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2005年日本国際博覧会企画調整会議(第11回)概要

日時

平成12年2月3日(木) 10:30~13:10

場所

博覧会協会東京事務所 会議室

内容

(1)事務局挨拶

(2)議事

  • 前回以降の経過説明
  • 会場計画プロジェクトチーム(以下「PT」という)の検討状況について
  • 博覧会会場の跡地利用について・コンセプトPTの検討状況について
  • 観客輸送PTの検討状況について
  • 環境PTの検討状況について
  • その他

(3)連絡事項等

議事概要

1.前回以降の経過説明

○ 1/14からの一連の新聞報道についての説明
○ 通産省から博覧会国際事務局(BIE)との実務協議について説明

2.会場計画PTの検討状況について

○ 会場計画PTと合同ワーキング・グループでの検討状況を説明

  • BIE登録申請に向けて環境への配慮や会場建設費との整合を図った会場基本計画の策定のために必要な与件(計画基準日入場者数の見直し、運営動線の設定等)についての検討を行っている。
  • 多くの委員から、会場計画とともに会場の跡地計画についても一緒に議論したいとの要望が出ている。

3.博覧会会場の跡地利用について

○ 会議の主な議論・意見

  • 保護か開発かの二元論を越えた人工と自然が融合したシステムを追求し、博覧会終了後、博覧会資産の継承がなされるべき。
  • 青少年公園地区は生物的自然を積極的に再生する場として活用するべき。
  • 通産省、愛知県、協会、NGO・NPOなどを含めたより広い参加者の意見交換の場を設けてほしい。
  • 海上地区では「人が住む」ことと「自然」との新しい関わりが重要。あの場所に「住まう」ことにこだわりたい。
  • 「住まう」ことについては各委員の総意であると思うが、その「住まい方」については各委員の認識に幅がある。

○ 座長から次のような意見の集約が行われた。

1) 博覧会を成功させることが大切である。基本コンセプトの方向は変えない。
2) 博覧会跡地利用、「住まい方」についても企画調整会議として積極的に提案していきたい。
3) 愛知県に対し、博覧会のテーマを継承する跡地利用計画にしてもらいたい。
4) 事業の関係者である方たちの議論の場を早急に作ってほしい。

4.コンセプトPTの検討状況について

○ テーマについて

  • 「BEYOND DEVELOPMENT」について、先進国には意味深いが、開発途上にある国々にとってはまだ先の話であるとの意見があり、コンセプトPT委員を中心とした横断的な会議であるテーマ会議等での検討の結果、メインテーマは「自然の叡智(NATURE'S WISDOM)」とすることが提案された。

○ サブテーマについて

  • 以前公表した「自然の叡智への12のアプローチ」を基に検討を続けた結果、「12のアプローチ」を整理し分かりやすくした形のサブテーマ展開が提案された。

○ 座長のとりまとめ

  • テーマについては、提案どおり「自然の叡智(NATURE'S WISDOM)」とすることで企画調整会議で確認された。
  • サブテーマについては、提案の方向で検討を進めることが確認された。

5.観客輸送PTの検討状況について

○ 観客輸送PTについては、BIE登録申請に向けて環境への配慮や会場建設費との整合を図った会場基本計画の策定のために必要な与件についての検討を行っている。

○ 会議の主な議論・意見

  • 観客輸送PTでの意見では、鉄道アクセス、駐車場、博覧会会場内の高低差、博覧会会場内の移動等について検討が必要と指摘されている。
  • 駐車場について料金設定で利用の平準化が図られるのではないか。
  • 来場者の平準化で外国館などの平屋化が可能となる。

6.環境PTの検討状況について

○ BIE申請案策定を念頭に置きつつ、各部会において以下のような取り組みをしている。

  • フィールド活用部会では、海上地区と青少年公園地区の両地区における森の活用について基本的な考え方の整理、施設配置計画の策定、博覧会後の継承していく資産について検討している。
  • エネルギーシステム部会では、地区ごとに設置を計画しているエネルギーセンターに会場計画とリンクしたテーマを設定し、CO2排出削減に関するシミュレーションを行っている。
  • ゼロエミッション部会では、ゼロエミッションEXPOルールについての検討を引き続き進めている。また、行政、企業、市民との連携の観点から、具体的な取り組みについてワーキンググループを設置して検討している。

7.その他

○ TEPIAにおける領域型展示ビジュアルシステムの実証実験についての紹介。

以上

記者会見における伊丹座長コメント

大変お待たせしたが、9月(第9回)の時のように揉めたわけではなく、議論を尽くし、集約しようとしたために時間がかかった。基本的議論は昨年のBIEからの跡地計画に対する厳しい指摘を受けて、企画調整会議として、意見を一本化できるかに費やされた。
まず、各PTから検討状況についての報告があったが、「跡地利用」について博覧会がどういうメッセージを残せるかについて、座長として以下の4点に意見を集約し、委員からの了承を頂いた。

1つめ は、「この博覧会を是非とも成功させること」であり、そのために皆で議論している。「コンセプトは変えない」ということであり、「成功させるために、あらためて強く意思を持とう」というのが、企画調整会議での第一の集約。

