まえがき
平成14年度においては、開催1000日前となる平成14年6月29日に、皇太子殿下が2005年日本国際博覧会の名誉総裁にご就任された。同日、マスコットキャラクターのネーミング「モリゾー」「キッコロ」を発表し、公式オリジナルグッズの販売も開始した。
10月17日には、会場地である元愛知青少年公園で2005年日本国際博覧会「愛・地球博」の起工式を執り行い、造成工事に着手した。また、この起工式において、公式イメージソングを初披露した。
第18回理事会・評議員会において承認された入場料金制度(案)は、11月8日には、「2005年愛知県において開催する国際博覧会関係閣僚会議」において了承され、入場料金制度が正式に決定した。
平成15年3月には、開催2年前イベントを各地で開催したのを始め、催事、協会企画事業などのさらなる具体化を図るとともに、東京においては、愛・地球博「展示・説明会」などで事業内容の紹介を行った。
I 当協会の概況
1 設立年月日
平成9年10月23日
2 寄附行為に定める目的
本財団は、国際博覧会条約に基づく2005年の愛知県瀬戸市、長久手町及び豊田市における2005年日本国際博覧会の準備及び開催運営等を行うことにより、わが国の産業及び文化の発展を促進し、もって21世紀の地球社会の発展に寄与することを目的とする。
3 寄附行為に定める事業内容
- 2005年日本国際博覧会の準備及び開催運営
- 前号に掲げるもののほか、本財団の目的を達成するために必要な事業
4 所管官庁
経済産業省商務情報政策局博覧会推進室
5 主たる事務所
- 名古屋事務所: 愛知県名古屋市中村区名駅三丁目15番1号
名古屋台やビルディング2号館4階
- 東京事務所: 東京都千代田区内幸町二丁目1番1号 飯野ビル8階
6 役員等に関する事項
理事: 75名(うち会長1名 副会長16名 常任理事7名)
監事: 2名
評議員: 132名
主な役員(平成15年3月24日現在)
役職 |
氏名 |
常勤・ 非常勤の別 |
担当職務・現職 |
会長 |
豊田 章一郎 |
非常勤 |
日本経済団体連合会名誉会長 |
副会長 |
秋山 喜久 |
非常勤 |
関西経済連合会会長 |
副会長 |
天野 弘治 |
非常勤 |
豊田市議会議長 |
副会長 |
磯村 巌 |
非常勤 |
名古屋商工会議所会頭 |
副会長 |
太田 宏次 |
非常勤 |
中部経済連合会会長 |
副会長 |
奥田 碩 |
非常勤 |
日本経済団体連合会会長 |
副会長 |
加藤 梅雄 |
非常勤 |
長久手町長 |
副会長 |
河村 邦彦 |
非常勤 |
瀬戸市議会議長 |
副会長 |
神田 真秋 |
非常勤 |
愛知県知事 |
副会長 |
小林 陽太郎 |
非常勤 |
経済同友会代表幹事 |
副会長 |
斉藤 実 |
非常勤 |
名古屋市会議長 |
副会長 |
鈴木 公平 |
非常勤 |
豊田市長 |
副会長 |
寺島 金男 |
非常勤 |
長久手町議会議長 |
副会長 |
寺西 学 |
非常勤 |
愛知県議会議長 |
副会長 |
増岡 錦也 |
非常勤 |
瀬戸市長 |
副会長 |
松原 武久 |
非常勤 |
名古屋市長 |
副会長 |
山口 信夫 |
非常勤 |
日本商工会議所会頭 |
常任理事 |
揚原 安麿 |
非常勤 |
日本青年会議所会頭 |
常任理事 |
川上 哲郎 |
非常勤 |
日本万国博覧会記念協会会長 |
常任理事 |
坂本 春生 |
常勤 |
2005年日本国際博覧会協会事務総長 |
常任理事 |
笹森 清 |
非常勤 |
日本労働組合総連合会会長 |
常任理事 |
椎名 武雄 |
非常勤 |
社会経済生産性本部副会長 |
常任理事 |
田代 和 |
非常勤 |
近畿商工会議所連合会会長 |
常任理事 |
樋口 廣太郎 |
非常勤 |
日本経済団体連合会評議員会副議長 |
監事 |
小澤 勲 |
非常勤 |
日本公認会計士協会東海会会長 |
監事 |
寺西 正司 |
非常勤 |
全国銀行協会会長 |
7 職員に関する事項
平成14年度末の職員数は、事務総長以下184名となった。
職員数(平成14年度末) |
前期末比増減 |
平均年齢 |
184名 |
+30名 |
42歳 |
(各年度別職員数)
