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テーマの理解度・浸透度

235の市民プロジェクトの参加が、愛・地球博をいっそう元気にした。

藤井 絢子
菜の花プロジェクトネットワーク会長

 

 「菜の花プロジェクトネットワーク」は、海上の森の自然を大きく破壊するのではなく、最大限守り、自然の叡智に学び21世紀のありようを示そうという博覧会の理念が、自分達の活動と重なっており、愛・地球博に参加しました。

 まず私達は、開会式の式場全体を菜の花で飾るという重要な責務を果たしました。私達がめざす循環型社会の方向性や、各地の一次産業が元気になることで地域全体が元気に明るくなるという「菜の花プロジェクト」のコンセプトを開会式で見ていただくために、何ヶ月も周到に準備しました。茨城県から鹿児島県までのメンバー達が苗をしっかりと育てて3月24日の開会式に集結させたのです。ネットワークとしての一体感と大きな達成感を得られたのは光栄でした。日本の春の先駆けとして多数の菜の花を用意することで、開会式に参加できたのは大変うれしかったですね。
 市民や市民プロジェクトの参加について言えば、もし市民の参加がないと、博覧会が企業だけのメッセで終わってしまったと思います。地域社会も企業も、生活者も行政も、あるいは専門家も、力を合わせないと地域づくり・社会づくりができない時代です。ですから、瀬戸会場に市民プロジェクトの場を作ったこと自体が、愛・地球博の大きな成果だったと思います。

 瀬戸会場の展示では、「こんな活動が地域にあるのか」と多くの方が足を止め、私達の話を聞いて下さいましたね。対話ギャラリーで「地球の授業」を1週間やりましたが、海外の方々も「菜の花プロジェクト」の取り組みを紹介したイラストを見て、「自分たちの国でもできる」と言ってくれたので驚きました。私達とすれば、むしろ環境問題に関心のない人に対してこのプロジェクトがどのくらいインパクトを持つのかということに関心がありましたので、初めて知る人にとっても暮らしとダイレクトに結びつく力があったと評価しています。
 また、私は「愛・地球賞」の審査員を努めた関係で世界各国の技術の応募を見ましたが、ハイテクだけではなく、ローテクだけれどもその地域に光をもたらす技術であったり、エネルギーを作る技術であったり、まさに自然の叡智を生かして、お金をかけなくても、さまざまなモノが獲得できるのだと感じました。

 常に環境関係の現場にいるので、市民プロジェクトゾーンが私にとってものすごいインパクトがあったわけではありませんが、何となく楽しみで来た人が、家に帰った時に自分の暮らしを見つめ直して「環境のためにこんなことをやってみようかな」と思わせる力があったと思います。ですからもっとうまくアピールすれば、もっと強く、その思いを伝えることができたと思います。また、自然の叡智を学ぶ場という意味では、海上の森のような場所は日本中いたる所にあるのですが、インタープリターが案内してくれれば、平凡な里山が宝の山になることがわかりました。里山への目の向け方、人と生き物との関わり方などのノウハウを今後の活動に生かせたらいいなと思っています。トータルでいえば、自然の叡智にこだわったことで、今までの博覧会とは違うアピール度を持った万博であったと思います。

2005.8.30 談

 

<プロフィール>
神奈川県生まれ。1971年より滋賀県在住。食の安全性を求めて地域生協づくりに関わり、1990年に滋賀県環境生活協同組合理事長に就任。菜の花プロジェクトネットワーク会長として活動している。中央環境審議会委員、バイオマス・ニッポン総合戦略策定委員、他多数。

 

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