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(1)地形分類
会場候補地は、地塁性山地である猿投山地の南西縁にあたる山地から丘陵地にまたがる地域に位置している。南東側を猿投山に連なる標高200m~400mの山地によって、また、北西側は赤津川によって境されている。中央から西側の大部分は丘陵地を呈し、低地は海上集落及び谷底に部分的に分布している。なお、ほぼ中央を北東ー南西方向に走る猿投山北断層が確認されており、断層の北側では傾斜が緩く、南側ではややきつい傾斜をみせている(図4-10-1参照)。
(2)水系・尾根の状況
会場候補地の水系は、北から赤津川水系、篠田川水系、海上川水系、屋戸川・寺山川水系、吉田川水系に区分される。
尾根は、流域分界境となる主要なものが東西方向に2つあり、その他に東西方向、北北東-南南西方向や北北西-南南東方向のものが発達している。
(3)表層地質
当地域の地質構成は、中生代白亜紀末期に形成された花崗岩を基盤とする。地質層序からみると、猿投山北断層を境に、北側の苗木花崗岩、南側の伊奈川花崗岩に分類される。花崗岩の上位には、新生代第三紀鮮新世~第四紀更新世前期に堆積した東海層群矢田川累層や、谷部を埋めて堆積している沖積層が分布している。
(4)注目すべき地形・地質
会場候補地には、「文化財保護法」(昭和25年5月30日 法律第214号)に基づき天然記念物に指定された地形、地質及び「第1回自然環境保全調査 すぐれた自然図」(昭和51年 環境庁)に示されている地形、地質、自然現象はない。
図4-10-1 地形分類図
会場候補地及びその周辺における土地の安定性に関わる要因の状況は、次のとおりである。
(1)崩壊地
1/25,000地形図に面的に表現できる幅50m以上の崩壊地は、主に中央部から南側の中腹斜面や谷部付近に認められる。
(2)活断層
当地域を走る猿投山北断層は、中部地方における北東-南西方向の断層系のうち、屏風山・恵那山断層系に属している。 猿投山北断層は、屏風山断層から続く断層で、延長約21Km、右横ずれ成分が50~250mあり、中央部分から北東端部にかけては北西側が相対的に隆起し、中央部分から南西端部にかけては南東側が相対的に隆起した断層である。谷や尾根の屈曲が多数見られ、典型的な横ずれ活断層の地形を示し、南西端では2本に分岐している。
(3)急傾斜地
1/25,000地形図から読みとった傾斜が30度以上を有する急傾斜地は、北側の赤津川沿いの斜面で確認されるのみである。当斜面の傾斜は、30~40度程度であり、上流側の方が傾斜がきつくなる。
(4)地滑り地形
当地域には、1/25,000地形図に面的に表現できる地滑り地形は分布していない。
海上砂防池(流域面積100ha)、広久手第2池(流域面積45.3ha)の堆砂土量は、それぞれ7.34千m3、1.40千m3であった。また、会場候補地周辺造成地(延べ面積31.5ha)の合計堆砂土量は1.26千m3であった。
(1)回避・低減のための方針
事業の実施による環境への影響を実行可能な範囲内で回避又は低減を図るため、以下の保全対策を徹底する。
ア 地形改変等による土地の安定性及び土砂流出への影響
(1) 切土・盛土に対するのり面勾配の配慮
(2) のり面の早期緑化
(3) のり面の裸地部分おいて、降雨時における防水シート等の被覆
(4) 適切な仮設沈殿池の設置
(5) 適切な土砂流出防止工の実施
(2)予測及び評価結果
上記(1)に示す環境保全対策を徹底することにより、本事業による環境への影響は小さいと考えられ実行可能な範囲で回避又は低減が図られるものと判断した。
2)存在時
(1)回避・低減のための方針
事業の実施による環境への影響を、実行可能な範囲内で回避又は低減するため、以下の保全対策を徹底する。
ア 地形改変による現況地形の変化
(1) 注目すべき地形・地質の改変の回避のり面の緑化と維持
イ 地形改変等による土地の安定性への影響
(1) 地山の土質や切土工、盛土材料や盛土高の配慮によるのり面の安定性の確保
(2) 必要に応じて適切なのり面保護工による安定性の確保
ウ 地形改変等による土砂流出量の変化
(1) 地山の土質や切土工、盛土材料や盛土高の配慮によるのり面の安定性の確保
(2) 必要に応じて適切なのり面保護工による安定性の確保
(3) のり面下端やのり面を流下する地表水の適切な排水
(2)予測及び評価結果
ア 地形改変による現況地形の変化
本地区内には、注目すべき地形・地質は存在しないため、環境への影響は回避できると考えられ、地形改変による現況地形への影響は、回避されると判断した。
イ 地形改変等による土地の安定性への影響
上記(1)に示す環境保全対策を徹底することにより、本事業による環境への影響は小さいと考えられ回避又は低減が図られるものと判断した。
ウ 地形改変等による土砂流出量の変化
上記(1)に示す環境保全対策を徹底することにより、本事業による環境への影響は小さいと考えられ回避又は低減が図られるものと判断した。