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
平成12年度 |
平成13年度 |
平成14年度 |
39名 |
86名 |
117名 |
141名 |
154名 |
184名 |
II 平成14年度事業の実施状況
II-1 建設事業
1 会場建設のための事業
- 観客輸送施設基本設計
- 新たに整備することとなった北ターミナルの基本設計とともに、他のターミナルの基本設計の修正を実施した。用地形状等の変更に伴い、駐車場の基本設計の修正を実施した。また、青少年公園駅及び八草駅の仮設部分の基本設計及び詳細設計を実施した。
- 土木工事
- 基盤整備実施設計に基づき、(1)青少年公園地区の展示、催事、管理等諸施設敷地、ゲート前広場敷地、園内道路敷地等の造成・整地工事及び同地区内の樹木の移植工事、(2)海上地区の展示、催事、管理等諸施設敷地、バスターミナル敷地等の造成・整地工事など、青少年公園地区及び海上地区の施設整備地区の造成工事に着手した。
- 会場施設建設工事
- 青少年公園地区において、グローバル・ループ及び公式参加者のためのパビリオンの建設に着手した。
- 供給処理施設建設工事
2 国際博覧会環境影響調査
- 環境影響調査
- 会場区域等において大気質、水質、騒音、振動、植物、動物、生態系等の調査を実施し、平成14年6月に環境影響評価書を公告、縦覧した。
- 専門家検討委員会開催
- 環境影響調査に関し、指導・助言を受けるために環境影響評価アドバイザー会議を開催した。
- 環境監視システム
- 環境影響評価における修正評価書公告後、建設工事着工前から会期終了後、撤去工事に至るまでの追跡調査の一環として、会場及びその周辺の環境状況監視のためのデータ収集・管理等を行った。
II-2 運営事業
1 広報関係
- 国内広報普及活動
- 公式マスコットキャラクターの愛称決定
愛・地球博をより多くの人々に親しんでもらえるよう、公式マスコットキャラクターの愛称を募集し、全国より82,527件の応募の中から「モリゾー」と「キッコロ」に決定し、開幕1000日前イベントの席上において発表。ポスター、各種パンフレット類、ホームページをはじめ、あらゆる媒体に積極的に展開し、愛・地球博の認知向上に努めた 。
- 公式イメージソングの制作・発表
YOSHIKI氏にプロデュース(作詞・作曲)を依頼していた公式イメージソングが完成し、平成14年10月17日の起工式において発表した。PRビデオや協会のホームページ、電話の待受音などへ展開するとともに、CDを関係機関や報道機関等に配布し、各種イベントや愛・地球博関連番組等での活用を図った 。
- 広報誌、PRビデオ、パンフレット、ポスター等の各種情報・PRツールの充実
起工式に合わせ各種の情報・PRツールを新たに制作し、シンポジウム、講演会、説明会、イベント等での活用をはじめ、JR東海・名鉄主要駅での展開を図った 。
- 節目イベントの実施
開幕1000日前記念事業として、平成14年6月29日にはJR名古屋駅「タワーズガーデン」で、7月11日にはJR東京駅「八重洲イベントスペース」でイベントを実施。また、起工式の前日10月16日には皇太子同妃両殿下のご臨席の下に、「愛・地球博の集い」を開催した。
平成15年3月25日には開幕2年前事業として、名古屋市のオアシス21と東京・有楽町「マリオンスペース」においてイベントを実施し、開幕の機運を高めた 。
- 「愛・地球博」展示・説明会の実施
開幕2年前を契機に、協会としては初めての本格的な展示・説明会を平成15年3月26日から東京を始めとし、名古屋、大阪、三重(津)、静岡(浜松)、岐阜の6会場で実施。合計1万人を超える来場者に「愛・地球博」の魅力をアピールした。
- 愛・地球博協賛レースでのPR展開
競輪、競艇の愛・地球博協賛レースが開催され、関係者および来場者に愛・地球博のPRを行った。なお、平成14年度は蒲郡競艇場(9月、11月)、常滑競艇場(2月)と名古屋競輪場(12月)、豊橋競輪場(3月)において行われた。
- 海外広報普及活動
- 海外版PRツールの新規製作
海外向けのPRビデオ(英語)、リーフレット(英語、仏語、スペイン語、中国語、韓国語)を制作し、平成14年10月の国際企画会議をはじめ、各種国際会議やセミナー、フェア等において配布、活用した。
