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第9回環境影響評価アドバイザー会議要録

1. 開催日時

平成13年10月29日(月)午後1時30分から午後3時46分まで

2. 開催場所

(財)2005年日本国際博覧会協会 名古屋事務所会議室
名古屋ダイヤビルディング2号館7階

3. 出席者

糸魚川 淳二副委員長(委員長代理)、吉田 克己副委員長、青山 光子委員、石井 実委員、菊池 多賀夫委員、北田 敏廣委員、久野 和宏委員、佐藤 正孝委員、芹沢 俊介委員、成瀬 治興委員、八木 明彦委員、山本 晋委員、遊麿 正秀委員

(委員合計13名)

事務局:(財)2005年日本国際博覧会協会

椋事務次長、国安環境グループ長、馬越チームリーダー、近藤課長代理他

4. 議事

(1) 開会

  • 事務局あいさつ
  • 委員長あいさつ

(2) 最近の主な経緯

配付資料「EXPOだより№11~14」等に基づき事務局より最近の経緯について説明した。

  • 検討状況報告書の公表等について
  • BIE登録承認等について
  • 堺屋太一最高顧問の就任等について
  • 環境情報システムの開設について
  • プロデューサー体制等について

(3)「2005年日本国際博覧会 基本計画骨子」について

プロジェクターを使用し、事務局より「基本計画骨子」について説明した。

質疑応答

(委員)
グローバル・ループが80,000㎡となっているが、影響を最低限にする工夫は。

(事務局)
BIE登録のときのデッキ約76,000㎡がループになった。高さはデッキでは約10mと5mだったのが、ループは平均10mで少し高い。ループの幅は当初約40mだったが、広いところで30m弱ぐらいで、全て既改変地の中で整備する。全部が浮いているのではなく、北口広場は現地盤に接する部分があり最高約20m。工法等は基本計画で出る。BIE登録を少し改良したものになる。

(事務局)
青少年公園の中の貴重種を基本的に回避した。青少年公園の北側のエントランスと西側の出口で約40mの高低差がある。この高低差の会場内で、車椅子で円滑に回ることができ、かつグローバル・ループの周辺にコモンやイベントを集約し、会場のアウトラインが分かりやすくなる。

(委員)
マイカーで来る場合は、どの辺まで入れるのか。

(事務局)
周辺に7か所程度の駐車場を設け、そこからシャトルで会場に来ていただく。

(委員)
ループの一回りの長さはどれぐらいか。

(事務局)
約2.7km。

(委員)
ループの工事に伴う改変は少なくすべきだが、特別な工事形態を考えているか。

(事務局)
上から杭を打っていくなど高度な工法もあると聞いているが、時間も工費もかかる。下からの景観の問題もあり検討している。

(委員)
ループにより、環境負荷が大きくなると予想される。今ある道路の少しの拡幅で入場人員がはけるならそれを使った方がよい。会場間移動も、体を動かせる人なら、自転車など環境負荷の少ない乗物で行き来するのがよい。

(委員)
こいの池にイヌタヌキモという絶滅危惧種がある。愛知県には比較的多いが、アセスメントをやり直さないなら引っ掛かる可能性が高く、こいの池は使えない。

(事務局)
何らかの配慮をしながらこいの池を使うという方向性を検討したい。

(委員)
イヌタヌキモがあるからだめなのではなく、環境負荷の低減が明らかでなければアセスは全部やり直すべきということ。骨子の図のようにこいの池を使えばイヌタヌキモが大きな影響を受けるので、軽減されるとは言えない。

(委員)
ループやデッキの環境配慮をちゃんとやるとお金がかかる。お金か、自然か、環境か、時間が大事か、順位をまずつけてほしい。

(事務局)
順位をつけるべきではない。環境やバリアフリーなど様々なファクターを時間や予算の制約の中で模索しているが、それに専門的見地からご指導・助言いただくのがこの会議であると考えている。

(委員)
例えば、今2.7㎞のループを半分にしてもよければ、そうする可能性はあるのか。

(事務局)
今、その辺の議論ができない部分がある。今後約1か月で基本計画を固め、並行して施設の細部を詰める中、工事中、開催中の環境負荷を試算し、低減策の検討を今年度内に進めていく。

