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第5章 環境の保全のための措置

Ⅰ 基本的な考え方

環境保全措置の検討に当たっては、以下に示す考え方を基本とした。

  1. 環境保全措置の検討に当たっては、環境への影響を回避又は低減することを優先するものとし、これらの検討結果を踏まえ、必要な場合に本事業の実施により損なわれる環境要素の持つ環境の保全の観点からの価値を代償するための代償措置を検討する。なお、代償措置を講ずる場合には、その内容及び代償措置を講じた場合の影響について検討するとともに、追跡調査によりその予測と効果の検証に努める。
  2. 環境保全措置の実施時期、実施期間等については、計画の熟度に対応し、関係機関と連携を取りつつ適切に選定する。
  3. 環境保全措置についての複数の案の比較検討、実行可能なより良い技術が取り入れられているか否かの検討等を通じて、講じようとする環境保全措置の妥当性を検証し、適切な措置を講ずることとする。

Ⅱ 計画検討段階における環境配慮事項 

本博覧会は、会場候補地の立地条件を十分考慮して、人と自然の新しい関係を示す博覧会を目指している。そのため、以下に示すような環境への配慮を基本として計画の検討を行っている。

  • 希少種がまとまってみられるところは、希少種を含む多様な生き物の生息・生育環境を保全するために、現状の森林をできる限りまとまって残す。
  • 博覧会開催に伴う環境負荷等を低減する観点から、先行して整備される新住宅市街地開発事業の一部区域及び既存の造成地(上之山町地内)の適切な利用を前提として、土地利用計画を検討する。
  • 新エネルギーや省エネルギー技術を積極的に導入し、CO2 排出量の削減や、効率的な運用が可能な供給処理システムを導入する。
  • 地形を生かした会場計画とし、主要な水系をできる限り保全するとともに、限られた造成地の有効活用のため、展示施設などの建物の屋上はデッキ構造とし、歩行や滞留の空間として活用する。

Ⅲ 本書に記載した環境保全措置 

環境影響評価の検討の過程において講ずることとした環境保全措置は以下に示すとおりである。なお、第1章で示した予測及び評価結果は、これらの環境保全措置の実施を前提としている。
 また、これらの環境保全措置について、今後の計画の熟度に対応してその内容を検討し、関係機関と連携を取りつつ適切に実施することとする。

Ⅲ-1 工事中における環境保全対策

  • 工事の平準化
  • 工事照明の最小化、外部への漏れの抑止(照明の適正配置、照明器具設置工法などの工夫等)
  • 工事用搬出入ルートの分散(域内利用ルートとの重複回避、やむをえない場合は安全管理・誘導の徹底等)
  • 工事規模に合わせた工事機械の適正配置と効率的使用
  • 工事機械の点検・整備による性能維持
  • 低公害型工事機械(低騒音、低振動等)の使用
  • 粉じんの飛散防止(工事用車両のタイヤ洗浄等)
  • 通学路の安全確保
  • 沈殿池の設置による濁水対策の実施およびコンクリート工事に伴う排水の適正処理
  • 排水の集水等による適切処置
  • のり面の崩壊及び土砂流出防止のための防水シート等によるのり面の被覆の実施、早期緑化及び適切な土砂流出防止対策の実施
  • 造成裸地の早期緑化
  • 地下水利用地域に影響を及ぼさない工事計画
  • 雨水、排水対策など防災対策(地表水の適切な排水)
  • 土留め対策
  • 注目すべき地形・地質の改変の回避
  • 軟弱地盤での施工時における適切な工法の選択
  • 良好な土壌環境の維持
  • 有害物質を極力使用しない工法の選択
  • 有害物質の使用における管理の徹底と適切な処理の実施<
  • 表土の活用と、仮置き場からの流出防止の徹底
  • 工事区域外への不用意な立ち入りの制限
  • 自然環境保全上重要な保全対象に対するマーキング等による注意喚起
  • 残置森林内への資材集積や仮設物設置の制限
  • 工事廃材等の適正処理
  • 工事車両による立木の損傷防止
  • 樹林内走行時における動物事故の回避(走行速度の配慮、注意喚起)
  • 夜間工事の極力回避
  • 資材集積地や仮設物設置場所における仮囲いや修景配慮
  • 休日工事の極力回避
  • 建設工事に伴う廃棄物の発生抑制、リサイクル及び適正処理の徹底
  • 残土の発生抑制と公共工事での最大限利用
  • 工事の効率化
  • 環境配慮型資材の積極的な使用
  • 国産材の使用や型枠の再利用
  • アルカリ排水の集水等による適切処理
  • 詳細調査を実施した動物種に対する保全措置(調査で確認した営巣地等に対して)
  オオタカ、ハチクマ営巣期間内の営巣中心域内での重機の稼動及び工事関係者の立ち入りは行わない
  カワセミ営巣期間内の営巣確認地での重機の稼動及び工事関係者の立ち入りは行わない
  アオゲラ等繁殖鳥類営巣期間内の残置森林内への工事関係者の立ち入りは行わない
  ハッチョウトンボ、ギフチョウ成虫発生期間内の生息確認地への工事関係者の立ち入りは行わない
  ゲンジボタル成虫発生期間内の生息確認河川区間近傍での夜間工事は行わない。