- 海外イベント、国際会議への参加
平成14年8月に南アフリカ・ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、平成15年3月に京都/滋賀/大阪で開催された「第3回世界水フォーラム」に参加し、ブース出展やプレゼンテーションを通じて、愛・地球博のPRに努めた。
- 海外メディアへの情報発信
(財)フォーリンプレスセンター(FPC)及び(社)日本外国特派員協会(FCCJ)に継続的に情報提供を行い、在日外国人記者への理解促進に努めた。特にFPCの刊行物に、愛・地球博の紹介ページを設け、日韓共催のFIFAワールドカップ・サッカーのプレスセンターでも配布した。
2 国際関係
- BIE関連事業
- 一般規則に掲げた14の特別規則を、BIE事務局と事前協議を経て作成・提出し平成14年12月のBIE総会において6本の特別規則の承認を得た。また、14年6月(パリ)、12月(モナコ)のBIE総会に出席し、博覧会の準備の進捗状況を各国に報告するとともに参加を招請した。
- 国際会議開催
- 第1回国際諮問委員会の実施
愛・地球博のテーマの深化・普及を目指した国際諮問委員会の第1回会議を平成14年5月に名古屋にて開催した。フィリプソンBIE名誉議長を委員長とし、アジア、欧州、米州、アフリカ等からノーベル賞受賞者などを含む11名の委員が選出された。
- 第6回国際シンポジウムの開催
平成14年12月『愛・地球博とメルヘン』をテーマに愛知県内の小学生と保護者約250名を対象に第6回国際シンポジウムを開催。米、加、露、ナイジェリアの講師によるパネルディスカッションとモリゾー&キッコロの「童話制作のワークショップを開催し、同模様をNHK、中日新聞で紹介するとともにボランティアセンターにおいて作品を展示した。
- 海外参加招請
- 博覧会政府代表に同行、また単独で各地域担当リエゾンオフィサーが世界各国を回り、参加招請活動を推進、100を超える公式参加表明取り付けの目途を立てた。(H15年3月31日現在、参加表明国81、参加表明国際機関7)
また、国内では、平成14年10月22日、23日に各国代表を招待し、名古屋市内ホテルにおいて、国際企画会議を開催し(79カ国より125名が参加)、博覧会準備の進捗状況の説明、会場視察案内を行った。さらに、公式参加者用参加案内書(英文ガイドブック)を作成し、国際企画会議において配布するとともに、在外公館を通じ参加招請対象国政府および国際機関に配布徹底した。
3 市民参加関係
- 市民プロジェクトの立ち上げ
- 市民が主体となって取り組む市民プロジェクト(市民参加事業)」の具体化に向け、平成14年12月17日から平成15年2月末日まで、市民が取り組む5つのテーマ「いのち」「隣人」「環境」「とき」「美しさ」の具体化を検討するメンバーを募集し、集まったメンバー354人が、テーマごとに選挙で選ばれた5人の市民編集長と共に、市民参加事業の課題についての議論を行った。
- 愛・地球博 市民プラザの運営
- 愛・地球博における市民参加を促進するための情報交換や交流の場という「愛・地球博 市民プラザ」を運営し、情報提供媒体としてのメールマガジン「みんぷらかわら版」を発刊した。
- ボランティア
- 平成14年12月10日、南山大学学長のハンス ユーゲン・マルクス氏を会長とした、愛・地球博ボランティアセンターが設立され、「国際」「福祉」「エコ」「参加支援」「研修」の5つの部会のもと、平成16年1月からのボランティアの募集開始に向け、博覧会における活動内容の策定や仕組みの検討を開始した。また、市町村・企業・NPO団体や大学等3,000件に対し、ボランティア活動実態調査を行った。
- 出展・行催事
- 国内出展対策
平成14年3月25日〜4月24日までの1ヶ月間、出展参加申込受付を実施し、敷地割当などの調整を経て、民間パビリオン敷地への出展者9社が確定した。その後、順次、出展者と個別に出展参加契約を締結した。また、出展参加申込期間終了後、円滑な出展準備に資すため、国内出展者と連携を密にするとともに、より質の高い出展を促すための国内出展者会議を設置し、定期的に会議を開催し、必要に応じて随時、民間出展者及び政府・愛知県・名古屋市の各ブロック会議を開催した。
