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第11回環境影響評価アドバイザー会議要録

1. 開催日時

平成14年2月28日(木) 午後1時~3時25分

2. 開催場所

(財)2005年日本国際博覧会協会 名古屋事務所会議室
名古屋ダイヤビルディング2号館5階

3. 出席者

環境影響評価アドバイザー会議委員

加藤久和委員長、糸魚川淳二副委員長、吉田克己副委員長、青山光子委員、石井実委員、植下協委員、菊池多賀夫委員、北田敏廣委員、久野和宏委員、斎藤馨委員、佐藤正孝委員、芹沢俊介委員、八木明彦委員、山本晋委員

事務局:(財)2005年日本国際博覧会協会

椋本部長、国安環境グループ長、山本会場整備グループ長、馬越環境保全チームリーダ、近藤課長代理他

4. 議事

(1) 開会

  • 事務局あいさつ
  • 委員長あいさつ

(2) 今までの経緯について

配布資料A「環境影響評価の手続と会場計画」に基づき、今までの会場計画と手続の経緯について、配布資料B「基本計画策定にあたっての主な環境配慮事項」に基づき、基本計画策定に当たり行った環境配慮事項について、配布資料C「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価の進め方についての手続の状況について」に基づき、「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価の進め方」の意見募集の結果について説明した。

(3)「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案) -工学系-」について

配布資料「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案) -工学系-」に基づき、工学系に係る予測及び評価について説明した。

質疑応答

(委員)
時系列比較の評価は理解に苦しむ。評価方法の説明をお願いする。

(事務局)海上地区の会場面積の縮小、会場内のヘリコプター離発着場建設計画の中止等を加味し、総合的な評価をしている。

(委員)
海上地区では面積が減っているが、青少年公園地区では増えている。まして、海上はもともと敷地境界線にはほとんど人家がない。青少年公園は、接してはいないが、近隣に人家がある。そのような状況を考えると、今のような比較はおかしいと思う。

(事務局)
人との関係でファクターを入れていくか、境界線ということにベースをおくか、相対として判断すべきか、この辺の手法や評価、比較の方法が問題かと思うが、私どもとしては、全体から見ると低減されているという判断をした。

(委員)
大気質の予測のなかで、SPMの値が基準を上回っている地点が多い。何とかならないのか。

(事務局)
SPMに関してはバックグラウンドが環境基準を上回っている。それに対しては、博覧会事業者として対応しかねる。それは全般的な環境行政の中で対応していただく性格ではないかと思っている。評価書(案)の中では、博覧会事業により与える負荷の割合は非常に少ないということを説明している。

(委員)
騒音に関して、青少年公園地区の供用時の敷地境界で最大75dBという値が予測されているが、これはL50なのか、LAeqなのか。もしLAeqだとすれば、これはかなり高い値になると思う。

(事務局)
LAeqの値になる。
最大値は西口ゲート、改札口付近に出ている。原因としては、人の声になる。ゲートでは1人70dBの声の方が数十人、あるいは100人単位で重なりあうと想定しており、ゲートは敷地境界にあるので、そのすぐ脇では、そのような予測値になってしまう。恐らくその地点では車がさほど中を走る事はないと思う。さらに、西口ゲート直近に人家はありません。
(委員)
大気質についての自動車走行による影響の中で、一般車両はどのように考えているか。
一般環境局でも一般車両の影響を受けているので、少しオーバーに見積もっていると思うが、どのように考えているのかが論理的にわかりにくい。

(事務局)
一般車両については、一般環境局の値をベースにして、交通センサスの伸び率から将来の想定台数を設け、予測を行っている。
確かに予測値としては高めに出ていると思うが、そのように予測した。

(委員)
バックグランドを選定した局の場所を明記した方がよいのではないか。

(事務局)
記載します。

(委員)
工事を行うこことによりおこる交通渋滞を加味しているか。自動車からのSPMのエミッションの効果は入っているのか。比較方法について、どのような根拠に基づいているかを明らかにした方がよいのではないか。

(事務局)
交通渋滞については、従来からのアセスメントの考え方を踏襲して、制限速度で予測をしている。SPMに関しては、エミッション効果は加味している。
比較方法についての解説は、きちんとさせて頂きたいと思います。

