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ニュースレター No.13

No.13 2005/04/18

Contents



News

愛・地球メッセージイベント 愛・地球会議オープニングフォーラム開催

初日 鼎談

 3月27日・28日、万博史上初の同一テーマによるリレーシンポジウム「愛・地球会議」が、世界の有識者を集め、スタートした。この会議のテーマは、「持続可能な社会の創造」。

 「愛・地球会議」は、「愛・地球メッセージイベント」の一環として毎月開催され、成果は、今年9月に愛・地球博からのメッセージとして世界に発信される。このイベントでは、コンサートやワークショップなどを行う「愛・地球セッション」も毎月、開催される。イベントの総合監修は、木村尚三郎 2005年日本国際博覧会総合プロデューサー/東京大学名誉教授。

 今回の愛・地球会議は、オープニングフォーラム「地球とともに生きる」として開催された。

 会議の初日は、名古屋市内にて、「文化・環境・開発の相互の関係およびバランスの取れた発展の可能性について」をテーマに基調講演や鼎談が行われた。

二日目 シンポジウム

 翌日は、初日の内容を踏まえ、愛・地球博 長久手会場内のEXPOドームでシンポジウムが開催された。テーマ は、「持続可能な社会を創造するための課題について」。このシンポジウムには、前日から参加の米国アースポリシー研究所所長のレスター・ブラウン氏、OECD事務総長のドナルド・J・ジョンストン氏に加え、ケニアの環境副大臣であり、昨年のノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏、元ノルウェー首相のグロ・ハーレム・ブルントラント氏(前WHO事務局長)、日本からは、社団法人日本経済団体連合会の環境安全委員会共同委員長を務める山本一元氏がパネラーとして参加した。

 シンポジウムの冒頭、愛・地球博の開催にあたって、ローマ法王故ヨハネ・パウロ2世から届いた祝福のメッセージが読み上げられた。このメッセージの中で、法王は、「この素晴らしい愛知万博に参加している皆様に対し、平和と調和がもたらされるよう、神のご加護を祈ります」と伝えられた。

ワンガリ・マータイ氏

 シンポジウムが始まり、熱心な意見交換が行われる中、マータイ氏は、日本語の「もったいない」という言葉が、限られた資源を無駄にせず、大切にする心、また、ありあまるものを与えてくれる自然に対する感謝の心を現す美しい言葉だとして、この言葉を環境保護活動の大切なコンセプトにしたいと語り、会場の人々の共感を得た。
また、シンポジウムでは、日本政府館での100%新エネルギーによる電力の供給など、愛・地球博会場の中で実際に使用されている様々な環境保護技術についても、興味深く語られていた。

 議論の合間には、生物多様性に関する海洋探検家のビジュアルなレポート等、テーマに沿ったいくつかのレポートがスクリーンに映し出され、それを元に議論は深められていった。また、元ソビエト連邦大統領であり、現在、エコロジー問題に取り組む国際的なNGOグリーンクロスインターナショナルの会長であるミハイル・ゴルバチョフ氏が、スクリーン上から、愛・地球博に集まる世界の若者に対し、環境保護を呼びかけるなど、世界の著名な有識者からのメッセージも来場者に深いインパクトを与えた。

パビリオン紹介 : 北欧共同館 北のオアシス

北欧共同館外観

 長久手会場を巡るグローバル・ループの南端をおりると、北欧、東欧など個性豊かなヨーロッパの21カ国が集まる グローバル・コモン4 PDFに出る。北欧共同館「北のオアシス」はこの一角に位置する。ここは、自然環境、歴史、言語などに様々な共通性を持ち、親密な協力関係にあるアイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの北欧5カ国が、共同出展するパビリオン。

 館内に入ると、木の香りが漂い、館内を一周する回廊に入る。名づけて北欧ループ。フィンランドの杉の一種でつくられた回廊だ。

 入口近くの壁面の5つのスクリーンに流れる映像は、来場者に、5カ国それぞれの地勢や産業といった概要や特徴について、わかりすく紹介してくれる。

 ループを進むと、突然、視界が開け、高さ9メートルの真っ白い紙の壁を張り巡らした広いゾーンに入る。壁は、照明の光を反射し、神秘的な北欧世界を現出している。

船のメッセージを送る来館者

 壁の下には、池が見え、来場者たちが、小さな舟を流している。池の周辺に設置されたコンピュータに北欧の人々へのメッセージを打ち込み、プリントアウトされた紙を折った舟だ。池の向こうのスクリーンには、舟を受け取る北欧の人の姿が映される。コンピュータに打ち込まれたメッセージデータは、万博後、北欧の国々に届けられる。IT先進国の集まる北欧らしいインタラクティブな楽しいゾーンだ。

 さらに進むと、目の前に北欧の森が現れる。フィンランドから取り寄せられた木、土、苔によって、再現された森だ。木々の香りが心を癒す。

 ループの向こうに、流れ落ちる滝の映像が見える。そこでは、水力発電、風力発電、地熱エネルギーの最先端技術などを紹介し、世界に先駆け、環境融合型のエネルギー政策を進めてきた北欧の国々の、自然とともに生きる知恵を発信している。

北欧の森とレストラン

 次は、ミニドキュメンタリー映像や写真、衣装や道具などの展示によって北欧の人々の日常生活を紹介するゾーン。ここでは、クロスカントリーを楽しむ青年や家庭での誕生パーティーを喜ぶ少女など、北欧の人々の普段の生活に触れることができる。人と自然を愛し、ゆったりと暮らしを楽しむ北欧の人々の生活様式は、自然と共生して生きる人類の一つの姿を示しているように思える。