- 新エネルギー供給実証事業
博覧会における新エネルギー実証実験システム構築のための調査・設計を実施した。
- 催事
公式行事、公式催事、協会企画催事、協会協力催事、一般参加催事などで構成される催事基本計画を策定し、開幕2年前にあわせて発表した。
- 行事
平成14年10月17日、青少年公園地区において小泉総理大臣、平沼経済産業大臣を始めとする多数の来賓のご出席のもと愛・地球博の起工式を行った。
- 協会企画事業
(1)グローバル・ハウス、(2)愛・地球広場、(3)こいの池-ナイトイベント、(4)地球市民村、(5)食と遊びの事業、(6)コンベンションホールの6事業に関し、企業等の参加・協力の依頼を行うとともに、実施に関する計画の策定を推進し、事業の具体化を図った。
5 営業推進関係
- 収益事業
- 博覧会運営費への充当のため、平成13年度同様、シンボルマークのバッジ及びシンボルマークをあしらったネクタイ、ネクタイピンの協会直接販売を行った。さらに、キャラクターライセンス事業を伊藤忠商事に委託した6月からは、新たなキャラクター商品の開発、販売を開始し、愛・地球博のイメージ向上、収益拡大を図った。
- 場内営業管理
- 営業施設のあり方(商品構成、店舗形態、店舗構成、店舗配置)の検討を行い、場内営業実施計画を策定した。また、出店募集に向けた基本条件(施設使用料、納付金)を決定した。
- 入場料金制度等の決定
- 入場料金等の基本計画を作成し、第18回理事会・評議員会での承認、関係閣僚会議における了承を経て、入場料金制度を決定するとともに、平成15年9月からの前売販売に向けて入場券のデザインを決定した。また、協会直販ルートとして入場券の大口購入予定の関係団体(修学旅行等含む)等への入場券の事前販売活動を実施するとともに、「入場券販売管理センター」を設置するための準備作業を行った。
- 観客誘致対策
- 修学旅行などのルート決定時期にあわせて、旅行会社のほか学校や教育機関等関係先に事前に働きかけを行うとともに、名古屋、東京、大阪、札幌、仙台、福岡において、旅行会社向け説明会を開催した。また、海外誘致についてもJNTO(国際観光振興会)、JETRO(日本貿易振興会)、コンベンションビューロー等と連携を図り誘致に努めた。さらに、愛知県等とともに「おもてなし愛知」キャンペーンを実施し、入場券前売前に本博覧会を含む愛知県観光の認知度の向上を図った。
6 事業運営関係
- 情報通信管理事業
- 情報通信システム事業については、機能設計を実施し公募を行った。
- 会場管理サービス
- 博覧会を快適に楽しんでいただくため、「会場観客サービス基本計画」を策定したほか、観客の安全確保、会場内の安全確保について「会場警備基本計画」を策定した。また、救急体制・医療衛生対策については、保健医療衛生対策協議会で継続的に検討した。
- 輸送事業
- 来場者の円滑な輸送のため、鉄道輸送、バス輸送、駐車場運営方法、道路交通対策等の調査・研究を進め、シャトルバス運営、警備・誘導等観客輸送全般に関する基本計画を作成した。また、会場内、会場間のゴンドラ建設・運営事業者を決定し、測量・設計業務に着手するとともに、トラム事業運営方法(営業参加)を決定し、事業者選定業務に着手した。
7 環境関係
- 環境創造対策
- 森林資源を活用し、自然環境に配慮した自己完結型トイレの実証実験を行い、利用者アンケート調査、維持管理調査、コスト調査等により、課題や改善点を抽出し、導入可能性を検討した。
- 環境マネジメント
- 基本計画に示す環境配慮の考え方の具体化に向け、自主的・効果的な環境負荷低減への取組みとして、国際標準(ISO)に示された考え方を参考に、博覧会協会の環境マネジメントシステムを構築した。また、マネジメントシステムの一環として、会場整備工事中の協会事業の環境配慮に関する行動計画、および、関係者の環境配慮に関するガイドラインを作成し、周知した。
- 環境体感プログラム
- 人と自然との新たな関係を提示する環境体感プログラムを実施するため、環境教育プログラムメニュー、会場施設計画、基本的な運営計画を策定し、環境体感プログラムの運営上不可欠なチーフインタープリター(ツアーガイド)の発掘・育成計画を策定した。また、博覧会閉幕後のプログラムの普及・継承体制についても検討した。