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ニュースレター No.12

No.12 2005/03/30

Contents


News

愛・地球博開会式

 3月24日、21世紀初頭を飾る国際博覧会、愛・地球博の開会式が、長久手会場EXPOドームで開催された。式には約2,400名が参加。天皇、皇后両陛下、愛・地球博名誉総裁である皇太子殿下、また、愛・地球博の名誉会長小泉純一郎総理も出席された。

 会場一杯に飾りつけられた菜の花の間から、愛・地球博のマスコット、モリゾー、キッコロと蝶や蜂など様々な昆虫に扮した子供たちとが、参加者を迎えた。そして、世界的指揮者佐渡裕氏が、15カ国の一流演奏家で構成されるEXPOスーパーワールドオーケストラを指揮し、3部構成の開会式全体を通じて、魅力溢れる演奏を繰り広げた。

 第1部は式典。神を呼び出すとされる古代銅鐸の音が会場に響き、中村利雄(財)2005年日本国際博覧会協会事務総長が開会を宣した。
 続いて、国際的ソプラノ歌手佐藤しのぶさんによる国歌斉唱、国旗掲揚、そして、世界平和を象徴するBIE(博覧会国際事務局)旗、2005年日本国際博覧会協会旗の掲揚。その後、愛・地球博のテーマソング“I'LL BE YOUR LOVE”が流れる中、世界121カ国、4国際機関の旗が入場し、紹介された。

 式典は、まず、豊田章一郎2005年日本国際博覧会協会会長の挨拶から始まり、神田真秋愛知県知事、小泉内閣総理大臣、呉建民BIE議長の挨拶祝辞が続き、最後に天皇陛下よりお言葉を賜った。その中で、陛下は、「愛・地球博が、世界各地から会場を訪れる人々に、人類と自然のかかわりについての理解を一層深めさせ、世界の人々が手を携えて地球の環境を良好に保つよう努力する契機となるならば誠に喜ばしいことであります。」と語られた。

 そして、ロボットが演奏するトランペットが鳴り響く中、「人類の新しい友人たち」として紹介された3種14体のロボットたちがステージ上で自在な動きを披露。愛・地球博で紹介される最先端技術の素晴らしさを予感させた。

 式典のクライマックスは、皇太子殿下によるスイッチオン。リサイクルガラスでつくられた地球の中に入ったオルゴールが美しい響きを奏ではじめるとともに、地球がまばゆい光を発し、会場には10万枚の木の葉が降り注いだ。

 そして、愛・地球博のメッセージを伝えるためにつくられた“Share the World~こころつないで~”の合唱。手話を交えた少年少女たちの美しい歌声とこの曲を作曲した日本を代表するジャズミュージシャンであり、また、政府出展事業総合監督でもある渡辺貞夫氏のサックスの響きが一つになって会場を包み、第1部は終了した。

 第2部は、「愛・地球シンフォニー」。地球上の人々の相互理解と共感を象徴する楽曲の演奏が行われた。1曲目は、EXPOスーパーワールドオーケストラによるホルストの組曲「惑星」から「木星」の演奏。続く2曲目のショパン/ノクターン 遺作は、イングリッド・フジ子・へミング氏によるピアノ独奏。3曲目のストラヴィンスキー/火の鳥では、オーケストラの演奏とともにバレエが演じられ、参加者の心を魅了した。

 第3部は、特別企画「ようこそ、愛・地球博」。
 地球平和と環境保護への祈りを込めた勇壮な民族芸能、御陣乗(ごじんじょう)太鼓の演奏からスタートし、創作狂言では、参加者全員に配られた叡智の袋の中の一粒のとうもろこしの種をテーマに環境保護の重要性を訴えた。

 突然、空中に未来の子供が現れ、地球の未来のために立ち上がることを呼びかけるなど、第3部では、様々なパフォーマンスによって、愛・地球博のメッセージを世界に発信した。

