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第10回環境影響評価アドバイザー会議要録

1. 開催日時

平成13年12月21日(月)午後5時~7時16分

2. 開催場所

(財)2005年日本国際博覧会協会 名古屋事務所会議室
名古屋ダイヤビルディング2号館5階

3. 出席者

糸魚川 淳二副委員長(委員長代理)、吉田 克己副委員長、青山 光子委員、植下 協委員、久野 和宏委員、斎藤 馨委員、佐藤 正孝委員、芹沢 俊介委員、武田 明正委員、成瀬 治興委員、服部 重昭委員、八木 明彦委員、遊麿 正秀委員

委員計13名

事務局:(財)2005年日本国際博覧会協会

椋事務次長、国安環境グループ長、山本会場計画グループ長、菅野輸送・住宅グループ長、馬越環境保全チームリーダー、近藤課長代理他

4. 議事

(1) 開会

  • 事務局あいさつ
  • 委員長代理あいさつ

(2) 会議の公開について

配付資料「(財)2005年日本国際博覧会協会 環境影響評価アドバイザー会議の公開について」に基づき、事務局より説明し、動植物の保護に著しい支障のある部分を除き、会議は別室にテレビ中継することにより公開、会議資料、会議録(氏名入り)は公開し、会議録要旨は従来どおり協会ホームページに掲載することで了承された。

(3)「2005年日本国際博覧会 基本計画」について

配付資料「EXPOだより№15」に基づき、事務局より「基本計画」について説明した。

(4)環境影響評価の今後の進め方について

配付資料「経済産業省通知『2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価の進め方について』」に基づき、経済産業省の第11回環境影響評価書意見検討会の概要等について、また、配付資料「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価について」に基づき、本博覧会における今後の環境影響評価手続及び青少年公園地区における環境影響評価項目の選定について説明した。

質疑応答

(委員)
グローバル・ループから展示施設におりるレベル差があるが、バリアフリーの観点からどう考えるか。

(事務局)
青少年公園には最大約40mの高低差がある。グローバル・ループを入れたのは、一定程度の平場は必要だが、改変エリアを少なくしたいため。平場は、運動場や野球場として幾つかあるが、それ自体に高低差がある。大勢の、特に障害者、老人の方々にバリアフリーにしながら、うまくループでつなぐために調整していきたい。 EXPOだよりNo.15の3ページに、外国政府等の展示するグローバル・コモンが 6つあるが、真ん中のエリアのグローバル・ハウスや、日本政府館、愛知・広域交流館や名古屋市館がある日本ゾーンは、高低差がある。そのため、コモンの方は、平場の若干の土工事等で調整し、西ゲートの少し南側では、管理用スペースの屋上を利用してスムーズに連絡するという2つの方法で、車椅子で回れるよう考えている。ループを完全に水平するのも大変なので、若干の斜路は設けるが、コモンとループはスムーズに接続させたい。

(委員)
青少年公園は触れ合い活動の場だが、開催中の利用はどうなるのか。

(事務局)
安全上、開催前の工事中も、閉鎖し、開催後の撤去後、また県の公園として供用される。県は管理上、今年度中に閉鎖すると聴いている。

(委員)
従来の博覧会は、施設を撤去するのが原則だったが、造った施設が後に役に立つ計画が好ましい。

(事務局)
県が将来、都市計画公園として整備する計画もあり、できるだけ将来も使ってもらうよう調整したい。また、3R(リデュース・リユース・ リサイクル)を心掛けて工法や材料を考えたい。2ページの海上地区の計画において、従来「里山遊歩ゾーン」に政府の恒久施設があったのを、協会施設との一体的な利用、その後の公共施設としての活用という面から、県の恒久施設と同じ敷地に入れた。「里山遊歩ゾーン」の南の方は、将来の海上の森の入口ゾーンという位置づけとし、開催時は「遊歩ゾーン」という形で活用する。政府と県の施設は恒久利用する。

