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ニュースレター No.15

No.15 2005/05/16

Contents

News

地球市民村「5月の出展」

台湾先住民の踊り(大地の広場)

 地球市民村には、NPO/NGO出展用に竹でつくられた5つのパビリオンが用意されている。国内と海外の団体が提携して一つのユニットを組み、万博期間中、毎月5ユニット、全30ユニットが参加し、このパビリオンを中心に、来場者が楽しく学べる展示や体験型ワークショップを展開する。

 5月1日、出展するNPO/NGOの入れ替えが行われた。5月の出展は、「こころの再生・いのり館」(ホスト団体 世界宗教者平和会議日本委員会)、「光と水のエネルギー広場」(ホスト団体 自然エネルギー推進市民フォーラム)、「ドングリの森 バオバブの森」(ホスト団体 ドングリの会)、「子どもと話そう館」(ホスト団体 子どもの虐待防止ネットワーク愛知)、「母を救え館」(ホスト団体 ジョイセフ)の5つ。

 1日朝、徹夜での作業を経て準備を整えた5つのパビリオンの展示がスタート。

 「こころの再生・いのり館」は、人類と自然とが共生する平和な世界を実現するため、かつて人間が持っていた命の尊さや自然の有難さ、地球の偉大さを感じ取る心を蘇らせようというパビリオン。この日は、パビリオン中央の「大地の広場」で世界の宗教者を集めてのオープニングセレモニーを実施。台湾先住民族の大地に捧げる踊りなども披露された。


ミニチュアのソーラーカーで遊ぶ子供達

 「光と水のエネルギー広場」では、国内外22の団体が、太陽熱や風力など様々な自然エネルギーの活用を紹介する。パネルや模型などの展示の他、パビリオン横の広場では、ミニチュアのソーラーカーの操作やポップコーンをつくるソーラークッキングなど、自然エネルギーを活用した暮らしを実際に体験できるコーナーも用意されている。

 「ドングリの森 バオバブの森」は、植林活動を行っている国内3団体とアフリカのマダガスカルの団体が協同出展するパビリオン。期間中、マダガスカルから4人のスタッフも参加。4人は、この日も現地の木工品を実際に制作してみせたり、日本語で現地の事情を紹介するなど、熱心な活動を展開していた。


「ドングリの森 バオバウの森」

 「子どもと話そう館」では、子どもの虐待防止のための活動を行っている国内団体が、英国で100年以上も同様の活動を続けている団体と協同して出展。そこでは、親子が紙芝居を見たり、怒り・悲しみといった様々な自分の表情を絵にしたりしていた。親子が自然に語り合ったり、素直な自分の気持ちを表現することを体験するプログラムとのこと。英国から参加しているスタッフから、海外での貴重な体験を直接聞くことができるのも魅力。

 最後に「母を救え館」では、途上国の女性の暮らしと村人の健康を守るために活躍する人々の活動をパネルや映像、そして実際の出産キットなどで紹介。展示を見た一人の若い女性は「最低限の医療キットがないために多くの女性の命が失われていくアフリカの現状を知って、強いインパクトを受けた。そして、『500円で、赤ちゃんとお母さん2人の命が救えます』というメッセージが心を打った。」と語っていた。

 地球市民村では、6月以降も、実際の対人地雷(火薬の入っていないもの)が出展される「みんなでなくそう・対人地雷館」など、世界の現実に直接触れることのできる展示など、様々な興味深い出展が予定されている。詳細は、地球市民村ホームページで。

パビリオン紹介:アフリカ共同館

アフリカ共同館 外観

 アフリカ共同館は、長久手会場西ゲート近くグローバル・コモン5に位置する。
 共同館全体の展示スペースは約3,500平方メートル。28カ国が、アフリカ大陸の南北の位置にあわせて、順番に展示スペースを設けている。隣接するエジプト館を出発し、アフリカ共同館の各スペースを巡り、最後に南アフリカ館を訪ねれば、アフリカ縦断の旅ができるというわけだ。

 この共同館のテーマは「アフリカ大叙事詩」。
 アフリカは、文明の発祥の地の一つでもあり、人類の起源を知る重要な場所でもある。アフリカ共同館の魅力は、何と言っても、このアフリカの雄大な自然、そしてその中で生きる人々の様々な文化や暮らしに一度に触れることができることだ。


住居や樹木の展示(アンゴラ)