Ⅲ-2 存在影響に対する環境保全措置

(1)主要施設地区(本事業による改変)の影響の回避・低減

  • シラン生育地への直接改変を工夫するなど、回避又は低減に努めるとともに必要に応じ適切な措置を講ずる。
  • 保全重要性の高いエリアのうちシデコブシの集中分布地に対する直接改変については、会場候補地内の他のシデコブシ集中分布地が良好な状態で残されるよう、関係機関との連携・調査を図りつつ、必要に応じて適切な措置を講ずることとする。
  • 保全重要性の高いエリアの内エビラフジ等の生育地に対する日照阻害を回避又は低減するため、施設の設置等に際し配慮する。
  • シデコブシ集団16と同タイプの集団が適切に保全されるよう、関係機関との連携・調整を図っていく。
  • 「歴史的・文化的資源(遺跡)」については、古墳1基、窯跡(13世紀)1基が直接改変域に係ることから、これらの遺跡については文化財保護法の規定に基づき適切に対処することとした。
  • 上之山団地周辺において創出される景観については、恒久施設が設けられる場合には、今後も計画熟度に応じて影響の回避又は低減に努めるとともに、必要に応じて適切な措置を講ずることとする。

(2)主要施設地区(地域整備事業による直接改変域を利用)

   の影響の回避・低減

  • 地域整備事業における保全措置や事後調査と連携を図りつつ追跡調査を実施し、必要に応じ適切な措置を講ずることとする。

(3)森林体感地区の影響の回避・低減

  • 計画の熟度に応じて、施設の位置・施工方法等を工夫する等、影響の回避・低減に努めるとともに、必要に応じて適切な措置を講ずることとする。
  • 調査対象地域内の森林に対する管理計画の立案や推進体制の確保に向けて、関係機関との連携・調整を図っていくこととする。

Ⅲ-3 供用時における環境保全対策

  • コージェネレーションシステムによる効率的なエネルギーの利用
  • シャトルバスには最新規制適合車を使用
  • 固定発生源のエネルギーとして都市ガス、電気の利用
  • 公共交通機関による通勤<
  • 有害物質の啓発の徹底及び使用における管理の徹底と適切な処理の実施
  • 農薬・肥料の適切な選定や適切な使用の徹底
  • 降雨時の急激な出水に対応できる調整池の設置
  • 節水型便器の利用
  • 上水供給量の抑制(中水利用の促進)
  • 汚水の公共下水道放流
  • 汚泥等の適正処理
  • 街路照明の適正配置及び照明の上方拡散・照射の防止
  • 照明率の高い器具使用
  • 利用者の管理、利用ルート上のはみ出し防止、利用者への情報周知によるモラルの形成
  • 管理用車両走行時における動物事故の回避(走行速度の配慮、注意喚起)
  • 主要施設地区外への騒音(ヘリコプターの発着や会場放送等)拡散を極力防止し、特に鳥類等営巣期間内における十分な配慮徹底
  • 供用時の綿密な交通・輸送計画の管理による、周辺地域の交通渋滞の抑止
  • 廃棄物の発生抑制(再使用、減量化、持ち帰りの促進)及び適正な処理
  • リサイクルの推進(生ごみ、有機汚泥のコンポスト化、紙ごみ・廃油・缶類の再生利用)
  • 新エネルギーの利用、省エネルギー型建築の利用等によるCO2の発生抑制
  • 高効率機器の利用促進
  • ライトアップ照明の時間帯配慮
  • 適正な冷暖房温度設定
  • ヘリコプターの運行形態の検討
  • 自動車走行ルートの分散化
  • 生ゴミ等の廃棄物は時間を決めて頻繁に回収
  • 緑化の推進