものが万博では重要であろう。これは先程山田さんがおっしゃったリアルなコミュニケーションだと思います。会場もバーチャルではなく、リアルに環境問題を考える森と街と海という視点でのネットワーク型の社会がよいのではないかというのが我々の考えるところでございます。
もう一つ4つ目に、青少年公園地区の大規模会場化問題とありまして、海上地区にあまり入れない、例えば前回の総長の発言で3万人という発言がありましたが、マキシマム3万人としましても、青少年公園に十数万人の会場を造るということになりますと、一部の人もご承知おきのように、建設費の問題、アクセス交通をどうするかという問題、青少年公園地区への環境影響はどうなるかということで、ここでまた環境問題が出てきましたが、会場計画が非常に困難なところに陥る。そのときはすでに市民、出資者、出展者たちに見放されてしまうのではないかというのが我々の危惧するところです。
ということで、ネットワーク型ということになりますと、前回協会の方にうかがいましたし、総長も「ネットワーク型は私の考えにない。」というご発言でした。よく伺いますと、運営費等の問題がございます。ネットワーク型にすると運営費がだめなのだろうかということで3点書いておきました。これはあまり詳しくご説明いたしません。資料にございますのでお読みいただきたいと思います。当然いいことがばかりでなく、悪いこともあるということで、「会場間の不公平性」と考えます。
具体的に「森―街―海」のネットワーク型会場というのを簡単にご説明します。万博にはサブテーマが3つございます。「母なる自然」「生きる歓び」「新しい地球創造」これがそれぞれ「森」「街」「海」に相当するのではないかと思っております。ここで「森」は海上の森、サブ会場として青少年公園。「街」として笹島あたりがよいのではないか、または瀬戸市。and or ですか。「海」としては金城埠頭とかラグーナ蒲郡。あくまでもこれは会場の一例でございます。ぜひここでやれと言っているわけではありません。我々が今まで調査してきたところで、この辺りでいいのではないかという所です。それぞれの場の性格、里山・奥山ですとか、開発された森、大都市と中小都市、埋め立てられた海と埋め立てから免れた干潟。(金城埠頭には藤前干潟がある。)博覧会の施設として、森と環境のテーマ館、街と環境のテーマ館、海と環境のテーマ館等がございます。展示テーマの一例も書いてございます。会場規模はおおよその規模が書いてあります。例えば海上の森約1万人と書いてありますが、今後これについては検討会議で検討すべき事項でございます。その他、アクセス、跡地利用の考え方があります。これは一例ということで、強く押したいということではありませんが、言いたいことは最初の基本コンセプトで申しましたように、出展者、出資者が本当に元気が出るようなもの、環境博というコンセプトに相応しいように、大きなパビリオンを造るという考えをもう一度見直してみてはどうであろうかということが、私の発表の主旨でございます。以上です。