 また、自然保護運動にとり組み、アフリカ人女性として初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏のメッセージも会場の人々の心を打った。

 この日、閉式の辞を述べた中村事務総長の「本日の開会式では、今回の博覧会のテーマ、自然の叡智を様々な形で表現してみました。いかがだったでしょうか。」という言葉に対し、参加者は、大きな拍手で応えた。

 愛・地球博は、ついにスタートした。

パビリオン紹介 : JR東海 超電導リニア館

JR東海 超電導リニア館外観

2003年12月、JR東海の超電導リニアは、山梨リニア実験線において、鉄道の有人走行による世界最高速度、時速581kmを達成した。「JR東海 超電導リニア館」の中から飛び出すように展示されているのが、この記録を達成した実物車両の先頭車、超電導リニアMLX01-1だ。

 パビリオンのテーマは、「超電導リニア、発進! -陸上交通システムの限界を超えて-」。すでに技術的に完成の域にある超電導リニアの最先端技術を日本から世界に、そして未来に向けて発信することを目的としたパビリオンだ。


超電導リニア3Dシアターメインショー

まず、超電導リニア3Dシアターへ。初めにプレショーでは、約7分間にわたり、超電導リニアに至る鉄道の歴史、技術革新、社会的背景などを150インチのスクリーンで紹介。

 続いてのメインショーは、縦10m×横18m、800インチの大迫力、ハイビジョン3D立体映像で再現される約12分間の超電導リニアのドキュメント映像。超電導リニアが目の前で浮上し、頭上を時速500キロで通り抜ける。臨場感溢れる音響と共に、息を呑むような超電導リニアの迫力ある走行シーンが体感できる。


超電導リニアMLX01-1(車内)

次は、超電導リニアMLX01-1へ。山梨リニア実験線で鉄道の世界最高速度、時速581kmを達成した本物の車両だ。超電導リニア走行の原動力である超電導磁石が装着された台車、空気抵抗を徹底的に低減した軽量車体など、実物のみが醸し出す本物の迫力を体験できる。車内にも乗り込んでみよう。

 最後に、超電導ラボ。超電動リニアの日本先駆の最先端技術について楽しく学べるゾーンだ。ここでは、世界最高性能の高温超電導磁石による宇宙船模型の発射実演や超電導現象を利用した浮上実演などを通じて超電導のパワーや不思議さを楽しみながら実感できる。

 なお、超電導リニア3Dシアター、超電導リニアMLX01-1、超電導ラボの3つのゾーンは、それぞれ独立した入口をもっているので、どの順番で観覧するか、自分で選択することができる。

 さあ、あなたも時速500kmの世界を体感してみよう。

Interview

イヴィツァ・マリチチ氏(クロアチア)愛・地球博 クロアチア政府代表

自然と技術を関連付けるというのは常に非常に難しいことで、このテーマは、愛・地球博の参加者全てにとって興味深いチャレンジになっています。私は、クロアチアがパビリオンにおいて、この二つをうまく結び付けることができていると信じています。日本人はこういうことを実現するのにおそらく世界で一番長けているのではないかと思いますし、実際に愛・地球博では、自然と技術という全く異なった、対極にあるものを見事に関連付けていて、花や木、庭園などの自然にあふれた美しい会場と同時に、リニモやIMTS無人走行バス、燃料電池バス、ロボットなどに最新の技術も見ることができるでしょう。

 また、愛・地球博の主催者は、政府ばかりでなく、産業界全体からも絶大な支援を受けていることが今回の万博の強みです。財政的な基盤がしっかりしているということは、このような大規模な万博を組織するにあたっては、大変重要なのです。

 私は他の万博にも携わった経験がありますが、日本の会場建設の状況は、非常に進んでいると感じます。過去の万博と比較しても、はるかに組織だっていますし、時間的にも十分に余裕を持って準備が進められています。私は実際に何度か万博会場へも足を運んでいますが、会場となる場所は「自然の叡智」という愛・地球博のテーマと非常によくマッチしていますし、主催者側の、パビリオンや博覧会全体の構造に関する計画の仕方も、全体のテーマを明確に示しています。「自然の叡智」というテーマを生みだし、かつ、私たちの住んでいる地球のためにそれを実現しようとしていること自身が、日本人の「叡智」なのでしょう。