2つめ は、企画調整会議でも会場計画を検討する中で「跡地利用の構想に反映できる様々な提案をしていく」ということ。われわれ企画調整会議が議論する直接対象ではないが、「会場計画」と密接な関係にある「跡地利用」に対して、"自然と人の間のあるべき姿について"を提示することは極めて重要な課題である、と考えている。そしてそれは、将来「人が住まう」ことによって、自然と人間の望ましい21世紀のあり方を実現できる、ということでほぼ全員の一致を見た。これは「宅地開発」の是認ではない。「保護」か「開発」の二元論の議論はもうやめよう、ということ。前から言っていることであるが、多くの委員から、人が手を入れることことで維持されて行く「2次的自然」を訴えることの重要性が指摘された。

3つめ は、「愛知県に対して、『何らかの見直しを含めた検討をお願いしたい』」ということ。博覧会の成果を継承して、「自然の叡智」にふさわしい跡地利用であってほしい。議論の方向は大臣が言っていることとそんなに変わらない。

4つめ は、「跡地利用計画策定のための議論の場を早急に設けてほしい」ということ。そこには国・県・協会に加えて、企画調整会議のメンバーも参加した会議にしてほしい。そこで、跡地利用も含めた博覧会全体の計画が世界に理解しやすい、きちんとした新しい姿をつくり、早く内容を見せることが大切であり、是非早くやってほしい。

以上、4つの意見を集約するまでに、様々な意見を持っている方がいて幅のある意見の集約になったが、こういう形で意見を集約することに関して、皆さんの賛同を得られた。

もう一点、大きな議論の対象となったのは「テーマ・サブテーマ」。
お手元にある資料を参照して頂きたい。
最終的なものではないが、テーマについては、「自然の叡智」で一本化し、スッキリさせた。いろんな議論があったが、分かりやすいものとするために、「新しい地球創造」はサブテーマの第一にしようということになった。これは英語訳である「BEYOND DEVELOPMENT」という言葉は、開発途上国の方々から参加などを考える際に、やや先進国寄り過ぎるとのご意見が多かったため。しかし、「Development」に関しての二元論的な立場から脱却して、新しい考え方を提案していきたいというこの博覧会の基本コンセプトに生かすために、第一のサブテーマ「新しい地球創造」の英語訳を「DEVELOPMENT FOR ECO-COMMUNITIES」とした。

あと2つのテーマは、この間、発表したものと同じ。
以前公表した「12の森」の考え方は、いろいろ具体的なことを考えるための遺伝子とも言うべきもので、相互関係が分かるように整理され、それぞれサブテーマの中に生きている。
検討中だが、12の森の背後に「ランドマークシンボル(仮)」を設けたい。12の森それぞれに「アニマ」というふうに、ある委員が提案していたが、様々なシンボルマークが12の森と重なり合い、面白い総合体を生み出すような、そんな博覧会にしていきたいという案が出された。

以上の通り、企画調整会議としての「跡地利用計画」に対する対応の基本的な方針の集約とテーマに対する考え方が皆さんの賛同が得られた。
今度派遣されるBIEへのミッションには、われわれ委員からも2人参加する予定だが、企画調整会議としては、今述べたようなことを説明に行く予定。日程やメンバーについては現在調整中だ。

黒田事務総長コメント

座長から包括的にご説明頂いたが、いくつか補足させて頂きたい。

まず、大枠としては「博覧会を成功させる」という点で改めて意見の一致を見た。これは大変心強いこと。また「博覧会自身は一過性でも、その成果をきっちり、将来に向けて継承できるような中身を盛りこむべき」ということも確認された。「跡地利用」についての議論の中で、博覧会がいろいろな形で提案、実験しながら関わりあっていくことが重要であると私自身痛感した。しかし現在、発表できる案は持ち合わせていないので、多くの方々の意見を伺う機会というものを是非設けていきたい。

テーマについては、これまでの経緯もあり、今までのものが多くの方に焼きついている。新しい方向については、今後、ご理解して頂くためにも説明を尽くしていきたい。
本日のメインの議論ではなかったが、PTから「計画基準日の変更を前提として、現在作業を進めていること」について話があった。これは環境アセスメントのプロセスの中で、アセスの手戻りがないよう少し大きめの計画で進めてきた経緯があるが、このほどアセスが終了したので、これがどこまでスリム化ができるかという要素が一つある。ただし、あくまでも誘致の段階から申し上げてきた「会期中の想定入場者総数約2,500万人」が前提。

計画基準日というのは、ある人数がある期間来場するとすると、波があるはずで、平均の何倍か、1.数倍あるいは2倍の計画をしておかないと、混雑時には対応できない恐れがあることから、混雑時の計画をどう考えていくか、ということ。これについて、環境アセスメントの中の通産大臣の意見にも、「できるだけ平準化しなさい」とあり、この来場者の凸凹が大きい前提で会場を作らないよう、心がけなさいと指摘があった。具体的な平準化手段について、直ちに妙案があるわけではないが、何らかの平準化を前提とすれば、基準日のレベルを下げることが可能となる。

計画基準日のレベルをもし下げることができれば、場内輸送のプラットホームが半分の数で済むなど、様々なことについてスリム化が可能になってくる。
基準日変更の要件として、資金計画の関係もある。概ね1,800億円という資金計画を昨年11月末に発表して、関係の方々で議論していただいているが、できるだけ圧縮すべきではないかとの議論がある。この数字は、現場サイドでは大変厳しい数字ではあるが、この与えられた枠の中に、資金を収めていくためには計画基準日からの見直しも、一つの大きな要素であると考えている。

以上