□ 谷岡委員長

どうもありがとうございました。では最初に、辻委員のほうからよろしくお願い致します。

□ 辻委員

まず、資料の14番76ページを見ていただきたい。これは先日提案したものの修正も含めて補足した物です。最初の数ページはほとんど同じですので、見ていただきたいのは88ページ以降ですが、この前OHPでお示ししましたように、私が一番見せたいのは、海上の森と藤前干潟を中心としてその保全された姿と、それを可能にした方策を具体的に見せることです。先程山田さんが「難しいことに挑戦」というお話をされて、その点では全く同感ですが、私は環境を破壊しすぎた20世紀のあり方を続けて、破壊の仕方をいかに上手くやるかという挑戦では本当の意味ではないと思う。壊さない、または修復しながらやることの方がはるかに難しいわけで、思い切った挑戦をしていただきたいと考えています。
83ページに私どもが提案している「W5」についてまとめてあります。名古屋港西5区を当初イメージしていましたので「W5」と象徴的につけているわけです。伊勢湾の名古屋港にはBIEのフレームワークの一番基本に置いている20世紀型の環境破壊の全てが集約しているといっても過言ではないと思います。そこで、環境修復型のものをやるということに価値がある。海上の森でも同様ですが、海上の森であったら周辺の開発跡地を使ってやるというどなたかの提案がございましたが、干潟では、これまでの長い埋め立てや干拓の歴史の中で壊されてきた伊勢湾の海の環境そのものを見通し、修復を図るということをテーマにしたいということで2つが象徴的になります。
次の頁を見ていただくと分かると思いますが、位置関係を見ていただきますと、森川さんのご提案にあるような街も含めていいわけですが、私どもは海上の森と藤前干潟がつながっている水系を大事にしたい。そういった意味では、矢田川、庄内川をつなげて名古屋市を包んでいるような自然の地域的な価値をベースにしたい。そうすると藤前や名古屋港の位置が非常にいい位置にあることがわかっていただけると思います。さらに次の85ページには、30年程前、公共事業による先行投資によってどんどん埋立地が作られながら、結局は使わずに放置してある所がたくさんあります。海上の森のような素晴らしい所を壊さないでも、すでに壊れてしまって上手く使われていない場所がふんだんにあり、併せれば1,000haに及ぶ広大な平地があるわけです。ここへ行けばかなり思い切った挑戦ができるであろう。
86ページを見て分かりますように、2004年に新しい西名古屋港線が開通し、金城埠頭まで名古屋駅から笹島を通ってもいいが、ダイレクトにJRの線路ができる。さらにそこから高速道路を使って簡単に西5区の方までアクセスできる。こういうものが既にたっぷりあって、新たに環境を壊して作る必要はないわけです。常識的に考えてコストの面ではかなり安く済むであろう。同時に建設時期も短くなり、そのために出されるCO2の量もはるかに少なくなるであろう。そしてもっと強調したいことは、この地に来れば、アクセスについて単に愛知県にだけ有利なことではなく、三重・岐阜にも有利な場所になる。万博の開催意義を愛知県だけが独占するのではなく、三重県や岐阜県の協力も得ながら、ともにその価値を共有し合い、豊かな内容にする場であると考えます。特に三重県には北川知事が原発の推進をストップしたり、山の上に風力発電を成功させたり、いろいろ先進的な取り組みをなさっています。そういったことをやる場所が干拓地の広い場所、愛知県と三重県にある(三重県のほうが3倍大きいが)木曾岬干拓という場所を使って共にやればできるのではないか。そのイメージを並べてあります。
91ページを開くと、前回少しお話しましたが、新しい環境を汚染しない無公害のトランスポーテーション、輸送手段ですとかエアロトレインなどのソーラーエネルギーの開発基地にする。そこで世界の知恵を集めてレースなどをやり、同時に皆さんに楽しんでいただくというようなことをやれば、ここでは一過性に見えますが、決して一過性ではない地域の産業、中部圏の工業の将来に非常に大きな展望を持てる内容をもつことができると考えています。もう一つ今の説明に加えて、別刷りで14というかたちの「W5 EXPO 2005」の実行計画というものがあります。これを見ていただきたいのですが、ゆっくり読んでいる暇はありませんが、こういう提案をどんな形にしたら実際にできるのかを考えた案がここに込められております。基本的にはBIEのフレームワーク、さらにそのもとになっているリオ・サミット以来の循環型社会への持続的な開発の提案であるとか、それをもとにした現在進みつつあるいろいろな21世紀への提案を踏まえて、日本の関連する組織がいかにここで取り組めば大きな規模の21世紀の回答になるような提案が環境万博でできるかということを考えています。2005年に向けてのプロモーションを2002年のスペインで行われるラムサール条約の会議や2004年のアテネオリンピックなど、いろんなところに焦点を当てて考えていますので、ぜひ一通り読んでいただければ分かっていただけると思います。どうも長いことありがとうございました。