 クロアチアが愛・地球博に参加するにあたっては、「自然の叡智」という主要テーマに全体として合致するように、パビリオンのテーマと構想を考えました。そして、クロアチア館は「一滴の水・一粒の塩」をテーマに選びました。クロアチアにとって、塩田はその景観と歴史をよく表すものです。塩はクロアチア人の勤勉と忍耐、そして、太陽、海、風といった自然が織り成す長いプロセスの結晶であり、まさに自然の寛大な叡智によるものなのです。

※ 本インタビューは、愛・地球博の開幕前に行ったものです。

Column

日本の伝統文化イベント紹介

創生・歌舞伎をどり(イメージ)

 愛・地球博は、開催国日本の様々な伝統文化に触れるチャンスでもある。

 まず、歌舞伎。17世紀初めに起源を持つ日本の代表的な演芸の一つだ。歌舞伎は、男性が女性の役割を演じる女形(おやま)、紅、墨、藍、茶などによって役者の顔を彩る隈取(くまどり)という化粧法といった独自の様式をもつ。「愛・地球博開幕歌舞伎舞踏公演」と名づけられ、3月25日~27日の3日間にわたってEXPOホールで開催された公演では、人間国宝中村雁治郎(なかむら・がんじろう)をはじめとする日本有数の役者たちの演技と舞が観客を魅了した。

 長久手日本館前 日本広場において開催される『にっぽん華座スペシャル催事』の第1回目のイベントは「創生・歌舞伎をどり」だ。(4/11・12)。 歌舞伎の原点である「をどり」のダイナミズムを、歌舞伎発祥当時をしのばせる華麗な衣装で再現する。

 この他、1250年前の雅楽、舞楽の祭典が今甦る「天平楽(てんぴょうらく)」(5/30・31)、和太鼓の源にある風流(ふりゅう)の太鼓踊りを新進気鋭の太鼓奏者がプロデュースする「風流大打樂(ふりゅうだいだがく)」(6/30・7/1)、また、津軽三味線の迫力の旋律「津軽三味線 乱・舞・奏」(7/21・22)といった日本芸能を体験できる。

あいち おまつり広場イベント(イメージ)

 愛・地球博では、能楽も観劇できる。能楽は、14世紀から現代に演じ継がれた日本有数の伝統芸能で、能面をつけて演じられる。一つの所作によって、様々な人間の内面を表現し、観客を幽玄の世界に誘う「能」、そして、明るく快活で滑稽な「狂言」からなる。

 9月12日には、「世界無形文化遺産 能・狂言のすべて『咲きほこる伝統』1000年の時空を超えて」が開催される。人間国宝4人を含む総勢150人のドリームチームが日本の伝統文化を世界に発信する。会場は、EXPOドーム。

 その他、愛・地球博では、市民たちが演じる日本の民間芸能やお祭りなど様々な日本の伝統文化も体験することができる。あいち・おまつり広場やEXPOドーム等で連日開催される市民参加プログラム等の中で、関心のあるものを選んで見てみるのも楽しい。

横綱 朝青龍

また、日本文化を代表する茶道を体験できる茶会もお勧めだ。会期中84日間、日本庭園茶室で開催される。

 最後に、4月4日EXPOドームで開催される「大相撲万博場所」を紹介しよう。ここでは、相撲最高位である横綱朝青龍はじめ強豪力士が勢ぞろいし、白熱した取り組みが楽しめる。その他、相撲甚句や相撲四十八手の技を二人の力士がおもしろおかしく実演する初切り(しょっきり)など、大相撲を満喫できるイベントだ。

 愛・地球博で日本の伝統文化を満喫して欲しい。