まえがき
本協会は平成9年10月23日に発足して以来、2005年日本国際博覧会の開催に向け、BIE登録申請準備、会場基本計画、環境影響評価等を始めとした開催準備を鋭意進めてきた。
本国際博覧会については、その開催申請にあたっての閣議了解において、「環境影響評価を適切に行うこと」とされており、環境影響評価法の趣旨を先取りした手続きの実施並びに本年5月のBIE登録承認を目指し、その前提となる会場基本計画の策定作業を進めてきた。
環境影響評価については、一昨年7月、11月及び昨年1月に公表した会場基本計画案を基に環境影響評価を行い、同年2月に環境影響評価準備書を作成し、公告・縦覧を行った。同年6月には愛知県知事から環境負荷のより一層の低減を図る旨の意見を得た。
同年5月に会場予定地内でオオタカの営巣が確認され、それを一つの契機として、7月に通商産業省から愛知青少年公園等の利活用について検討するよう指示があった。本協会はそれを受け、9月に瀬戸市海上地区に加え、愛知青少年公園及び科学技術交流センター建設予定地を会場候補地とする会場基本計画案を作成し、公表した。
6月の愛知県知事の意見及び9月の会場基本計画案を踏まえ調査、予測、評価等を行った結果を環境影響評価書として取りまとめ、10月に通商産業大臣に送付した。本年1月には、通商産業大臣から愛知青少年公園等を活用する方向で、次のステップに進むよう指示があった。
昨年11月にはBIE議長及び事務局長が来日され、当協会とBIEの登録申請に係る実務協議を行った。その来日の際に実施された通商産業省とBIEとの会談の内容が本年1月に新聞報道されたことに端を発して、跡地利用の問題を中心に瀬戸市海上地区の博覧会会場の見直しの議論が活発に行われた。
こうした中、2月の通商産業大臣と愛知県知事の会談により、新住宅市街地開発事業の見直しを含め、幅広い検討が行われることになり、当初目標としていた5月のBIE総会での登録承認を12月のBIE総会に延期することとなった。
4月4日には通商産業大臣、愛知県知事及び博覧会協会会長の3者で会談が行われ、新住宅市街地開発事業の取りやめ等を内容とする「海上の森の博覧会事業及び地域整備の基本的方向」が公表された。
本協会においては、こうした流れの中で、現在、会場基本計画等を修正作業中である。
I 理事会、評議員会等
平成11年度は、理事会、評議員会を各3回開催し、幹部会を2回開催した。
1 第6回理事会・評議員会(平成11年6月15日開催)
次の議案を議決した。
(議案)
- 平成10年度事業報告及び決算報告について
- 理事、監事、副会長及び常任理事の選任について
- 評議員、顧問の委嘱について
- 平成11年度日本自転車振興会補助事業の実施について
2 第7回理事会・評議員会(平成11年11月22日開催)
次の議案を議決した。
(議案)
- 理事の選任について
- 評議員及び顧問の委嘱について
3 第8回理事会・評議員会(平成12年3月21日開催)
次の議案を議決した。
(議案)
- 平成12年度事業計画及び収支予算について
- 理事、副会長、常任理事の選任について
- 評議員、顧問の委嘱について
- 資金(長期借入金)の借入について
- 寄附行為の一部変更について
- シンボルマークの制定について
4 第2回幹部会(平成11年12月14日開催)
次の議題で審議及び意見交換を行った。
(議案)
- 現在の取組状況について
- 資金計画等について
- シンボルマークの制定について
5 第3回幹部会(平成12年2月22日開催)
次の議題で審議及び意見交換を行った。
(議案)
- 最近の動きと今後の見通しについて
- テーマ・サブテーマについて
6 その他
自由民主党2005年日本国際博覧会推進議員連盟及び21世紀万国博覧会推進議員(超党派)連盟の総会及び役員会に協会幹部が出席し、博覧会事業の取組状況等を説明するとともに政界の支援と協力を依頼した。
また、必要の都度、地元の協会副会長を対象に博覧会の検討状況の説明や意見交換を実施した。
2 事務局組織及び職員数
平成11年度末の協会事務局組織及び職員数は、事務総長以下2室8グループ117名となった。
(各年度別職員数)
年度 |
平成9年度末 |
平成10年度末 |
平成11年度末 |
職員数 |
39名 |
86名 |
117名 |
平成11年度の組織体制は次のとおり
である。
3 博覧会の計画に関する事業
1 会場基本計画の策定
- 全体計画基本設計調査
- 会場施設基本設計調査
- 管理施設等の基礎調査
- 森林体感地区の会場計画基本設計調査
- 会場地形図等作成業務
- エントランスエリアにおける造成設計及び各施設の基本設計
- 体験型学習施設基本設計調査
- 里山管理手法調査
- 土木・建築環境負荷低減型構造及び施工法基礎調査
- 埋蔵文化財の発掘調査 等
2 観客輸送基本計画調査
- 観客輸送基本計画調査
- 観客輸送関連道路基礎調査