 人類発祥の地としてのアフリカを知りたい人は、先ず、共同館中央に設置されたシンボルゾーンの世界最古の現代人とされるヘルト人の頭骨化石の展示へ。これはエチオピアで1997年に発見された約16万年前の原始的な新人の頭骨化石のレプリカで、専門家によれば「現代人がアフリカから広がったと考えるアフリカ起源説を裏付ける貴重な資料」とされている。さらに、エチオピアの出展ゾーンで展示されている“350万歳の女性、ルーシー”も必見だ。1974年に発見された「アウストラロピテクス・アファレンシス」の身体のほぼ完全に近い骨格(レプリカ)は、今回、この博覧会のために日本に運ばれてきた。隣国ケニアも、人類の進化を示す類人猿や人類の2,500万年前から始まる様々な標本などを展示している。

 動物王国とも言われるアフリカの多様な自然と動植物に触れたい人にとって、熱帯雨林からサバンナ、砂漠まで様々な気候を持つ各国の出展品を巡るのは楽しい。各国とも、標本や模型、映像などを活用し、工夫を凝らして、自国の自然や動植物を紹介している。希少野生生物の宝庫マダガスカル、熱帯雨林の国ガボンなど、様々な国が、ここでしか出会えない品々を多数出展している。

 アフリカの人々の暮らしを知りたい人は、モーリタリアが出展する砂漠で生きる遊牧民のテントの中に入り、動物の体を使った自然の冷蔵庫など様々な暮らしの知恵に出会い、また、スーダンの町の人々の暮らしを人間や動物の可愛いらしいミニチュアであらわしたコーナーで、想像してみるのも楽しい。

 手作りの工芸品に関心のある人にとって、この共同館は宝の山だ。マリやブルンジの木工品の巧みさに目を見張り、木の皮を使ったウガンダの衣服に驚かされる。各国が様々な自然素材を使った伝統的な工芸品を出展している。それらをバザールで購入することもできる。


Exhibit of the akull of an African elephant that died of natural causes (Senegal)

 セネガルは自然死したアフリカ象の牙と頭部を展示している。そして、日本など世界の国々とともに推し進めている植林事業を模型で紹介している。この2つの展示は、密猟者からアフリカの自然を守るというこの国の決意、そして、地球の砂漠化を世界の国々との協力のもとに防ごうという決意の表明でもある。

 来場者は、この豊かさと多様性を知れば知るほど、地球の未来における、アフリカの自然のかけがえのなさを思わずにはいられないだろう。

 この共同館ではどの国のコーナーでも、その国の担当者が展示内容について笑顔で丁寧に説明してくれる。その説明は展示品の魅力とそこに込められたメッセージをより深く感じさせ、また来場者への温かなもてなしの心を伝えてくれる。
 スパイスの効いた各国の個性的なシチューなど、様々なアフリカ料理を楽しめるレストランもあなたを迎えてくれる。

 ここは、地球大交流の場。さあ、あなたもアフリカの人々と自然を巡る楽しい旅に出かけてみよう。

Interview

ミゲール・ルイス カバーニャス氏(メキシコ) 愛・地球博 メキシコ政府代表

ミゲール・ルイス・カバーニャス氏(メキシコ)

 愛・地球博において重要だと思う点は、まず、人類共通の問題への対応に関する新しい技術や機知に富む提案を掲げているという点です。さらに、私たちの住む世界は一つで、生態系も全て一つに繋がっているということが強調されている点です。展示物には子供たちの興味を引くようなものが沢山あるので、会場を訪れる子供たちの多くは、自分たちが小さな一つの世界に生き、そして、自分たちには技術が必要で、その技術を人類全体の利益のために共有しなければならないのだと本能的に感じることができるでしょう。この点もこの万博の一つの特徴として、素晴らしいものと思います。

 万博は才能ある人たちが一堂に集まるパーティーのようなものですから、悲しい顔で環境問題を憂える必要はありません。むしろ、人間は創意工夫の能力により、直面する諸問題を克服できるという希望を、愛・地球博は与えてくれていると感じます。21世紀初めにこのような万博が開催されることは、大変意義のあることです。

 多民族、多文化国家であるメキシコは、建国200年足らずの比較的若い国ですが、ある意味では非常に歴史の古い地域でもあり、ルーツを探ると3千年くらい昔に遡ります。また、生態系の多様性においては世界で4番目に豊かな国です。そこで、メキシコ館では「多様に織り成す」というテーマのもとに、密林、海洋、森林、砂漠という4つの生態系が、我が国の様々な民族の文化の発展にいかに影響を与えてきたかということを紹介することにしました。例えば、現在のメキシコの地に住んでいた人々は、2千年ほど前から赤、緑、黄色といった自然界の色を模倣することにより、文化的な表現をしてきましたが、ルフィーノ・タマヨやディエゴ・リベラなどの近代のメキシコ人画家の作品でも、必ずこうした色のコントラストが使われていますし、民族衣装の色などもそうです。