 「北欧デザイン20の物語」のゾーンでは、ランプなどのガラス製品から車のデザインまで、暮らしに密着したシンプルで洗練された様々な北欧デザインの世界が紹介される。これらの製品の一部はショップで購入することもできる。

 館内を一周したら、森の中の木の香りとせせらぎの音のなかで、多彩な魚などの北欧の味を楽しもう。

 北欧共同館は、北欧の魅力とそこから発信される地球の未来に向けてのメッセージを五感で味わうパビリオンだ。

Interview

フィリップ・ギブソン氏(ニュージーランド) 愛・地球博 ニュージーランド政府代表

 愛・地球博に関して特に重要だと思う点は、今日の人類の最大の課題として、自然や環境と調和しながら生きることを提起していることです。こうした万博への取り組みは、主催国である日本の素晴らしい叡智と先見性を示していると思いますし、未来の万博の舞台を整えるものになるでしょう。参加各国もまた、みなそれぞれの国益を超えたところを目指していることは、本当に素晴らしいと思います。

 愛・地球博には120以上の国及び国際機関が参加します。来訪者は次々にパビリオンを見ていくわけですから、見たあとで頭の中にいろいろな印象がモザイクのように残るのではないでしょうか。そこで、ニュージーランド館では、いろいろなことをやり過ぎず、一つか二つの点だけを印象深く覚えていていただけるような内容とし、我が国の自然の本質、そして、ニュージーランド人がどのように自然と共生しているか、さらに、いかに自然環境と協調しながらもハイテク社会に発展していっているかを示したいと考えています。パビリオンを出る時に、ニュージーランドは自然が美しいだけでなく、知恵と革新性を持った国だと感じていただきたいのです。

 当館には中心となるシンボルがいくつかあります。空に広がる雲、広大な降雨林によってもたらされる水、そして、パビリオンの最大の呼び物として展示される「ポウナム」という翡翠の巨石です。マオリ語で「緑の石」を意味する「ポウナム」は約14ヶ月前に発見されたばかりで、重さ1.8トンもある非常に珍しい翡翠の塊です。発見者であるマオリの人々の厚意によって、今回は特別に愛・地球博で展示させてもらえることになりました。「ポウナム」は、母なる大地、そして、ニュージーランドの心を表しているのです。

 館内の壁に設置している大スクリーンでは、ニュージーランドの自然の中を飛ぶ鳥の目を通して見た実際の光景とCGを組み合わせて作った映像を流すことにしています。携帯電話で当館のポータルサイト(http://nzmobile.jp)にアクセスして、「自然の叡智」というテーマを含む、我が国のあらゆる情報を見ることもできますし、館内にあるQRコードも利用できます。

 ニュージーランドからは、最高レベルのVIPも来日を予定していますし、国として、愛・地球博というイベントを極めて真摯に受け止めています。

Column

こいの池-ナイトイベント

スノーモンキー

 愛・地球博には、来場者を楽しませてくれる様々なイベントが用意されている。「こいの池-ナイトイベント」もその一つ。長久手会場のセンターゾーンにある「こいの池」で毎夜午後8時から8時30分の30分間開催されるイベントだ。

 この博覧会史上最大級の屋外型ナイトイベントの演出を手がけるのは、アメリカの現代舞台演出家であり、世界の実験演劇の巨匠と呼ばれるロバート・ウィルソン氏だ。

 夜、池の片岸に用意された観覧席に人々が集まってくる。日本を象徴する「溜池」と「樹林」を舞台に、ショーの始まりだ。

 暗い樹林を背景に、こいの池から噴き上げる水のスクリーン。このスクリーンに、かわいらしいアニメモンキーが登場。物語の指揮者役として演出を盛り上げる。スクリーンの光は、水面に反射し、池全体が様々な色彩に彩られる。

水のスクリーンに映るアニメモンキー

 池の中から何かがゆっくりと浮かび上がり、巨大な姿をしだいに現わす。スノーモンキー(日本猿)だ。スノーモンキーは森からの使者。自然と共生し、私たち人間に自然の叡智を伝えるシンボルキャラクターであり、物語の主人公だ。

 水のスクリーン上では、「地球・生命・文明・未来」という4つのパートで構成された物語が展開していく。地球や惑星をはじめとした宇宙、そして、人類の築き上げた文明などの美しく夢のようなシーンが繰り広げられ、観客は、過去から現在、そして未来へと「時空を超えた旅」を体験することになる。大人から子供までが楽しめる幻想的なショーだ。

 演出家のロバート・ウィルソン氏は、このショーについて次のように語っている。

 「今回の仕事はチャレンジィングであり、エキサイティングな仕事でした。水面をスクリーンにみたてて映像を映写するというのも今回初めての体験でした。寒くて水が凍ってしまったり、強い風が吹いて困ったり、いろいろなことがありました。そんな中で、一番苦労したことは、自然の環境を壊さずに演出することだったと思います。このイベントは、『自然の叡智』について考え、表現するものです。そして、同時に子供から大人までが楽しめる詩情豊かなショーでもあります。是非、皆さんにこのショーを楽しんで頂きたいと思います。」

 一日、パビリオンを回った後には、ゆっくりとこの幻想的なイベントを味わって欲しい。