EXPO 2005 AICHI JAPAN
愛・地球博公式WEBサイト(閉幕時点) リンク集 サイトマップ
EXPOデータ集 後援・協賛 プレスリリース 表彰事項一覧
EXPOデータ集
EXPOデータ一覧
HOME > EXPOデータ集 >「愛・地球博」の成果・評価について > テーマの理解度・浸透度 > 有識者インタビュー > 上遠 恵子
テーマの理解度・浸透度

共生の思想にふさわしい場で成功した、環境教育の試み。

上遠 恵子
レイチェル・カーソン日本協会理事長
エッセイスト、翻訳家

 

 愛・地球博のイベントには4回参加しました。3月28日には瀬戸会場の市民パビリオンの対話劇場に出演し地球環境や環境教育について語りました。これは「地球を愛する100人」というビデオ作品の中の一人が、じっくりと話すプログラムです。4月2日には長久手会場の地球市民村でのトークイベントに参加。6月21日には、再び市民パビリオンの対話劇場で、自然とつき合う時も人とつき合う時も、心を受信モードにする必要があると語りました。また、7月19日には「ECOMOVE センス・オブ・ワンダー世界環境映像フェスティバル」(主催:アース・ビジョン組織委員会 共催:レイチェル・カーソン日本協会)があり、私は前座をつとめ解説をしました。長久手会場のロータリー館でレイチェル・カーソンの生涯「A Sense of Wonder 〜レイチェル・カーソンの世界へ〜」と題して、アメリカの女優でカーソンの思想を語り継いでいるカイウラニ・リーさんがひとり芝居を演じるというイベントでした。さらに7月20日には、「エコメディアと環境教育」(「ECOMOVEセンス・オブ・ワンダーフォーラム」)という国際フォーラムにパネリストとして出席しました。

 レイチェル・カーソン日本協会は、愛・地球博に会としては参加はできませんでしたが、私個人として、今まで継続してきた活動のコンセプトが愛・地球博の大きなテーマと重なり合うので参加したわけです。ただ、違うのは通常お目にかかるのは、環境に対する問題意識の高い方ばかり。でも今回は、瀬戸会場を歩いていたらたまたまイベントが開催されていたので足を止めて初めてレイチェル・カーソンを知った、という方が多かったようです。そこで「『センス・オブ・ワンダー』を読んでみようと思いました」「環境と共生する考え方で教育に当たりたいと思います」との反応があり、うれしく思いました。地球市民村にはミニガーデンがあり、インストラクタートともに自然と触れ合える場があり、子供達も喜んでいましたね。

 以前は、この進んだ情報化社会の中でなぜ今さら万博を開くのだろうか、という思いがありましたが、私自身ゲストとしてトークイベントに加わったり、「森の自然学校」に参加したり、1日かけて海上の森の中でたっぷり自然の中に浸って自然の声に耳を傾けたりした経験は貴重なものでした。同様に、博覧会に来た2000万人近くの方も、さまざまな「自然の叡智」を見たり、触れたり、体験したりしたことはこれからの日常生活にも生きると思います。ゲストとして行ったところは環境NGO等の人達が多く、面識のあるような方達が多かったので、私としては気持ちよく参加できました。そういう点では私個人としては大変満足できる活動ができました。ただ、NGOやNPOの団体は問題意識や組織的な力もさまざまで、いろいろ異なる考え方を持った人達が存在していますから、博覧会の中でまとまるには難しさがあったと思いますが他流試合の面白さもありました。

 結論的に言えば、多くの来場者の心が環境志向に変化することで、日々の暮らし方、意識が今後大きく変わっていく可能性を秘めた博覧会であったと思います。博覧会そのものが環境教育の大きな実験場として成功したということですね。

2005.8.27 談

 

<プロフィール>
東京都出身。東京大学農学部農芸化学科、学会勤務を経て、1988年レイチェル・カーソン日本協会設立に伴い、理事長就任。
訳書にP.ブルックス『レイチェル・カーソン』、L.リア『レイチェル』(カーソンの伝記)、レイチェル・カーソン『海辺』『潮風の下に』『センス・オブ・ワンダー』など。

 

ページの先頭に戻る