 また、アーティストやダンサー、シンガーなど様々な方が出演し、舞踊や音楽をお見せすることでも多様性、多文化性をお伝えします。例えば、ナショナルデーには、民族舞踊団やマリアッチのグループなど伝統的なものだけでなく、若い世代を代表する女性シンガー、エウヘニア・レオンの公演など、現代を象徴する芸術も登場します。

 私は他の国のパビリオンも拝見しましたが、どこも当館とは全く異なり、各国独自の文化的アイデンティティーを打ち出していて、大変興味深く感じました。経済のグローバル化が進む今日においても、異文化間の交流や多様な文化の共存、お互いへの尊敬の念というのは、人類が21世紀を歩む上での基本的な価値観の一つなのだと思います。

Column

市民参加プログラム あなたの地球の愛しかたを見つけてください

「地球の授業」(対話ギャラリー)

 愛・地球博は、万博史上初めて市民が参加する博覧会だ。その活動の一つの拠点が、瀬戸会場の「市民パビリオン&海上(かいしょ)広場」。そのコンセプトは、「あなたの地球の愛しかたを見つけてください」。コンセプトの意味は、会場を巡ってくると自然に理解できる。

 市民パビリオン2階の対話ギャラリーを回っていると、黒山の人だかりとなっているスペースがある。そこは、「地球の授業」という対話の場。この日のテーマは「義足で自立支援 ルワンダ虐殺からの復興」。講師は、この活動を立ち上げたガテラ・ルダシングワ氏と妻の真美さん。そこでは、手足を失い、物乞いをして生きていた青年たちが、この支援を得て、サッカーチームを作ったり、義足の制作技術の習得のために日本にやってくるまでになった様子などが、写真なども交えて紹介された。ここにも一つの地球の愛しかたがあった。

対話ギャラリーでの展示

 ギャラリーの一角では、大学生たちが、愛・地球博の1年前から開始した「漂流日記~旅するノート~」というプロジェクトを熱心に紹介している。1つのノートに1つのテーマを決め、ノートを受け取った人が順番に1ページずつ文字や絵で自分の気持ちを書き記していく。最後のページを記した人が、ノートを大学生たちのもとに送り返すというプロジェクトだ。そこには、漂流し戻ってきたノート2,005冊が展示され、ノートは万博期間中も増え続けている。人を信頼し、つながっていく喜びと大切さを彼らは訴えている。

 このギャラリーでは、ご婦人が、全国の自治体の街づくりなどの紹介を通して、スローライフの活動の重要性を伝え、年配の男性が、盆栽をモチーフに里山の循環型社会の説明をするなど、様々な市民によって、多様なプロジェクトが展開されている。

 市民パビリオンでは、この他、1階の対話劇場で、「グローバルダイアローグ」をテーマに、環境問題をはじめ平和、福祉、教育、健康など、地球に生きる私たちが抱えるさまざまな問題に対して、市民やNPO/NGO、個人が、トークイベントやディスカッション、コンサートなどを展開している。

機械に夢中な子供たち(海上広場)

 市民パビリオンでは、この他、1階の対話劇場で、「グローバルダイアローグ」をテーマに、環境問題をはじめ平和、福祉、教育、健康など、地球に生きる私たちが抱えるさまざまな問題に対して、市民やNPO/NGO、個人が、トークイベントやディスカッション、コンサートなどを展開している。

 パビリオンの外に出ると、そこは海上(かいしょ)広場。緑に包まれた環境の中、「地球市民大交流祭」として、様々な行事が行われている。

 ここで目につくのは沢山の子供たち。万博参加国の染料を使った草木染めに挑戦し、エコ粘土を使って花やフルーツなどをつくって遊び、海上の森の竹で、竹とんぼをつくって飛ばしている子供たち、そしてステージの楽しいコンサートに合わせて手をたたく親子連れもいる。

 来場者の手によって、2,005メートルの布を織ろうというワークショップでは、子供たちが夢中になって機(はた)を織っている。「ただいま」といって毎日、ここに通ってくる子供もいるという。スタッフの一人は、「私たち、子供たちの隣の家のおばちゃんになったみたい。それが嬉しい」と語る。このワークショップは、400人以上のボランティアの力で支えられ、期間中毎日実施している。

 つくったり、遊んだり、奏でたり、踊ったり…、体と感性をつかって、子供たちは地球の愛しかたを学んでいく。

 心から皆と一緒に楽しむこと、美しいものに感動すること、自分の手でものをつくりあげる喜びを知ること、そして、それを子供たちに伝えること。愛・地球博会場では、今、「地球を愛する」というコンセプトのもとに多様な市民の活動が一つになり、展開している。
 ここに集まり、参加して、自分の地球の愛しかたを見つけてみたい。

 (市民参加プログラムの詳細は、「市民パビリオン&海上広場」ホームページ)