- 交通情報システム構築基礎調査
- ヘリポート施設基本計画策定調査
- 会場内地区間の観客輸送に導入する交通手段の基礎調査
- 会場外シャトルバス観客輸送基本計画策定調査
- 観客平準化方策に関する調査 等
3 供給処理施設基本計画業務
- 供給処理施設基本設計調査
- 廃棄物処理計画策定調査
- 森林体感地区供給処理計画策定調査
- バイオマス利活用検討調査 等
4 環境影響評価の実施
通商産業省の通達に基づき「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」、「人と自然との豊かな触れ合い」及び「環境への負荷」の観点から調査を行うとともに予測及び評価を行った。
また、昨年2月に作成した環境影響評価準備書に対して、寄せられた意見や準備書作成時点からの諸情勢の推移を考慮した結果を環境影響評価書として取りまとめ、10月に通商産業大臣に送付し、本年1月に同大臣の意見を得た。
5 環境影響評価専門家検討委員会の運営
平成11年度は、環境影響評価の調査方法や評価書作成に際して専門家からの意見を聴取するため、環境影響評価アドバイザー会議を3回開催した。
6 博覧会計画に関する調査検討
平成11年度は、環境影響評価の調査方法や評価書作成に際して専門家からの意見を聴取するため、環境影響評価アドバイザー会議を3回開催した。
- 循環型社会インフラ構築調査検討
循環型社会のインフラを構築するための一環として、エネルギーシステム及びゼロエミッションの計画、環境マネジメントシステムの適用等について調査検討を行った。
エネルギーシステムでは、新エネルギー及び省エネルギー技術等を踏まえた将来の最適エネルギーシステムの検討、ゼロエミッション計画では、循環型社会の構築を目指したシステムの検討、環境マネジメントシステムの適用等については、環境マネジメントシステムに準じたシステム構築のための検討を行った。
- 展示、催事、運営等に関する検討調査
- 博覧会の広域展開に関する基礎調査
- 企業の出展参加に関する基礎調査
- 警備、防災等の管理施設、入場施設、営業施設、催事施設、ボランティア施設等に関する基礎調査
- 情報通信システム基本構想調査
- 領域型展示空間におけるビジュアルシステム検討調査
- 陶芸に係る地域連携方策検討調査
- 産業技術等を活用した企業等連携方策検討調査
- 体験型教育における地域資源の活用手法調査
- 博覧会における新たな消費スタイルのあり方検討調査
- 高齢者等のための来場支援システム開発調査
- 運営方針に関する基礎調査
- 市民参加の可能性に関する調査
- 海外博覧会及びエンターティンメント事業に関する予備調査
- 国際交流事業現況調査 等
7 会場基本計画策定のための具体的な検討
- 運営会議等の開催
- 会場計画プロジェクトチームの運営
平成11年度は、会場計画プロジェクトチームの会議を7回開催し、これまでの検討経緯と諸情勢の推移を考慮しつつ、昨年度に引き続き会場計画について検討を行った。
その結果、会場計画については、昨年9月に愛知青少年公園等の利活用を反映した検討案を公表した。
- 環境プロジェクトチームの運営
平成11年度も昨年度同様、フィールド活用部会、エネルギーシステム部会、ゼロエミッション部会の3部会に検討項目を分けて検討した。
検討状況としては、フィールド活用部会を7回、エネルギーシステム部会を5回、ゼロエミッション部会を5回開催し、昨年7月には、エネルギーシステム部会及びゼロエミッション部会の検討状況を公表するとともに本年3月にはEXPOルールの公表を行った。
また、3部会の検討状況の取りまとめとして、環境プロジェクトチームの会議を7回開催し、本年4月に同チームの検討状況をパンフレットにして公表した。
- 観客輸送プロジェクトチームの運営
観客輸送計画を立案するため、平成11年度は8回の会議を開催し、会場計画の検討状況を踏まえつつ、来場者が会場内外の移動を円滑に行える輸送計画について検討を行った。
また、昨年9月に検討状況を公表した。
- 博覧会計画の企画立案
- シニアアドバイザー会議の運営
平成11年度は、シニアアドバイザー会議を1回開催し、会場計画の検討状況について助言を得た。
- 企画調整会議の運営
平成11年度は、企画調整会議を4回開催し、各プロジェクトチームによって策定された企画原案と博覧会のテーマとの整合を図った。
また、昨年9月に博覧会会場において具体的にどのようなことが展開されるのか、イメージを示すために「博覧会のアイデア」を公表した。
- コンセプトプロジェクトチームの運営
平成11年度は、コンセプトプロジェクトチームの会議を1回開催し、テーマ及びサブテーマの具体化を図った。
また、博覧会の基本テーマである「自然の叡智」を深めるためにテーマ普及誌を作成した。
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