サイト内検索

ロバート・ウィルソン プロフィール

ニューヨーク・タイムスはロバート・ウィルソンを「実験演劇界にそびえ立つ塔のような存在」と評する。ウィルソンの作品には広くさまざまな芸術表現手段が統合されている。そのなかでは動作、ダンス、絵画、照明、調度品のデザイン、彫刻、音楽、脚本が全て組み合わされ一つになっている。

ウィルソンのヴィジュアル・イメージは美的に強烈であるとともに情感のぎっしり込められたものである。そしてその作品は世界中の観客と評論家から大変高い評価を博している。贈られた賞や栄誉のなかにはサンセバスチャン・フィルム・ビデオ・フェスティヴァルの第一位('84)、ピューリッツァー賞候補('86)、71年と80年の2回にわたるグッゲンハイム・フェローシップ、ロックフェラー財団フェローシップ賞('75)、ドイツ演劇評論家賞のベスト・プロダクション・オブ・ザ・イヤー('90)、ヴェネツィア・ビエンナーレでの彫刻部門金獅子賞、ドロシー&リリアン・ギッシュ生涯業績賞('96)、タオルミナ・アルテからのヨーロッパ賞('97)、アメリカ芸術文化アカデミーからのメンバーシップ('00)、2002年にホワイト・ハウスで授与された生涯業績へのナショナル・デザイン・アワード('01)、トーマス・ジェファーソン建築賞(’02)などがある。ロバート・ウィルソンは芸術文化のリーダーである。

1941年米国テキサス州、ワコー生まれ。テキサス大学、ブルックリン・プラット・インスティトュートで建築と装飾を学ぶ。1960年代後半にはマンハッタンの前衛演劇界で主導的存在であった。ビルド・ホフマン・スクール・オブ・ビルズと《聾者の視線》('70)、《ヨセフ・スターリンの人生と時間》('73)のような作品を発展させ、これらは広くから高く評価された。作曲家フィリップ・グラスとの作品、《浜辺のアインシュタイン》('76)は世界的な評価を獲得し、オペラの芸術形態の既成概念を変革させる。

世界中でウィルソンはオリジナル作品と伝統的なレパートリーの作品を演出舞台化している。これらのなかにはマルチ・ナショナルの叙事詩的長編作品《シヴィル・ウオーズ》があり、この作品は1983年から1985年のあいだに3つの大陸で上演されている。またミラノ・スカラ座での《サロメ》('87)、ハンブルグ('91)、ヒューストンでの《パルシファル》('92)、パリ・オペラ座での《魔笛》('91)、《蝶々夫人》('93)、ザルツブルグ・フェスティヴァルでの《期待》、《青ひげ公の城》('95)、ニューヨーク・メトロポリタン・オペラでの《ローエングリーン》('90)などがある。最近チューリッヒ・オペラ('02)にて《ニーベルングの指輪》の全作の演出を完結し、それは2005年にパリでも予定されている。

ウィルソンのアート作品は国際的に美術館、ギャラリーで展示されている。パリのジョルジュ・ポンピドゥー・センター、ボストン美術館で大規模な回顧展が開催されている。

アムステルダムのステデリック美術館、ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館、ロンドンのクリンク・ストリート・ヴォーツ、マサチューセッツ現代美術館、ニューヨークとビルバオのグッゲンハイム美術館でインスタレーションを行っている。

ウィルソンの最近の作品にはルー・リードとのコラボレーションによるエドガー・アラン・ポーの作品に基づいたミュージカル・シアター《ポエトリー》、トム・ウェイツとのコラボレーションによるビュヒナーの《ヴォイツェック》、ブリュッセルでのヴェルディの《アイーダ》、稀に上演されるヤナーチェックの作品《運命》のプラハ国立劇場での演出、ベルリン・ドイツ劇場での《カリガリ博士》などがある。

毎年夏ロングアイランド東部のウォーターミル・センターで新しい作品を発展させている。このシアター工房は学生と経験あるプロフェッショニストが一緒に創造的コラボレーションをするためのマルチ・ディシナリーな環境にある。