調査の結果、調査対象地域の土壌は、断面形態等の特徴から9タイプに分類でき、全般的に未熟で、貧栄養な土壌であった。そのため環境保全機能も低いものであったが、調査対象地域内において相対的に評価した。
下記のような保全対策の徹底を図ることにより、工事に伴う「表土流出」を低減できるものと判断した。
生産機能が高いとともに、貯水機能の高いエリアは、311haで、調査対象地の約60%を占める。生産機能の高いエリアは同時に貯水機能も高い。貯水能が高いエリアの76%が生産機能も同時に高く、生産機能の高いエリアと貯水機能の高いエリアはほとんど重なっているといえる。
図4-13-1~2に示したように、主要施設地区(本事業で改変)による直接改変域には生産機能の高い土壌区域が約0.3%、貯水機能の高い土壌区域が約0.5%含まれているが、大部分は生産性、貯水性の低い土壌であり、環境保全機能の高い土壌区域に対する本事業での改変はほぼ回避できるものと判断した。
なお、本事業による主要施設地区の大半が含まれている地域整備事業の直接改変域による影響は、以下の[参考]のとおり予測・評価されている。
[参考]地域整備事業による予測・評価
下記の表に示すとおり、直接改変域には調査対象地域内において相対的に環境保全機能の高い土壌区域が生産機能評価において約17%、貯水機能評価において約18%含まれている。
当該地域の土壌は全体的に未成熟で土壌化の発達途上段階にあることから、一般の森林土壌に比べれば決して高い機能を有しているとは言えない。しかし土壌層は長い年月をかけて形成されたものであることから、土壌の有する環境保全機能の低下をできる限り低減させるため、機能評価が相対的に高い区域から優先的に表土を保全し、造成緑地部に活用していく等の措置を講ずることとした。
以上の保全措置の実施を前提として、土壌の環境保全機能の低下を実行可能な範囲内で低減できるものと判断した。
水平回廊や軽易な広場等のフィールド施設の整備を検討する森林体感地区には、図4-13-1~2に示すとおり、環境保全機能の高い土壌区域が多く含まれている。しかし、表層土壌を面的に剥離するような事業は行わないことから、1)で示した方針に従い、今後の施設計画・設計段階で、直接改変を回避できるものと判断した。
図4-13-1 土壌の生産機能評価と計画案
図4-13-2 土壌の貯水機能評価と計画案
PDFファイル(マーク付)をご覧頂くには、Adobe社のAdobe Reader®が必要になります。最新のAdobe ReaderはAdobe社のサイトより無料でダウンロード可能です。