(委員)
資料5の37ページの「注目すべき触れ合いの場にかかる存在による影響」とは、評価書青少年公園地区編232ページの、従前からの公園利用に伴う歩行ルート等のことだと思うが、「利用までの変化をできるだけ回避もしくは低減する」とあるが、会期中に従来の公園利用がないなら、存在影響は 100%あり、この書き方は誤解を招く。資料5については、予測に関しては、存在、活動の場をできるだけ担保し、評価としては、活動の存続可能性を担保して、会期後にもっと整備されて使えるという話でよいが、評価書 232ページの表現がちょっと危ない。会期中、従前の利用ができなくても、IT等により行かなくても見れる、また、万博に行けば、普段普通に使っていたところを、違う空間として楽しめ、翌年から違う形で使える点も評価できるよう少し整理するとよい。

(事務局)
プラス評価については、森林体感ゾーンや海上に新しい歩道を造ることが、これからの里山との関係を考える一つのきっかけになるという形で加えたい。今までのアセスは、マイナスをいかに減らすかだけでやってきたが、プラスの意義を書き加える形の評価もやっていきたい。

(委員)
海上地区の道路について、EXPOだよりNo.15の2ページの海上の図では、灰色の道路が南から北へY字状に延びている。里山遊歩広場の方へも高規格の道がある。以前こちらに政府施設があったのでこの道路をつけることになったと思うが、計画が変更されたのでY字の先に高規格道路を造る必要はないのでは。道路関係者との協議や協会独自の考えはあるか。

(事務局)
南から北に上がり、里山遊歩広場まで行く、その少し手前までが県道の予定。途中から左に上がる方が、豊田市道並びに瀬戸市道として整備される。開催時にも使うが、地域整備事業として将来の利用を考え、県、豊田市、瀬戸市がそれぞれ行う。BIEに登録した計画では遊歩ゾーンの展望広場あたりに政府館を計画していた。その後モニタリング会議やフォローアップ会議で議論いただいたが、地域整備事業と連携して進めることが、閣議了解にも明記されおり、県と市が道路を整備するのは大変ありがたく、ぜひ博覧会に間に合わせてほしいと思っている。

(委員)
地域連携は重要な視点だが、この道路はここで途切れてあとはどうなるのか。里山遊歩ゾーンとして整備するところに、道路を延長するのは、一種の破壊行為となる。作業道はあり得るが、Y字型の先を、今すぐ工事する必要はないともいえる。その場合、環境影響評価について協会やこの会議として提言してもよいのでは。県道は議論の対象として残すべき問題点ではないか。

(事務局)
この県道の整備については、海上全体の、里山学びと交流の森の構想もあり、将来、里山遊歩広場をそのゲートとして位置づける計画と県から聞いている。青少年公園と同様、海上の将来計画と博覧会計画との整合を図っている。国道155号が現在非常に混んでいるとの周辺住民や、県警の意見があり、また従来より、別ルートの道路整備の要望があるので、県道、豊田市道、瀬戸市道の地域整備と博覧会を連携させ、周辺の皆さんの迷惑が少なくなるようにしたい。

(委員)
Y字から右は、今すぐ高規格道路を整備しなくても、入口をもっと手前のY字の交点のところにする考えはないか。Y字の右は、歩道や仮設道路の形があり得る。高規格の計画を踏襲する必要はないのでは。

(委員長代理)
問題の部分は、会期中はどんな利用を考えているか。遊歩道だから、車が入り駐車場があるわけでなく、ほとんどブランクではないか。

(事務局)
緊急動線として、2方向に脱出できることが必要で、通常ここから進入するのではない。この道路は県道広久手八草線といい、2車線の一般的な県道である。一面、博覧会のための道路という性格もあるが、広久手から八草まで結ぶ、広域的な道路を地域整備として整備する。

(委員)
納得できない。

(委員)
アクセスは公共輸送機関が約6割、バスや乗用車が約4割だが、公共輸送機関の利用が増えるよう努力してほしい。図面にバスターミナルや団体駐車場はあるが、乗用車の駐車場はどうなっているか。同じ場所に設置するのか、民間任せでわからないのか。

