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ニュースレター No.16

No.16 2005/06/09

Contents

News

プロトタイプロボット展 展示内容発表

ロボットスーツHAL

 5月10日、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO 技術開発機構)は、6月9日~19日の11日間、愛・地球博 長久手会場「モリゾー・キッコロメッセ」で開催するプロトタイプロボット展の展示内容について発表した。

 2010年頃の実用化を目指して開発が推進されている「実用化ロボット」(5分野9種類)については、万博開幕当初から「ロボットステーション」を始めとする万博会場各所でデモンストレーションが行われているが、今回展示されるのは、2020年頃の幅広い分野の応用実現を目指して開発が推進されている「プロトタイプロボット」(8分野65種類)。大学や企業から公募したユニークな試作ロボットが揃っている。

 この日、披露された「ロボットスーツHAL」は、人が動くときに皮膚の表面を流れる微弱電流を検出することにより次の行動を予測し、パワーアシストスーツのモーターを駆動させ、動作を補助する。足の弱い人の歩行補助、あるいは、老人介護や災害救助の現場での活躍が期待されている。長さ約2メートルの「水陸両用蛇型ロボット」は、頭にテレビカメラを持ち、陸上や水中を自由に移動、狭いところにも入り込める。災害時のがれきの中の捜索や海底探査などでの利用が考えられている。「ロボビー&ワカマル」は、2体が会話の間(ま)を感知し、音声や身振り、手振りでかけあい漫才をする。


ロボビー&ワカマル

 開催期間中、会場には、“2020年 人とロボットが暮らす街”として展示空間がつくられ、その中で、来場者は、紹介した4体のロボットの他、様々なロボットと暮らす未来を実感することができる。例えば、リビングで、障害物を避けながら近づいてくるお使いロボットから新聞を受け取り、ゴルフ場では、キャディロボットから的確なアドバイスを受け、ショットバーで、ロボットと会話を交わすといった具合だ。

 このプロトタイプロボット展は、次代を担う子供たちから大人まで、ロボット最先端技術に直接ふれ、興味を深める貴重な機会となるだろう。


パビリオン紹介 : 中央アジア共同館

中央アジア共同館 外観

 紀元前より、広大なユーラシア大陸の東西両端を結んだ絹の道「シルクロード」。その中央にあって、東西文明の交差点として、独自の歴史を築きあげてきた中央アジアの諸都市。
 1991年のソビエト連邦の解体とともに独立した、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、そしてタジキスタン、という4つの中央アジアの共和国が共同出展しているのが、「中央アジア共同館」だ。長久手会場 グローバル・コモン1 PDFにあるこの共同館のテーマは、「時の交流」。

 まず、壁面に美しい木彫を施したウズベキスタンの入口から入館。外敵の攻撃からオアシス都市の人々を守った城壁と門、そして、イスラムの信者たちに祈りを呼びかけ、砂漠から来るキャラバンたちの道標ともなったミナレット(尖塔)がつくる不思議な空間が来場者を迎える。ミナレットの向こうには、美しい刺繍が施された布・スザニ、そして、鮮やかな青と細かな文様が特徴の彩色陶器が飾られ、東西の商人たちを集めたバザールを現出している。


仏陀涅槃像(タジキスタン)

 オアシス都市の城壁を出て、7,000メートル級の山々が聳える山岳国タジキスタンの出展コーナーに向かう。
 このコーナーでは、まず、13メートルの巨大な仏陀涅槃像との遭遇に来場者の驚きの声があがる。この国で発掘された6世紀に制作されたという涅槃像のレプリカだ。涅槃像は、7世紀に、中国僧玄奘がインドを目指し、この地を通ったときに花開いていた仏教文化の豊かさを思わせる。そして、像の傍に立つ色鮮やかな民族衣装を纏った女性アテンダントのペルシャ系の彫りの深い容貌が、様々な民族と文明の交錯したこの国の歴史を思わせる。

