EXPO 2005 AICHI JAPAN
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テーマの理解度・浸透度

世界の人々や子供達に思いやる想像力を育むきっかけとなってほしい。

椙山 美恵子
椙山女学園大学附属幼稚園 園長
「国連世界食糧計画協会なごや」代表

 

 7月24日から3週間、愛・地球博の国連館で「国連WFP週間」が開催され、国連WFPローマ本部から事務局次長のシーラ・シスルさんが来日されました。世界食糧計画(WFP)を応援するボランティア団体として「国連WFP協会なごや」を2004年に立ち上げた関係で、私もテープカットに参加し、スピーチもさせていただきました。その国連WFPが、今、最も力を入れているのが学校給食プログラム。飢餓を救うのになぜ学校給食なのか、と言えば、貧困のあまり子供が学校に行けない国や地域では給食を与えることによって子供達を学校へ来させることができるのです。そして食べることによって子供は勉強する機会を得ることもできます。飢餓という生存に関わる深刻な問題を解決するのに、まず学校給食という形で一食分の食糧と教育の機会を保証し、教育を通じて子供達に未来を与えるというわけです。教育と結びつけた食糧援助という活動を展開することによって子供達の未来を保証し、子供達が自立できる力をつけていけるようにできる素晴らしいプロジェクトであることを、愛・地球博で多くの方々に訴えることができました。

 博覧会については、瀬戸会場の海上の森が非常に大切に守られていることを目の当たりにして、大変な努力されたことがわかりました。長久手会場ではグローバルループが目につきました。これは非常にいい考え方です。ループを中心に世界の国や地域が平等に扱われているという点と、それが一つのループで結ばれているという発想がいいなと思いました。愛・地球博という概念がこういった形で生かされているのかと思いました。グローバルループの他、芝生の広場、自然を生かしてサツキとメイの家を配置するとか自然体験ができる場など、いいアイデアが多く見られました。実際に行ってみて「ああ、いいな」と思う部分がたくさんあったと思いました。

 企業パビリオンについては、大企業中心であったのは残念でしたが、環境に関する科学技術の進歩という観点もあり、面白い展示が数多くありました。いろいろな環境上の工夫を随所に施したパビリオン、地球温暖化によるヒートアップを避ける取り組みが興味を引きました。しかし博覧会に足を運んだ人たちが環境問題をより深く考える学習の機会になったかという観点から言うと、楽しみの側面が前面に出ていて、深く環境を考えるということは少し隠れていた気がします。この課題は、むしろ閉幕後の問題かも知れません。ですから博覧会がイベントとして終わってしまっては残念ですね。せっかくこれだけのエネルギーと叡智を注ぎ込んだのだから、ぜひ日本のためにも世界中の危機に直面した国々のためにもその成果を活かしていただきたいと思います。

 結論的に言えば、解決策をすべて見せる博覧会ではなく、解決策を求めて歩み出すための愛・地球博だったと思います。ゴールではなく、新たな出発点になるべき博覧会であったということでしょうね。だからこそ「楽しかったね」で終わらせるのではなく、多くの人々が環境や世界について何かを学び、今後に向けて行動する博覧会であってほしいと願っています。

2005.8.24 談

 

<プロフィール>
愛知県出身。南山大学文学部英語学英文科卒業後、椙山女学園高等学校教諭に。ボストン大学およびボストン大学院で研修後、同高校に戻り、中・高の教頭を経て2000年に附属幼稚園園長、2003年に学校法人椙山女学園理事に就任。

 

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