(委員)
ループは閉会後は撤去か。

(事務局)
基本的に仮設構造物になる。恒久施設ではない。

(委員)
ゴンドラはどれぐらいの規模か。中継の支柱は何か所か。

(事務局)
会場間は約2㎞。青少年公園会場の中の南北は約1㎞。支柱の本数は機種により異なり、これから詰めていく。

(委員)
支柱の下の面積はこの中に入っているか。

(事務局)
非常に小さい面積なので入っていない。

(委員)
そうは思わない。仮設道路を含めると、全部ですごい面積になる。

(委員)
愛知の丘陵地帯の尾根には、モンゴリナラとウンヌケはたいていあるから、この2種類は全ての場所に引っ掛かる。支柱は道路沿いに立てるしかないだろう。

(委員)
海上地区と青少年公園地区の連結の量的な話が非常に気になる。気持ちよく歩ける道や自転車で走れる道を造ったらどうか。会場間の交流頻度をどう考えているか。

(事務局)
最大、片側1万5000人程度、往復3万人と思う。

(委員)
自然にそうなるのか。制限するのか。

(事務局)
自然にその程度だと思うが、非常に人気が出れば、制限する。

(委員)
バスよりも、歩いて行った方が楽しい気がするが。

(事務局)
青少年公園からゲートを出て、また海上で入るという形ならできると思うが、再度切符を切らない形を考えている。

(委員)
それは何とでもできるのではないか。

(委員)
会場間はかなり高低差があり、道路はかなり混雑しするので、歩くのはとんでもない。渋滞がひどくなると批判が出る。それでゴンドラを考えたと思うが、山の上の自然が破壊される。ループやデッキは、対応しているサイクリングロードを拡張したらどうか。

(委員)
森林体感エリアは、ギフチョウの産卵が特に多いところだが、「地球市民村」として華やかな絵が出ている。トレイルのへりにギフチョウが好むカンアオイと吸密植物のスミレなどがあり、できるだけ使わない方がよい。拡幅などは認められない。また、多くの人が入ってギフチョウやその食草を採集すると問題である。

(事務局)
イメージ図はあくまでもイメージで、森林体感地区は非常に密度の低い利用とする方向。歩道の拡幅はまだ検討できていないが、やるにしても、それらは避ける。人の立ち入りの問題は、ガイド付き以外では貴重種のあるところに入らない構造として回避する。人を遠ざけるのでなく、ガイド付きで逆に知らしめるのも博覧会のテーマと合致した利用の仕方ではないか。

(委員)
くれぐれもやり過ぎないようにお願いしたい。野生生物がいると「地球市民村」の夜間照明はかなりやっかいだ。

(事務局)
夜の利用はまだ検討していない。海上地区は夜6時、青少年公園地区は10時までだが、森林体感地区は警備上の問題もあり、夜間立入禁止も検討に値すると思う。

(委員)
花火の計画はあるか。花火や水中花火は、亜硫酸ガスや硫酸硫黄が大量に蓄積し、硫化水素が発生するおそれがある。

(事務局)
催事の内容についてはまだ具体的な検討はされていない。

(委員)
カキツバタ池とメダカ池は基本的には利用してはいけない。

(委員)
骨子の28ページの上の「会場の原構造とその特質」の海上地区の記述が、原構造と関係のないものになっている。海上の森の性格を記述する必要がある。

(委員長代理)
計画が具体的でないのにたくさんの意見が出たことは、やはり多くの問題を含んでいるということなので、ぜひ今後に生かしてほしい。プロデューサーは環境について理解していないのではないか。十分に考慮してほしい。

(4) 「環境影響評価の今後の進め方」について

配付資料「環境要素-影響要因マトリクス」に基づき、事務局より説明した。

質疑概要

(委員)
花火を使うなら、底質などの硫黄分の評価はしてほしい。

(委員)
環境負荷が低減されなければ修正評価書は出せない。ゴンドラの支柱については、一定の自然域のど真ん中に、改変面積がわずかでも全体の自然が著しく劣化する。支柱を1㎞ぐらいのスパンで飛ばすとか、こいの池を外すとかすれば問題ない。変えるつもりがあるかが問題だ。

(事務局)
手続は旧通産の要領でやっており、運用も、経済産業省の考えを基本とすべき。今後のあり方について、アセスのやり直しは、時間的に不可能。平成11年の評価書を基準に今後の作業を進めていくのが現実的。その際、過去の経緯からどの程度負荷を低減すべきか、その方法などについてお知恵をいただきたい。

(委員)
HSSTの利便性などのメリットを感じるよう工夫し、利用促進を図ることも、環境負荷の低減に有効である。会場内の放送や表示を工夫し、会場周辺への影響も軽減されるよう、ハード面だけでなく運用上の検討もしてほしい。