(事務局)
自家用車の駐車場は、会場周辺の負荷を少なくするため、会場からバスで20分前後の高速道路のインター付近等に設置し、そこからバスで輸送するのを基本にしている。

(委員)
このあたりは、今でも渋滞する地域であり、万博と絡めてどう処理するかもう少し見えないと、地域住民が非常に困る。アクセスがどうなるか、どれだけ処理できるか、万博だけでなく、全体で考えてほしい。

(委員長代理)
Y字の右への出っ張りについては、遊麿さんの意見もあり、もう少し広くみた方がいいという佐藤先生の意見もあるので、協会は十分配慮して検討してほしい。

(事務局)
県道、市道や公共下水道等は、それぞれの公共セクターが地域整備としてするため、それを博覧会に有効利用したいとお願いすることになる。

(委員長代理)
それはわかるが、協会は協会、県は県という形で進めると、「あそこは関係ないから知らない」となるので、その辺を配慮してほしいということである。

(委員)
里山遊歩広場等を整備すると、それだけの負荷がかかるが、この道路の負荷を減らすから、こっちはこのぐらい計画してもよくないかというギブ・アンド・テイクができないかということである。例えば今年でなくても何年か後はどうかと考えるのが、本当に環境に配慮したやり方ではないか。主体は協会でなくても、この数年でこういうことが起こるという影響評価をし、懸案事項を協議するのが本来の姿ではないか。

(事務局)
EXPOだよりNo.15の2ページの海上地区の施設配置計画を変更した。当初、政府館は展望広場の辺に計画されていた。取付道路も展望広場まであったが、計画を見直し、将来の里山のゲートにする。

(委員)
資料4の39ページの温室効果ガスについて、樹木を伐採すると思うが、ループを含むいろいろな施設を造った場合、終ってから樹木を補充したり、追跡調査もするのか。

(事務局)
樹木についても、青少年公園の平場、グラウンドや芝生のところをメインにし、傾斜地の生い茂っているところはできるだけ回避し、南の方は、評価書時の計画から40haぐらい外した。管理用道路やループを造るとき、樹木の伐採や移設をしないといけないが、青少年公園の再整備計画があるので、将来使えるものはどこかに移すとか、県と調整したい。

(委員)
青少年公園にはいろいろな施設があるので、うまく活用し、その地面を利用すれば、樹木の伐採は少なくて済む。海上地区も、伐採したときは、どこかに補うことを考えてほしい。

(委員長代理)
「資料4 2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価について(案)」には、スケジュールとプロセスが示されている。また「資料5 調査、予測及び評価の手法」について、専門の立場でどう考えるかに重点を移したい。

(委員)
12ページの水質関係について、工事に伴うシルトというか、雨が降ると濁水が生じる場合がある。SSを測定するとあるが、かなり大きなごみでないとかからない。濁度計と並行してSSを測定する方が無難。終了後のSSの追跡調査を行うともあるが、ほとんど出てこないのに目には非常に濁って見えることになるので、ぜひこの手法でお願いしたい。

(委員)
3ページの手続について、現在から修正評価書の流れの中に、住民の意見が2回入っているが、説明会や住民の意見聴取も入っているのか。

(事務局)
青少年公園地区の影響評価項目の選定については、基本計画についての地元説明会の中で説明の時間をとる形をとる。団体から要望があれば、出向いて説明する形もあり得るし、ホームページに全て載せ、誰でも意見を言える体制もとる。また、修正評価書案の段階では、それだけにしぼった形での説明会を考えている。

(委員)
2、3ページのフローで構わないと思うが、青少年公園地区に関しては環境影響評価項目を選定し直して修正評価書案をつくり、海上の方については何もしないということか。

(事務局)
先日の経済省の評価会で、今ある要領のマトリクスは、海上を想定しているので、YPはもう一度考えるべきという指摘があり、経済省から、青少年公園地区の項目等について住民意見を求めなさいという指示が来たので、海上については、もとのマトリクスで対応することとした。