 タジキスタンを通り過ぎると、来場者は遊牧民族のユルタ(移動式住居)文化の世界に足を踏み入れる。

 キルギスタン。国土の平均高度は、2,750メートル。中央アジアのスイスとも呼ばれる美しい景観を誇る山岳国だ。ユルタを模した円形の展示スペースでは、山間の草原で羊やヤクを追い続けた遊牧民の暮らしと文化を紹介している。6~9世紀に活躍したトルコ系騎馬遊牧民族「突厥(とっけつ)」の戦士の墓と言われる石人の像、そして、キリスト教ネストリウス派の十字架が刻まれた石などは、すべて実物。貴重な歴史遺産だ。キルギス人の男性アテンダントの容貌は日本人とそっくり。国境を越えた世界の不思議な絆を感じさせられる。


カザフスタンの伝統衣

 最後に、カザフスタン。カザフステップと呼ばれる広大な草原が広がる国だ。入口には本物のユルタが展示されている。白いフェルトで覆われたユルタの中は、カラフルなシルダック(フェルト絨毯)で飾られ、美しい花嫁衣装姿の娘と伝統的な弦楽器ドンブラを奏でる兄の間に挟まれて祖母が椅子に坐っている。3体の人形は遊牧民の幸せな生活を語っているようだ。

 コーナーの壁面にはこの国の歴史を伝える沢山の貴重な絵画が飾られている。紀元前5世紀にスキタイ人の王子が着ていたものとされる黄金の鎧や、宝石を散りばめた銀細工のベルトや刀剣の豪華さが目を奪う。鞍を始めとした様々な馬具は騎馬民族の生活を偲ばせる。

 展示品の中に突然、宇宙服が現れる。カザフスタン南部のバイコヌールには、ソビエト連邦時代、宇宙基地があり、世界初の人工衛星スプートニクを発射したという歴史も持っているのだ。さらに、カスピ海の石油や天然ガスなど豊富な資源を有し、中央アジアの中で最も豊かなこの国の活力ある現在も映像で紹介されている。

 時空と国境を超えた中央アジアシルクロードの旅。愛・地球博で、沢山の人がこの旅路を辿ることを願う。

(詳細は 中央アジア共同館公式ホームページ へ。)


Interview

イェノ C. A. シュテヘリン氏(スイス) 愛・地球博 スイス政府代表

イェノ C. A. シュテヘリン氏(スイス)

 「自然の大切さと環境に配慮した行動に対する意識を高めるための万博」、「異文化交流の場としての万博」ということが「愛・地球博」の特徴だと思います。自然はときに脅威となりますが、同時に、人間への贈り物でもあるのです。私たちが共有する自然環境は、共に協力してこそ、守っていくことのできるものだとの認識を高めることが、この万博の目指すところだと思います。また、来場者は会場内を歩けば、異文化間の交流や調和について感じ、学ぶことができるでしょう。以前、私は国連大使を務めたことがありますが、愛・地球博も沢山の国の人が集まり、一つの目標に向かって共に努力していこうという点では、国連と少し似ているように思います。

 スイス館のテーマは「山」です。スイスといえば、山を連想する人も多いかと思いますが、山はスイス人の気質にもいろいろな影響を与えています。山岳地の多い我が国は、海に面しておらず、天然資源もありません。また、畑に適した土地も多くありませんので、昔は非常に貧しい国でした。やせた土地から収穫を得ようと思えば、肥沃な土地に住む人に比べると何倍もの労力が必要ですので、山の民というのは働き者なのです。

 スイス館の館内全体は、山をかたどった模型になっていて、その内部では、スイス人の創意工夫と発明の才や文化的な特長を示すものを紹介しています。当館は、ある意味で、山岳地が大部分を占める国であると同時に、高度に発達した国でもあるスイスという国を具現化しているのです。さらに、私たちが伝えたいのは、与えられた自然を受け入れることと、自然と科学技術や経済の進歩との間には、対立や矛盾はないという点です。館内には、一昨年アメリカズカップで優勝したアリンギ号や、初めて世界一周を成し遂げたベルトラン・ピカールの気球などを展示していますが、これらは、自然の力に対する十分な理解とハイテクを組み合わせたもの、つまり自然と科学をうまく融合させることができた実例だといえるでしょう。

 我が国の大統領は、先月行われたスイスのナショナルデーの式典でのスピーチの中で「自然を支配するには、自然に従わなければならない」というフランシス・ベーコンの言葉を引用しましたが、私たちが価値ある人生、質の高い人生を送るためには、自然を尊重し、自然の大切さを理解しなければならないのだと思います。


