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愛・地球博マンモス発掘・展示プロジェクト

1.愛・地球博マンモス発掘・展示プロジェクト概要


近年シベリアでマンモスの冷凍標本が発見されていることは、地球の温暖化と無縁ではない。温暖化の進行によってシベリアの永久凍土が溶け、それまで凍土の中に閉じ込められていたマンモスが姿を現しつつある。このまま凍土の融解が進むならば、数千年、数万年の時を超えて私たちに残されてきた貴重な資料の多くが失われてしまうかも知れない。
愛・地球博では、生命と地球環境のかかわりを最先端の研究成果から紐解くことを目指している。
愛・地球博マンモス発掘プロジェクトは、メインテーマ「自然の叡智」を具体化する一つの切り口として、マンモスを私たちに残された僅か、かつ最後の機会としてとらえ、貴重な資料を発掘、研究し、環境と生命の関わりの謎を解明しようとする試みである。

2.展示されるマンモスの基本情報

  • 名称:発見地の名前をとって「ユカギルマンモス」と呼ばれている。
  • 年代:約18,000年前(骨や体毛などにふくまれる放射性炭素を利用した年代測定法による。)
  • 年齢:推定40~45歳(牙の大きさや曲がり方から、成熟した固体(“大人”)と判断される。)
  • 性別:頭の大きさや牙の曲がり方から、おそらくオス。
  • 肩の高さ:約2.8m(発見された左前肢の各部位の長さの合計、あるいは既存研究のアジアゾウの前肢の円周と肩の高さの関係の計算式を適用することにより推定。)
  • 重量:約4~5t(ほぼ同じ肩の高さを持つアジアゾウのオスは5t近い重量を持つ。一方、上腕骨の長さからマンモスの重量を求める既存研究の計算式によると約4~5t。)

3.ユカギルマンモスの発見物の全体像(体の前半部に相当する部分)


頭部(2本の牙あり)/頚椎の全て、大部分の胸椎/左前肢(ヒジから先は軟組織が残存、上部は骨格)/右前肢の一部/肋骨の一部(特に右胸に相当する部分)/皮膚の一部(既にミイラ化した状態で発見)/腸壁(今後の研究による部位の特定が必要)の一部およびその内容物/体毛

4.これまでの経緯

2003.7.17「愛・地球博マンモス発掘・展示実行委員会」発足。
2004.1.16サハ共和国と(財)2005年日本国際博覧会協会の間で、同国内ウスチ・ヤンスク郡で発見されたユカギルマンモスについて、日露共同事業という枠組みの下で愛・地球博における展示を行うべく共同で努力する旨の覚書を調印。翌17日、アキーモフ・サハ共和国副大統領が出席し、共同記者会見を開催。
2004.2.16~25北海道にて永久凍土の掘削実験を実施。
2004.5.22サハ共和国大統領令により「ユカギルマンモス学術委員会」が発足。
2004.5.27シュティロフ・サハ共和国大統領が来日。ロシア連邦、サハ共和国および博覧会協会の3者間において、日露共同プロジェクトとしてユカギルマンモスを博覧会協会のパビリオンで展示することについて改めて合意。記者会見の席上、発見されたユカギルマンモス頭部の写真を公開。
2004.6.8~15ユカギルマンモス発見地点現地調査(6月)を実施。
2004.9.4~10ユカギルマンモス発見地点現地調査(9月)を実施。
2004.11.17~18サハ共和国ヤクーツク市のサハ共和国科学アカデミーの会議場において、学術シンポジウム「ユカギルマンモス:学術研究の第一段階の成果」を開催。
2004.11.19マンモスの頭部などがチャーター機で名古屋空港に到着し、長久手会場に搬入される。

5.愛・地球博会場での展示

ユカギルマンモスはグローバル・ハウスに隣接して設置する冷凍展示室内に、頭部、左前肢および骨格等その他の発見物をまとめて展示する予定。冷凍展示室内はマイナス15度程度に保たれ、観客がガラス窓越しに展示物を見ることができる。また、グローバル・ハウス内の展示ゾーンでもマンモス関連展示を行い、ユカギルマンモスの計測データに基づく全身模型や、マンモスとその時代の地球環境に関する一般的な研究成果、調査発掘の模様、CG等を活用した最新の研究成果などの影像も併せて展示する予定。さらに、日露共同プロジェクトとして、グローバルコモン4に配置されるロシア連邦のパビリオンにおいてもマンモスの全身骨格などの関連展示がおこなわれ、より多面的にマンモスに関する情報に触れることができる。

6.ユカギルマンモス・シンポジウム

平成16年11月17~18日、サハ共和国科学アカデミーの会議場において「ユカギルマンモス・シンポジウム」が開催された。このシンポジウムにはミハイローバ・サハ共和国副首相、中村利雄・2005年国際博覧会協会事務総長をはじめ、ロシア国内外の多数の研究者が参加し、ユカギルマンモスの基本的な情報が明らかにされた。
愛・地球博開催期間中、日本で「第2回ユカギルマンモス・シンポジウム」の開催が予定されている。