(委員)
海上のもとのマトリクスはどこにあるのか。

(事務局)
評価書(その1)の 207ページにある。

(委員) 基本的にはこれが、それにあたるのか。

(事務局)
意見により、若干修正はするが、基本的にはそうである。

(委員)
方法書と準備書に相当する部分を、青少年公園に関してやると理解してよいか。修正評価書までのスケジュールはどうなるか。

(事務局)
青少年公園地区の項目の選定は、実施計画書に該当する。準備書、評価書レベルが、修正評価書案に位置づけられる。スケジュールは、EXPOだよりNo.15の一番後ろの「会場計画・建設・環境」の項目で、来年度の4~9月の最後の方から工事スタートの予定になっているが、それに間に合うようアセスの手続を終わらせたい。工事中の環境負荷を考えると、工事期間が長い方が平準化できる。具体的な日程は、意見をいただく時間等もあり、経済省の指導もあるので、バランスを考えて決めたい。

(委員)
グローバル・ループは環境によくない気がする。大きな構造物なので、基礎構造等が決まらないと評価できない。工法、構造、経費のイメージを早く示してほしい。

(事務局)
EXPOだよりにも全体スケジュールがあるが、現在、基本計画を受け基本設計に入っており、実施設計、工事となる。外国政府館のように展示のため半年前に引き渡すため急ぐものも、開会の前までで済むものもある。企画事業もこれから中身を詰めるので、そのための工事などは、段階的に固めるしかない。ループは、検討状況報告書や評価書でも、基本的な構造物をある程度設定し、工事の設定、重機の使用、自然の改変について評価したが、熟度を高める中で判断できるよう作業を進めたい。

(委員)
ループは一番環境によくないと思うので、早く熟度を上げて、提案を受けて検討したい。
(委員)
4ページのマトリクスについて、終了後もいくらかの施設は継続的に利用するという話だが、恒久的な施設を造ればこのマトリクスから除外されている景観資源、里地生態系にもかかわってくる。自然ではないから除外したと、注の文言は読めるが、実態として、青少年公園の各部分は里地生態系になっている。

(事務局)
青少年公園地区について里地生態系を外したのは、評価書の段階で青少年公園地区の生態系は評価しない形で記載したから。青少年公園地区等編77ページの生態系の一番最後に「したがって、選定した保全の観点から、検証項目から削除した」という形で書いてある。考え方はその前段にあるが、森林地区等について大幅な改変をせず、既改変地を中心に整備するので、里地生態系にほとんど影響がないと考え、若干の樹木等、生物に係る部分については、種の方の対策で十分と判断している。検討状況報告書でも生態系については謳わず、その流れを引き継いでいる。

(委員)
流れの中での話というのは理解できるが、現実に先ほどのようなことが起こる。生態系を削除したのは、実態がよくわからないこともあるかと思うが、大きな影響がないなら、入れておいても構わないだろう。生態系という言葉があいまいだからかもしれないが、他の事業の影響評価では入ってくるので、要領にはなくても、項目を入れてほしい。

(事務局) 里山生態系を保全するために海上から青少年公園に出た経緯や、青少年公園地区の二次林は、極力回避することが前提にあったという経緯、それからここに書いてある経緯があったと理解している。どうしてもということなら検討しなくてはいけないが、今のところ種レベルでの検討ということで考えている。

(委員)
どんなに人為的に改変された環境でも、生物とそれを取り巻く環境がある限り生態系がある。ましてや、青少年公園はそれなりに自然が残っている。人為的に整備された公園だからというのは、生態系を除外する理由にはならない。青少年公園では既改変地のみ使用する約束で、生態系は調査してこなかったが、時間的な制約により、やむを得なかったということ。アセスメントとして最低限である。計画が具体化するほど、自然のあるところに事業計画がはみ出してくる。ループにしても一切自然地形に手をつけないことはない。こいの池は人間が造ったため池だが、時間が経てばそこなりの生態系が成立する。マトリクスを出して方法を検討し、住民意見を聞くなら、生態系は抜かせない。現在のガイドラインでは、上位性、典型性、特殊性の観点から、適当な種を選ぶので、せめてそれぞれ1種、上位性としてオオタカ、典型性としてギフチョウ、特殊性としてモンゴリナラが常識である。ため池の生態系も抜かせない。 特にこいの池は水質浄化を大々的に謳うなら、水質浄化を行う前の状態、どんな生態系が成立しているかを押さえておくべき。

