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領域型展示ビジュアルシステムの実証実験実施について

財団法人2005年日本国際博覧会協会では、博覧会の領域型展示空間における展示手法として検討している情報通信技術を利活用したビジュアルシステムの実証実験を財団法人新映像産業推進センターと共同で下記のとおり実施いたします。

1 日時平成12年3月2日(木)12:30~17:003日(金)10:00~17:004日(土)10:00~16:00
2 場所財団法人機械産業記念事業財団(TEPIA)およびその周辺財団所在地:東京都港区北青山2丁目8番44号
3 概要別紙参照

※ 3月2日12:30~13:30はプレス対応時間とさせていただきます。

TEPIAにおける『領域型展示ビジュアルシステム』の実証実験について

(財)2005年日本国際博覧会協会

1.目的

領域型展示空間の展開例として検討している情報技術を利活用したビジュアルシステムについて、アイデアのみでなく現在の技術で可能な範囲で実証実験することにより、実現するための課題等を抽出することを目的とするとともに、一般の人に参加してもらうことにより、幅広い意見の収集、広報的な成果も期待できることから実施するものである。
また、2005年に実現させるには開発要素が多いため、今から関連企業と共同推進することにより協力体制を確立することも目的のひとつである。

2.日時、場所

3月2日(木)~4日(土)
TEPIA(財団法人 機械産業記念事業財団)
東京都港区北青山2丁目8番44号

※ 2、3日は『新映像フォーラム2000』が開催されており、3日15時、廣瀬委員が領域型展示ビジュアルシステムのセミナーを行う。

3.実験概要(予定)

(1)実験エリアはTEPIAの庭を中心とした青山の町中とし、エリア内には発信機能付きの『タグ』をいくつか設置しておく。
(2)パソコン(PC)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを装着した人が歩き回り、タグの近くを通るとその位置により、異なった情報がPCから与えられる。
(3)今回の実験ではテピアの庭をスタート、ゴール地点にし、青山の町中を15~30分程歩く。
(4)HMDを着けたまま歩き回るのは危険なため首にぶら下げておき、タグの近くを通ると手首などに着けたバイブレーターが振動する。それからHMDを着けるとその位置に応じた映像と音声(コンテンツ)が出る。
(5)どの地点を通過したかが記録されており、それによってコンテンツのストーリーが変わる。
(6)コンテンツは現在検討中であるが、あくまで実証実験ということもあり、大がかりなものではなく、文字、静止画、音声を用いる。
(7)システム構成としては次の通りである。
PC、ヘッドマウントディスプレイ、マイク、スピーカー、バイブレーター、タグ、受信機

4.主なメンバー(敬称略)

東京大学 先端科学技術研究センター : 廣瀬 通孝
隈研吾建築都市設計事務所 : 隈 研吾
(学)文化服装学院 : 曽根 美知江
ペットワークス : 八谷 和彦
(株)フジタ : 富田 紀久夫
シャープ(株) : 山中 篤
(財)機械産業記念事業財団
(財)新映像産業推進センター

メンバーのコメント

隈 研吾(建築家、企画運営委員)

2005年に開催予定の愛知万博の敷地は、瀬戸市の里山である。その会場計画は、従来の万博の会場とはかなり異なるものをめざしている。そのためにわれわれは二つの武器を用意している
ひとつの武器はトポス型と呼ばれる地形一体型建築である。建物の屋上が緑化され、建物がひとつの地形を作る方法がトポス型である。
もう一つの武器は領域型である。屋外空間をそのまま展示体験空間として利用し、建築物のヴォリュームを削減しようというのが領域型である。まず、なにがなんでも建築物を作ろうとする従来の発想を「建築型」としたとき、その反対概念として領域型という名前を付けた。その領域型をサポートするのが、様々な電子技術であろうとわれわれは考えている。電子技術のサポートによって、林や野原や屋上が、出会いと発見に満ちた空間へと生まれ変わるのである。その意味において、愛が環境を救うだけでなく、情報もまた環境を救うとわれわれは考えている。今回の実験は、その新しい武器を試す場となるはずである。

廣瀬 通孝(東京大学教授、企画運営委員)

これから2005年にかけて、コンピュータは、その姿を大きく変えていくことになるであろう。中でも注目すべきことは急速な小型化に伴う携帯化への動きである。コンピュータはもはや室内の閉鎖空間においてのみ使われるのではなく、屋外の大空間へとその活躍の場を拡大するのである。
本展示のキーワードのひとつであるウェアラブル・コンピュータも、その意味において人間とコンピュータとの新しい関係の構築を示唆するものである。Intimateという言葉に象徴されるように、もはやわれわれ自身とコンピュータという道具とは分かちがたく一体化することになろう。携帯電話等をその入り口とするウェアラブル機器の数々は、われわれにとっての新しい眼鏡であり腕時計なのである。
コンピュータによって創出される情報世界は、われわれの住む現実世界と対立するものではなく、それどころか一体化することによってお互いをより豊かにすることができる筈である。今回の展示にはそういうメッセージが込められている。もちろん、2005年までの5年間にコンピュータはさらに大きく変化する。リアルとバーチャル、自然と人工、という一見対立してみえる概念に、新しい関係を与える作業は、まさに始まったばかりである。

八谷 和彦(メディアアーティスト、ポストペット開発者)

えっと、2005年の愛知万博がどんなものになるのか、僕はまだよくわかってないです。すみません。でも、本当はみんなもきっとそうだと思うんですよね。正直にいうと、今から5年もあとの未来のことなんて、よくわかんない。例えばトポス型建築も、領域型の展示も今から5年後つったらもう古くなっているかもしれないし。
でも21世紀における未来って、ぼくは結構信じていて、それは Linuxみたいに、ソースや、ハードや、いろんなものをオープンにしていくことだと思ってるんですね。例えばこんな僕がこの時点で入っているってこともそうなのかも。で、僕自身も最後までやるかどうかわかんないけど、いろんなひとがいろんな形で入っていって、そこでいろんな意見がでれば、結果的にはプロジェクトがそれで熱く、語るべき、子供たちの記憶に残るものになるんじゃないかという気もするんですよ。今から30年前の大阪万博のように。
それを期待して、僕はここにいたりもします。
いや、がんばりましょう。みんなで。マジに。未来の実験のために。