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はじめに

博覧会事業は、平成9年6月に公布された環境影響評価法においては、環境影響評価が必要とされる事業とされてはおりません。 しかしながら、2005年日本国際博覧会については、平成7年12月の閣議了解において、「本博覧会の開催に当たっては、環境影響評価を適切に行うこと。」とされています。また、本博覧会は「新しい地球創造:自然の叡智」をテーマに置き、その中で里山利用のあるべき姿について考えていこうとしております。このようなことから、博覧会事業に対する環境影響評価についても、環境影響評価法の施行に先駆けて、同法の趣旨を踏まえた環境影響評価を「2005年日本国際博覧会環境影響評価要領」(平成10年3月27日付、通商産業大臣官房商務流通審議官通達)」に基づき、行うこととしました。

まず、手続きについては、これまで、準備書に係る手続きに先立ち実施計画書を公告・縦覧し広く意見を聴きました。しかも、環境影響評価法においても義務づけられていない説明会や意見交換会も開催しました。

また、その内容については、先行事例が少ない中で、生物多様性の観点からの生態系や、廃棄物、温室効果ガス等の項目・内容についても積極的に取り組むこととしました。

さらに、博覧会事業は、展示・催事と整合性をとり、また、参加国の意向を反映しつつ計画を策定していくことが重要であるという特性を有しています。そのため、本環境影響評価における会場計画の諸元は、通常(これまで)の環境影響評価と比べて不確定要素を含んでおります。その反面、環境影響評価の実施と並行して会場計画を策定することが可能です。それ故、会場計画の熟度の向上に伴い環境影響評価の精度を高めていくとともに、環境影響評価の過程で得られた環境保全措置の検討結果等を会場計画の策定過程にフィードバックすることにより、環境影響の回避・低減に努めることが可能になると考えています。本環境影響評価はこの点でも新しいものです。

ところで、本博覧会は、会場候補地及びその周辺において都市計画手続きが進められている「瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業」及び「名古屋瀬戸道路(瀬戸市・豊田市)」(以下、両事業を合わせて、本書及び資料編において「地域整備事業」という。)の事業地を先行使用して行うものであり、本博覧会及び地域整備事業の事業内容が密接な関係を有すること、また、工事時期が重なることなどから、それぞれの事業に係る環境影響評価を連携して実施することとなりました。具体的には、環境影響評価に係る様々なデータの収集、整理等を行って情報を共有するほか、環境影響評価準備書の作成時期を合わせるとともに、個々の環境影響評価準備書とは別に、統一的な資料を作成することとしました。このような連携も環境影響評価法の定めを越えたものであり、全国に先駆けた取り組みです。

博覧会事業の環境影響評価は、以上のとおり21世紀の新しい環境影響評価のモデルとなる様々な先駆的な取り組みをおこなうものと考えています。

しかし、先駆的であるが故に、その実施に当たっては課題や困難が多いことも事実です。

 私達はこれらに誠実に対応し、適切な環境影響評価の実施に努めてまいります。