(委員)
こいの池の水中花火については、前回、一応理解が得られた。対象河川が人為的に整備されているから外したという文言があるが、人為的に整備されていない河川はほとんどないので、今の項目程度はやっておいた方が追跡調査のときに役に立つ。

(委員)
生物を典型性、特殊性で挙げるとき、修正評価は、従来の調査を踏まえ、きちっと整理してやってほしい。動物の希少種に相変わらずハッチョウトンボやミカワオサムシが出てくるが、このあたりではごく普通のものである。もっと貴重なものが出ているのに、全く目をつぶられてしまう。調査を積み重ねた上の修正ならば、それを十分踏まえた方法論が出てきてよい。典型性や特殊性につなげる形で、生態系を反映した貴重なものが出ているという認識は持ってほしい。

(委員)
自然の叡智を謳うからには、里地という系を評価すべき。「人為的なものだから」という表現はだめで、外した項目も同じレベルでやるべき。

(委員)
アセ法では項目にメリハリをつけるのは、スコーピング段階でも挙げている。総花的に全部必要だからやれと言われてアセスメントが紋切り型になった。青少年公園については、自然との触れ合いという分野の景観でなく、むしろ利用の場として考えるべき。やっておいた方がいいではなく、やらないとまずいことにしぼるべき。重みづけは、それぞれの分野の人が、自分の中でメリハリをつけて出し、全体で議論をすることになるが、生態系についてこれは最低限だと言われると、抜いたのはまずいかと思ってしまうが、自然景観に関しては、青少年公園にメインが移り海上がずっと縮小されたので、絶対景観メインでやれとは言わない。

(委員)
海上地区のアセスメントで一番問題になったのは、瀬戸層群の砂礫層と、東海層群の層上の寺山川、屋戸川で代表される地域だった。海上地区全体としては、寺山川、屋戸川は一番端で、粘土層は比較的薄い。東海層群の自然としては典型的ではない。一方、青少年公園は東海層群のど真ん中にあり、湿地は多くないが東海層群の非常に代表的な植物の一つのモンゴリナラが全域を覆っている森林がある。地域を特徴づける生態系という点では青少年公園の方がよほど重要である。大幅に地形を改変しないことは事実だが、マトリクスに立ち返って方法から検討するなら抜かすことはできない。

(委員)
このマトリクスは最低限に近い。自然については、分析項目の昔のデータが知りたいことが必ず出てくる。金がかかるなら別だが、可能性を考えてやっておくべき。

(委員)
夏、秋までかかる調査があり、修正評価書に間に合わない場合、どう対応するか。また、最初の評価のときは計画がなかったが、会場計画の熟度が高まり、環境への影響が大きいことが分かったときは、計画を変える余地はあるか。

(事務局)
生態系の項目について、海上からYPに出た経緯は、里地生態系の保全措置である。YPでも、ループも自然に配慮すべきところは回避した配置としている。評価書のときもYPの生態系について検討した。上位性、典型性、特殊性の検討の中で、生態系の標徴種は幾つかあるが、青少年公園の森林の大半が集中する南部には主要な施設がなく、南の方はエリアからも外し、湿地についても、人工池沼の周辺部等は直接改変しないため生態系については外した。その考えを踏襲している。生態系について、上位性、典型性、特殊性の観点から、何に着目し、どんな方法で評価するか、サジェスチョンをいただきたい。時間も限られており、ごり押しするつもりはないが、データをどうするかも含め、意見を伺いたい。森林体感ゾーンも、既存のルートを活用するが、来場者が自然に触れ、環境との共生といったことを勉強、体験するのは重要と思う。計画の変更については、環境に配慮しながら回避し、人の動きの環境影響をできるだけ下げる一方、人が安全に快適に移動できるよう調和を考えたい。どう環境と調和させるかサジェスチョンいただきたい。