(委員)
工事のやり方も具体的にわからない中で、短時間で環境アセスメントをちゃんできるか非常に心配だ。具体的に検討できるようにしてほしい。

(事務局)
最終的には基本計画で出てくる。ゴンドラについても、試案は作っているが、確定していない。ソフト面での対応も、基本的に言われたような形で考えているが、具体的には詰まっていない。

(委員)
時間的にはどの程度の見通しを持っているか。

(事務局)
来年度の早い時期、5月に取付道路、調整池等の工事に着手できるよう、会場計画、企画運営、予算面の精査等に様々な作業を並行して進め、11月中ぐらいに基本計画を固める。アセスでは、会場計画を踏まえ、負荷をシミュレーションし、経済省と手続を詰めるため、12月中旬から1月ぐらいにこの会議を開催したい。

(委員)
「熟度が足りない」という言葉では許されない時期に来ている。真面目に環境に配慮するつもりはあるのか。

(事務局)
先生方のご意見を伺うといったことが、環境に配慮するあらわれであると思っている。

(委員)
環境への配慮は限界までやるべき。マトリクスでなく個別のことを検討すべき段階である。「まだ計画が固まってない」では済まない。海上で既に工事が始まろうとしているところもある。

(委員)
ここで出てきた意見が会場計画にちゃんと伝わるのか。

(事務局)
決しておろそかにはしない。ただこの環境アセスは旧通産省の要領でやってきているので、その要領だけやればいいというのではないが、手続のベースになる。

(委員)
旧通産省の要領は海上地区を前提としたもので、青少年公園区は想定していない。自然環境が違うから、やるべきアセスメントも違う。青少年公園地区には指針はなく、事業者としてどうするかが問われている。

(委員)
排水により香流川の水質が悪くなるという予想が出ていたが、長久手町へ援助して、三次処理などできるようにしたか。

(事務局)
今、長久手町と話し合っている。できればご意見の方向にしたい。

(委員)
生物多様性環境の4項目について、森林体感エリアにおいて、工事中の夜間照明による影響、供用時の人の入り込み利用と夜間照明による影響、万博終了後の整地工事による影響を予測・評価に加えてほしい。

(事務局)
基本計画を出した段階で方針が決まっていれば、その手続を入れたい。

(委員)
マトリクスは、非常に細かなエリアごとに作られるべき。項目は大雑把でよい。また、付随した様々な工事について、前に作った横並びの評価書は小さな冊子だが一番有効だった。評価書や検討状況報告書には万博がすることしか書いてないから、何が起こるかが見えない。特に心配なのは海上で、砂防ダムも仮設道路もゴンドラまで造るとなると、沢をつぶす気としか思えない。

(委員長代理)
この辺で区切りをしたい。協会は十分考慮して今後の計画に取り入れてほしい。具体的になってからとの話もあったが、きょうの段階でこれだけ意見があり、きょうの会議はそれなりに意義があったと思う。

(5) その他

(委員)
海上の「会場工事のための道路工事」とは仮設道路のことか。いつからの予定か。

(事務局)
仮設道路の工事。県としては来年度早々に着手したいと聞いている。

(事務局)
海上地区の造成工事の前に防災上の調整池とその取付道路が要る。道路は県がやるが、11月ぐらいに実施設計をするので、今すぐ工事が始まると受け取られているのではないか。
(事務局)
先ほど来年度と言ったが、手続きがあるので、5月ぐらいに着工しないと間に合わないという見方も県から示されている。

(委員)
協会のスタンスはどうか。県のことだから知ったことではないのか。

(事務局)
海上地区は県がやるという役割分担であるという意味。海上地区に協会の仮設施設とを国と県の恒久施設を造るという方向なので、工程を調整し、環境負荷を低減する工法を別途モニタリング会議で議論いただいている。

(委員)
横並びで評価するのは、例えば海上地区全体で、協会と県ですり合わせをするため。吉田川という小さな川で、4、5年の間にたくさんのことが起こり、川や沢がつぶれる危険すら感じる。従来のようなアセスは通用しない。

(事務局)
この会議は、全体の検討が主たる役割で、海上地区の計画をどうやって負荷低減して実施するかは、別途、モニタリング会議の中で検討する。ここでの議論が必要ないという意味ではなく、主たる役割の違いということ。

(6) 閉会

  • 事務局あいさつ