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小川巧記氏の市民参加プロデューサーへの就任について

財団法人2005年日本国際博覧会協会では、瀬戸会場における市民参加事業である「市民プロジェクト」を、国際博覧会に相応しいレベルで具現化していく必要性から、これまで本協会の市民プロジェクトコーディネーターとしてご活躍いただいた小川巧記氏に、11月1日(土)付で、新たに、市民参加プロデューサー(専門プロデューサー)に就任いただきますのでお知らせします。

1. 主な役割

国際博覧会史上初の取組みである市民参加プロジェクトを具現化するための助言・指導

2. 略歴

小川 巧記(おがわ たくのり)

コンセプトディレクター/クリエイティブディレクター

1954年東京生まれ
TV番組のタイトルやCGデザイン、ドキュメンタリー番組の構成・演出などを経て、87年にビッグバン・ハウス㈱を設立。広告や博覧会を通して、市民・企業・行政を結ぶコミュニケーション・プランニングを行う。「愛知県地域づくり洋上セミナー」を5年連続プロデュース。国際ゆめ交流博(仙台)で参加型パビリオン三井グループ・東芝館をプロデュース。98年に本広告主賞「消費者のためになる広告」金賞受賞。99年国連国際高齢者年の市民の自発性によるイベントとして早稲田エイジングメッセをプロデュース。以後、高齢者におけるシニアの社会参加の企画に多く携わる。

小川巧記氏、市民参加プロデューサー就任にあたってのコメント

小川 巧記

私は、これまで国際博覧会における市民参加の意義として、「時代のエンジン」という視点を掲げてきました。

国際博覧会を「その時代のエンジン」を紹介するショーケースとして定義し、19世紀の時代のエンジンは「国家」でしたから、当初、万国博覧会は国の威力を見せた博覧会でありました。20世紀の時代のエンジンは「産業」。国際博覧会は産業博として産業の目覚しい力を見せてきました。そして、21世紀の「時代のエンジン」は「市民」。わたしたち生活者一人一人の「人間力」がエンジンです。ですから“21世紀最初の国際博覧会にとって市民参加は最も重要な柱となる”という視点を土台に、市民参加の基本計画を作りました。

でも、なぜ「市民」が21世紀のエンジンとなるのでしょうか。世界は、2000年9月11日のニューヨークの大きな痛みを経験しながらも、和解へ向かうどころか、さらなる悲劇へと向かっているかに見えます。世界が抱える問題を解決するには、もはや一つの視点では不可能であるといえます。いまこそ多様な価値観に生きるものたちが、お互いがそれぞれに中心であることを認めながらも交流する、多中心な視点が求められています。この多中心な世界を可能とするのは、市民以外にはありえないと考えます。

全世界の63億の人を100人の村に縮めて世界の現状を表した「もし世界が100人の村だったら」という画期的な本がありますが、その中で、「もし世界が100人の村だったら、75人は食べ物の蓄えがあり、雨露をしのぐところがあります。でも、あとの25人はそうではありません。17人はきれいで安全な水を飲めません。」と報告されています。もし実際に100人の人が集っていて、そこにのどが乾いて苦しんでいる17人の人がいたら、私たちはその17人に自分たちの「水」を分かち合わないでしょうか。つまり、顔を知っていれば、私たちは持っているものを互いに分かち合うことができるはずです。グローバリゼーションが進むなかで、いま是非とも必要なことは、このような「顔の見えるグローバリゼーション」であると思います。そしていま、国の体制や政治状況や文化など様々な国境を越境して「顔の見える関係」を生み出す可能性を持っているのが「市民」であると思います。このような意味で、市民こそ21世紀のあるべき多中心型社会の主役でありエンジンであると確信しています。

愛・地球博の市民参加は、150年の国際博覧会史上初めての試みとして、時代のエンジンである市民による地球的課題の解決を海外、国内、そして開催地域の市民がもちより、市民のチカラと夢を185日間披露します。このため市民参加プロデュースのミッションは、世界から地球を愛する市民がフェアに参加することができる、多中心なプラットホームを生み出すことであると考え、その一事に努めたいと思っています。

以上