(委員)
EXPOだよりNo.15の6、7ページに全体スケジュールがあるが、来年度前半の修正評価書の公告までに、工事が環境に配慮したものになるよう、先生方の意見を入れたいい評価書ができるとよい。その後も、追跡調査が最後まで続くので、この会議で必要な修正をしながら工事がうまくいくようにしていただきたい。

(委員)
下水の高度処理の計画は、具体的に決まっていないのか。

(事務局)
従前は一部直結、一部場内処理で香流川に放流する予定だったが、資料4の3ページのとおり、基本計画では海上地区も青少年公園地区も公共下水道に直結する。

(委員)
その場合、公共下水道の処理機能は間に合うのか。

(事務局)
従前は、瀬戸市、長久手町それぞれ、地域のインフラとして公共下水道を整備し、処理できないものを場内処理するとしていたが、長久手町の浄化センターの整備を、前倒しして間に合わせるよう努力してもらうことで調整がついた。

(委員)
ゼロ・エミッションをいうなら、人任せではまずいので、高度処理までやったらどうか。恒久的に処理場を残すのも、全部取り除くのも難しいということだったが、もう少し考えるべき。

(事務局)
国土交通省の下水道部局から、博覧会の半年のために場内で処理施設を造ってまた壊すのはおかしい。地域整備とうまく連携したらどうかという指導があった。また、経済省が高度処理のデモを政府館の中でやる計画が進んでいるので理解いただきたい。

(委員)
里地生態系の上位種について、人間が手を加えた場所には、何かが減るだけでなく、例えばカラスが増え、他に影響が出る等の問題が起こる。追跡調査項目にそういうものを選ぶ立場もある。また、コンクリートやガラス製のものが造られる可能性が高いので、反射、輝度の影響評価を加えてほしい。また、ゴンドラについては、支柱の問題もあるが、広域をガラガラ動き回るワイヤーとゴンドラについてここに挙げている項目で十分なのか。

(事務局)
ゴンドラは資料4の4ページのマトリクス表の「供用による影響」の「自動車等の走行」の「等」の中に想定しており、大気質、騒音・振動について評価する。熟度が高まってないので、追跡調査になるかもしれない。輝度については、ガラスやコンクリートのものはあまりないと思う。

(委員)
かなり明るい粒子が入っていると反射光がある。

(事務局)
生態系の項目を追加するとき、1年待ってデータをとってからということになると、スケジュールが非常に悩ましい。例えば、項目を入れて、5月ぐらいでまず評価し、不十分なところは追跡調査ということではどうか。

(委員)
新たな調査をこれからやる必要はない。種レベルの調査をやっている。シンボルになる種がそこにいれば、支えている生態系があるので、既存のデータを整理すれば現状は評価できる。あとは追跡調査すればよい。

(委員)
これだけのデータがあるので、きちんと分析したら、かなりいい解析ができる。その結果をどう考えるかが基本である。分析できない事態が生じたら、それを追跡調査すればよい。

(委員)
一番意地の悪い言い方をすると、時間がないと言うが、1年以上この会を放ったらかして、今さら何を言うというのがある。また、影響が出る可能性のあるものを全部排除すればよい。こいの池も、里山体験ゾーンも、グローバル・ループのうち自然地形にかかる部分は全部やめればよい。どちらもいやなら、問題の部分は保留して調査し、影響を見極めながら計画を詰めるしかない。ただそれはあまり望ましくはない。

(委員長代理)
ハードな意見も、緩やかな意見も出た。それぞれがアドバイスする立場で、会議全体としてどうしろとは言わないが、議論を整理すると、例えばループなど、計画の熟度が十分でないので、その進行と、委員が指摘した項目を、会議を開くなり、委員に個別に相談するなりしてうまく調整してほしい。「時間がないから」という逃げ口上はせず、ベストを尽くしてほしい。委員だけでなく、社会の目もあるので十分配慮してほしい。項目によって調査または整理し、あるいは追跡調査するなど、ソフトな対応でいい方向へ向いてほしい。

(5)閉会

  • 事務局あいさつ