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ニュースレター No.1

No.01 2004/10/27

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News

万博ロボットプロジェクト発表

「愛・地球博」の開幕半年前を記念して、2005年日本国際博覧会協会は、9月22日、東京都内で記者会見を開いた。そこで、お目見えしたのが、チャイルドケアロボットの「パペロ」。実演では、「パペロ」は相手の顔を見分けて対話をこなし、「かわいい」と言われると頬を赤らめてみせた。会期中は、子供たちの名前を呼びかけながら一緒に歌やゲームで遊んだりする予定。

「愛・地球博」の一つの目玉となるのが、「パペロ」のような次世代ロボットだ。会場内では、ロボット達が4ヶ国語(日・英・中・韓)の会話機能を用いて、国内外からの来訪者に会場案内を行う。また、人と接触しないように安全に自動走行で移動し、ゴミの量を検出してゴミ箱の交換を行っている光景が見られる。このように、「愛・地球博」では、チャイルドケア、接客、清掃、警備、次世代車いすの5種類100体のワーキングロボットが活躍する予定だ。

また、会場内には、「ロボットステーション」パビリオンも設けられ、デモンストレーションや、ワーキングロボットのメンテナンスの場となる。来場者はここでいつでもロボットと触れ合うことが可能だ。

会期中の来年6月には、「プロトタイプロボット展」が開催される。そこでは、似顔絵を描いたり、人間のダンスの相手をする等の高度な機能を持った63種類のロボット達が登場する予定だ。

「ヒューマノイド」といわれる人間型のロボットの研究開発で世界の最先端を走っている日本。その日本で開催される「愛・地球博」でのロボットの姿を通じて、「自然の中で人とテクノロジーが共生して生きる世界」を来場者に体感してもらいたい。

グローバル・ループ

愛・地球博のメイン会場である「長久手会場」において、各国や国際機関が出展する6つのグローバル・コモン(公式参加国出展ゾーン)を結んでいるのが、高架式の周回路「グローバル・ループ」である。

6つのコモンは最大40メートルという高低差のある会場の地形を生かす形で分散して建てられている。開発部分を最小限に押さえるためだ。この高低差のある6つのコモンを水平に結び、観客の通行を容易にするために考え出されたのがこの「グローバル・ループ」だ。高架式にすることによって、会場内の樹木の伐採や池の改変などを最小限にし、希少な動植物の生息を守ることも実現している。

全長約2.6km、幅約21m。地上から最も高いところで約14m。ループの勾配は車椅子を楽に押して歩ける程度に抑えられ、段差をなくしたバリアフリーになっている。歩いて1時間程度で1周できる。

ループ上には、歩行者に交じって電動の「トラム」(連結型カート)が走る。頭上には、ヨットの帆のような日よけがつくが、側壁はない。ループ上には風が吹き通り、さながら空中を歩いている感じだ。歩くのに疲れたら、ループ上に2千席分用意されたベンチの一つに腰掛け、ワゴンサービスで買った飲み物でのどを潤すことが出来る。

ループを支える支柱は、一箇所の基礎からまるで樹木のように何本も広がる。この鉄扇構造といわれる技術は、地面への影響を低減し、会期後のループの容易な解体を可能にする専門家注目の技術だ。

「グローバル・ループ」を使って、アジア、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア・東南アジアという地域ごとに分かれた各コモンを巡れば、それはさながら世界一周の旅だ。各国の人々が行き交うループ上は、まさに地球大交流の場となる。

Interview

ヨランダ・カカバッジ氏(エクアドル) 国際自然保護連合会長・元エクアドル環境相 2005年日本国際博覧会 諮問委員

私の興味は、様々な文化や人に関わる架け橋を構築することです。貧しい人々と富者の結束、世代間の結束、男女という性別間の結束、さらに今日の人々とこれから生まれて来る人々との結束など、結束を構築する必要性に対する意識をいかに向上させるかということでもあります。

これまで、技術とは単なる道具に過ぎず、何かを結束させるものではありませんでした。エネルギーに関する技術は、特に、国家間の結束と平等性というコンセプトにとって重要になるでしょう。愛・地球博は、いかにテクノロジーを持続可能な発展のために賢く使うことができるのかという討論を通じて、国々が共有するビジョンを推進する素晴らしい機会だと思います。

“ループ”が世界中の人々を結びつけるでしょう。会場の様々な箇所を結ぶ空中回廊「グローバル・ループ」は、人種、国、文化を結びつける真の愛・地球博のシンボルです。愛・地球博は森に囲まれた美しい場所で開催されますが、愛知県がこの万博の跡地を保存すると宣言していることも重要なことですし、まさに博覧会のテーマを体現している点です。

愛・地球博が日本で開催されることは、日本が世界をさらに良く知り、世界が、伝統に根ざした古いものと未来へのビジョンを融合しているテクノロジー・リーダー日本をよりよく知る機会となるでしょう。

Column

会場づくりの知恵と工夫

「愛・地球博」の「長久手会場」の全貌を小高い丘の上の展望台から眺めることができる。眼下に色鮮やかなパビリオンや会場全体を巡る空中回廊(グローバル・ループ)が広がる。「愛・地球博」長久手会場はすでに全景を現している。

この「長久手会場」は、以前は豊かな森林の中の公園「愛知青少年公園」であった敷地に建設されている。パビリオンなどの施設は、もともと公園の広場や野球場のあった場所に建てられ、豊かな森林は、「森林体感ゾーン」等としてそのまま残されている。博覧会終了後、会場跡地はまた公園として使用される予定だ。

会場中央付近に建つ白い屋根の細長い建物。シンボル・パビリオンの「グローバル・ハウス」だ。このパビリオンは、もともと温水プールやアイススケート場として使用されていた建物を利用している。博覧会終了後のサービス再開を予定しているので、内部の施設を壊さずに会場が作られている。プールサイドに足場を組み、1m20cmの高さに床を張った上に会場が設置されるといった具合だ。環境に配慮した「愛・地球博」ならではの会場づくりの知恵と工夫の一つだ。

「愛・地球博」は、環境アセスメント(環境影響評価)に基づいて、会場づくりを行った世界初の博覧会だ。評価項目は217にのぼる。それだけに、会場づくりには他にも様々な工夫が施されている。既存の施設を壊した後のコンクリート塊の100%再使用や間伐材・リサイクル材の利用等、3R(リデュース・リユース・リサイクル)が徹底されている。会場整備上、移植せざるを得ない樹木については、特殊な移植用重機を使って、無剪定で根こそぎ移植するなど、自然に優しい技術の活用も「愛・地球博」の特徴だ。

来場者には、こんな「愛・地球博」の目に見えない知恵と工夫も感じてもらいたい。