(委員)
交通渋滞について、法定速度で予測を行っていると言われたが、今でも渋滞はおきているのに、更に交通量が増加したら、ものすごい渋滞がおこると考えられる。法定速度で予測を行うのではなく、もう少し実情に応じて予測する必要があるのではないか。

(事務局)
渋滞の問題は、アセスだけではなく輸送計画上も非常に重要なファクターだと思っている。愛知環状線、東部丘陵線等の鉄道系をさらに強化し、博覧会に直接関連する車はできるだけ抑えるよう努力している。

(委員)
会期中、青少年公園の前の道路(グリーンロード)の交通規制はどうなるのか。

(事務局)
交通規制は今と同じ運用形態になろうかと思う。

(4) 「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案) -自然系-」について

配布資料「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案) -自然系-」に基づき、自然系に係る予測及び評価について説明した。

質疑応答

(委員)
資料-8 13-1-14に表13-1-10があります。ここにアンモニア性窒素の急性毒性がいきなり出てくるが、ここの水はアンモニア自身がとんでもない値ではないので、この値は出さない方がいいのではないか。

(事務局)
そうします。

(委員)
資料-8 表11-3-1は大変興味のある表だが、これに対応するような動物の方で作られたものはないのか。

(事務局) 資料-8 表12-3-2に、ギフチョウに対するカンアオイの生育確認地が記載してあるが、これがそれに該当する。
図面で重ね合わせるという方法もあると思っている。特に動物は動くため、取り合えずその時に確認した場所での比較ということでよければ、そういう形も検討したい。

(委員)
自然系に関しては、例えば橋脚1本がどのような影響を与えるのかはわからない。例えば、カンアオイの群落の上に建つのか、ちょっと外れるかによってかなり違う。エリアで重ねても、例えば実際のカンアオイの株数とか、そこにどれくらいの卵が確認されているとか、そういう喪失率はわからないので、この辺を整理していただきたい。

(事務局)
ゴンドラやループについて、実際には今設計を組んでいるところであり、下部構造について確定していない。それに伴なう物理的なものについては、ある程度の想定で負荷をかけて計算している。生物系については、面的にその下はどうなるかわからないので、全部改変すると仮定し、予測を行った。先生がおっしゃった形で、どれくらいになるのかをきちんと出したいと思っている。

(委員)
注目する魚類ということで、希少種に対しては様々な対策が書いてあります。その中にブラックバス、ブルーギル等が入らなかったため、生態系が乱されずにすんだと記載してあるが、実際はかなり乱されている。鯉により希少種がかなり食べられている。生態系保存というときには、人工的に入れたものがいろいろ元の自然に対して圧迫を加えている。このような事を考えると、今回思いきって鯉を除去してしまうことも一つの対策だと考えていただきたい。しかし、これには他にも様々な問題があるだろうとは思いますが。

(事務局)
前回、青少年公園について、生態系を入れるべきだという意見を頂いて、評価書(案)の中に入れています。生態系について基本データを活用しているが、公園として管理されて今の生態系があるので、そこをどう評価するかが非常に難しいと考えている。
それと、今の話とは少し違うかも知れませんが、都市的な環境と自然的な環境のちょうどミックスするところが、森林体感ゾーンであり、ここは今ちょうど計画自体の熟度が上がりつつあるところです。計画を作り、それがどのような自然への影響があるかをチェックする。いわゆる計画をつくる段階でのアセスを行っているという状況であるとご理解いただきたいと思います。

(委員)
生態系、特に生物多様性の保全は、まだわからない事が多いので、そういう現状をきちんと踏まえた上で、評価できる部分は評価したということが明らかになっているのが評価書の役割であると思う。率直に、手法も現状も解析が難しいというのが実情であると思うので、その辺もきちんと評価書の中で説明を加えればよいと思う。

(事務局)
科学的な知見もまだ十分でないままに、断定的に書いている部分もあるかと思うので、書きぶりについても若干修正していこうと思っている。
また、池についても、ため池生態系としてきちんとモニタリングしながら、催事計画の熟度に合わせて再評価していきたいと考えている。