Column

ナショナルデー・スペシャルデー

国旗掲揚(英国ナショナルデー)

 愛・地球博では、121の公式参加国と国際機関の参加を称え、その国・国際機関への理解を深め、国際親善に寄与することを目的としてナショナルデー・スペシャルデーを開催する。ナショナルデーは国の日、スペシャルデーは国際機関の日だ。平日は、ほぼ毎日開催されているこのイベントは、愛・地球博の魅力の一つとなっている。その魅力の一端をお伝えしよう。

 4月22日、「英国 ナショナルデー」がEXPOドームで開催。11時、式展開始。エリザベス女王とエジンバラ公の第三子にあたるヨーク公アンドリュー王子御臨席の中、英国と日本の国旗掲揚、国歌吹奏のあと来賓の挨拶、フレンドシップ市町村の豊田市からの花束贈呈が続いた。式典の後には、英国発ウェスト・エンドミュージカル「STOMP」の公演が行われた。英国の下町や工場をイメージさせる舞台で、ごみバケツやデッキブラシなどを総勢8名のキャストが打ち鳴らすダイナミックなステージ。世界32カ国で公演されている人気パフォーマンスだ。

 ナショナルデーでは、式典に加え、このようにその国ならではの個性あふれるステージショーも繰り広げられる。


STOMP公演(英国ナショナルデー)

 「エチオピア連邦民主共和国 ナショナルデー」は、5月16日、EXPOホールで開催。式典には、エチオピアのフレンドシップ市町村となっている鳳来町から400名以上の小学生も参加。式典の後は、エチオピアの男女11名による民族舞踊も披露された。客席の子供達も太鼓や笛のリズムに合わせ、手拍子を打ち、エチオピアの民族文化を全身で味わっていた。

 午後には鳳来町の女性たちだけの和太鼓の演奏「紅(くれない)太鼓」のパフォーマンスが行われ、コアング・トゥトゥラム・ドゥング駐日エチオピア大使夫妻が飛び入りで参加した。万博開催前にも、夫妻は鳳来町を訪れ、町の人々との絆を深めていたからこそ自然に起きた楽しいハプニングだった。

 紅太鼓を熱演した女性の一人は、「大使のリズム感のよさにびっくり。こうしてエチオピアの方々と交流し、文化に触れることは、私たち大人にとっても、また、普段、海外の方々とめったに接する機会のない鳳来町の子供達にとっても、とても意義があることだと思う」と語っていた。民族舞踊団は、今後、鳳来町を訪れ、さらに、町民との交流を深めるという。


鳳来町「紅太鼓」に飛び入り参加の駐日エチオピア大使夫妻(「エチオピア連邦民主共和国 ナショナルデー」)

 6月6日は、いよいよ開催国日本の ジャパンデー 。6月12日までの1週間はジャパンウィークとして様々なイベントが繰り広げられる。イベントは世界的なミュージシャンである政府出展事業総合監督の渡辺貞夫氏が総合プロデュース。

 ジャパンデー式典では、渡辺氏が日本からのメッセージを言葉や国境を越えて発信していくために作曲した「Share the World~こころつないで~」を200人の子供たちが合唱する。

 ジャパンウィークは、ジャパンウィークセレクション「日本音楽・伝統と今」と渡辺貞夫リズムワールド「Meet The Expo」、渡辺貞夫リズムワールド(フィナーレ)で構成。「日本音楽・伝統と今」は、「奏」「踊」「叩」「集」の各テーマで、日本の4つの時代を代表する楽器演奏、伝統芸能の舞踊、和太鼓演奏などを行い、「Meet The Expo」では、世界各国の10代の若者たちのグループが歌い踊る「地球のリズム」等、魅力的なステージが楽しめる。そして、最終日の12日には、渡辺氏の熱き思いの集大成として、ジャパンウィークのフィナーレにふさわしいステージが展開される。

 海外の方々にとっても、言葉を超えて日本の文化を体験できるまたとない機会となることだろう。

(ナショナルデー・スペシャルデーの詳細は、 愛・地球博公式ホームページ から。)