(委員)
追跡調査計画ですが、(1)にある事業の実施等に伴う追跡調査とあるが、これはどのくらいの時間スケールで行われるのか。要するに追跡というからには、事後という意味合いが多いと思う。基本的には、今あるものが失われないという事がベストだが、失われなかったかどうかを明らかにするには、全ての施設がなくなった後に調査を行い、今持っているデータと比較する事が必要だと思うが、そういった観点は入っているのか。

(事務局)
基本的には、追跡調査についても撤去工事終了までモニタリングをしていく計画である。例えば、工学系では、撤去工事中の大気汚染の状況については、予測した上で撤去工事を始め、撤去工事中についても監視、モニタリング調査を行っていく予定です。

(委員)
工学系と自然系の大きな違いはその辺だと思うが、騒音であれば音を出すものがなくなった瞬間に音は消えてしまいますが自然系はそうではない。生物が環境手法としていいと言われる理由は、何か悪い影響が一発でも入った後、それが悪ければ、本当にいなくなってしまうからである。例えば、ギフチョウが博覧会終了後にはいなくなってしまう事も考えられる。撤去工事終了後、例えば2006年とか2007年とかに一度、調査及び評価をきちんと行わないといけないと思う。

(事務局)
少なくとも、博覧会協会がある間はということが一つあります。
撤去工事終了後、きちんと評価するということは、経済産業大臣からも最後にきちんと報告書をまとめなさいと言う意見を頂いておりますので、今後きちんと対応していきたいと考えている。

(委員)
ヘリコプターの計画はないと先ほどおっしゃっていたのに、追跡調査の中でヘリコプター発着に伴う環境について書いてあるのは何故か。

(事務局)当初は会場内にヘリコプターの発着場を作る可能性がありましたが、現在は会場内には作らないという形で考えている。

(委員)
バリアフリーで障害者の方にいろいろな配慮をしていると思うが、視覚障害の方達が実際にこのような場にいらした場合、どういうことが見られるのか。例えば、香りの森とか目で見なくてもわかるような、体感ゾーンみたいなものを考えていただきたい。

(事務局)現在、バリアフリーをどのように行うかについては、バリアフリー検討委員会を設置し、障害者団体、学識経験者の方々のご意見を計画の熟度の応じていただく体制をとっている。ご指摘のように、障害者の方々にもできるだけ多く来ていただきたいのですが、すべてハードだけで対応するのも非常に限界がある。特に全盲の方々については、人的サポートを前提にしながら、できたらボランティアの方のご協力をいただきながら考えていきたいと思っている。
森林体感ゾーンについては、前回、委員会でどこの散策路もバリアフリーにするというのは、現実的ではないというご意見がありました。ただ、ここのエリアに入る時にはどのような勾配か、どのような階段か、車椅子で通るにはどうか等の情報をしっかりと提供することは最低限必要であると考えながら、今後計画を詰めていきたいと考えている。しかし、森林体感ゾーンには車椅子で散策できるルートも作りたいと思っている。

(委員)
会場の評価の中に、地表面温度とかの項目がないが、全面改変域は全てアスファルトで固めるというようなことはされないと思うが、地表面を変えれば当然表面温度が上がり、それが気温にも反映されるので、いろいろな意味で環境が悪化すると考えられる。そういうことも考えてやっていただけたらと思う。

(事務局)
青少年公園の中については、既存の道路をベースに、多少部分的には改変は行なうが、それ以外のところはできるだけ自然のまま残したいと考えている。しかし、車椅子の方にも入っていただく通路も必要になりますので、その辺で折り合いをつけながら考えていきたいと思っている。

(委員)
路面の話が出ましたが、最近では舗装するにしても、排水性舗装、透水性舗装、保水性舗装というのがありますから、そういうものを活用していただければかなりよいのではないかと思います。

(事務局)
その辺りは、常々ご指摘いただいている事でもあるので、十分に配慮して今後の計画を進めていただくよう、環境影響評価アドバイザー会議としてもお願いする。
本日の議論の中でご指摘、ご助言いただいた事項について、協会の方でそれぞれの箇所に適宜説明を加えたり、修正を行うということを了解して頂いて評価書(案)を出していただくようお願いする。協会の方には今後の手続き、追跡評価等についてもお願いする。

(5) 閉会

事務局あいさつ