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愛知万博推進最高会議懇談会で発表された「愛知万国博のコンセプトとストーリー(骨子)および緊急行動」について

愛知万国博のコンセプトとストーリー(骨子)および緊急行動

1 文明跳躍期の万国博

(1) 愛知万国博は、人類文明が規格大量生産型工業社会から知価社会へと跳躍する時期の最初の万国博である。従って適切な内容と認識を得れば、歴史に残る大成功(文明への貢献)をなし遂げる可能性がある。
(2) 特に日本においては、近代工業社会の終焉と知価社会の出発という重大時期に当たっている。日本の未来に対して絶大な役割を果たし得る。
(注)万国博の歴史と段階の認識

2 コンセプト(基本概念)

(1) 万国博覧会は巨大な文化行事である。従って新しい知恵の創造と情報発信活動となり得る企画が必要である。(継続と普及をコンセプトとする公共事業とは対極をなす。地方博には地域サービスと反復性があるので、公共事業的機能が含有される。)

(2) 万国博は「聖なる一回性」の故に、文明の跳躍期には偉大なる効果を発揮し得る。(愛知万国博は、19世紀型の「技術と珍品の万国博」ではないし、戦後型の「人間の万国博」でもない。「知恵と情報の万国博」である。)

(3) この時期には、古いしがらみや、小さな利害、手続き主義を克服し、現状突破の知識と決断が不可欠である。(ことなかれ主義に陥るならば、開催の意義は全くない。)

(4) これから迎える知価社会においては、利便性と日常性を実現した携帯型情報メディアは普及するが、その一方で総合的な感性を意識的に刺激する巨大総合メディアが絶大な人気を集める。
「聖なる一回性」を持つ万国博こそ、その実現に最高の場である。

(5) 高齢化するこれからの日本においては、歩行距離を短縮した快適な観覧システムと、初見客が直ちに対応できる利便性に富んだ案内情報システムが不可欠である。

(6) 自然環境の保護と回復は、これからの人類文明の重要課題である。愛知万国博はその実現に努力する。このために、全国的地球的視野での循環型社会の形成に役立つ事業を展開すると共に、「失われた自然の回復」を重要目標に加える。

(7) 万国博には決定的なグローバル性が必要である。従って全地球的規模での市民参加の組織化が望まれる。

(8) 愛知万国博には地域特性を発揮することが望まれる。開催地の地域特性を代表するものは陶磁器である。(愛知万国博のシンボルとしては、これを利用したい。)

(9) 万国博は膨大な数の初見客を集める大事業である。また多数の国公賓が来場する。このための安全性と利便性を確保しなければならない。

3 ストーリー(コンセプトの具体化)

(1) 情報劇場

① ヘクタール・ビジョン
知価社会にふさわしい巨大総合メディア、一万㎡の画面を持つ映像システム(ヘクタール・ビジョン)を設置、100万人(20万㎡以上)の半円形劇場、音響環境と十分な通訳システムを持たせる。

② 参加型ソフト・プロジェクト

(2) 庭園劇場

① グローバル庭園
庭園芸術は現代でもグローバル化していない数少ない分野である。愛知万国博では、インターネットを利用して全世界からのアイデアを募り、日本、中国、欧州などの庭園洋式を織りまぜた未来型グローバル庭園を設計、未来の「人間と緑の関わり」を提示する。
② 市民参加の場の確立
愛知青少年公園には市民参加の場を4種類以上設ける。既設体育施設は主としてこれに活用する。

(3) 自然劇場

① 里山劇場
里山の自然を保護充実し、自然に親しむゆとりの空間を設ける。ここでは特に安全性と衛生に留意する必要がある。
② 自然教育プロジェクト

(4) ワールドタワー

各国政府の出展を高層ビルに重層化したワールドタワーを建設し、雨天でも熱暑でも快適な観覧ができるようにする。この外壁の一面をヘクタール・ビジョンとすることで、費用の軽減と安全性を確保する。

(5) 情報環境

① 情報搭載型導線(ITコスター)
案内情報を完備した端末を搭載した電気系機械導線を会場内に巡回させることで、歩行距離が短く、戸惑いのない情報と安全移動を完璧にする。(会場内ガソリンゼロ・システムとする。)
② 情報端末搭載
ITコスターには、十分な情報が提示できる端末を設置する。その他要所にスタンド型端末を置く。
③ 万国博対応型携帯電話
2003年中に、万国博対応ソフトを搭載した携帯電話を開発、普及する。

(6) 陶塔

シンボル・タワーとして、「新世界の七不思議」の中でただ一つ失われた南京の陶塔を再現、千年の後まで残す。(中国や日本全国の窯業場の参加を得る。)

(7) 自然の保護と回復

① 自然の回復プロジェクト
失われた自然の回復と現状の自然の保護に努める。
② 循環型社会への起爆
自然の回復に役立つ文化行事を目指して間伐材の利用、再生資源の活用普及に努める。また、太陽光発電、燃料電池などの利用見本を作る。(再生資源比率目標を定めて実現する。また、市民参加の再生品販売運動を拡げる。)
③ 現状自然の充実
会場の自然を、より人類に親しめるものとする実験を実行する。

4 実現のための緊急行動

愛知万国博は、時間的にも意識的にも危機的状況にある。上記のコンセプトとストーリーを実現するためには、6月中に次の事項が実行されなければならない。これらのいずれかが実行されない場合には、入場者700万人級の地方博に切り替える以外に道はないことを明言する。

(1) ストーリーに示された情報劇場を実現するため、愛知青少年公園の隣接地で適切な地形を持つ用地50ha以上を、2003年はじめまでに取得することを目的とした組織と責任者を指名し、直ちに交渉に入る。また、そのための予算措置の方法を具体的に決定する手続きに入る。

(2) 上記取得予定地を含む環境アセスメントを、2001年7月上旬に発注する。

(3) 愛知青少年公園の大規模な地形変更を県が承認、溜め池等の整理交渉を確約公表する。また、(1)を行うことで愛知青少年公園の地形変更は小規模となり、緑が保たれることを公表する。

(4) 技術調整、環境問題等に対応した、5つのワークショップの設定を決定、6月中に対象者との契約を締結、ストーリーに基づく調査設計をはじめる。
① 情報ワークショップ
② 環境ワークショップ
③ 配置修景ワークショップ
④ 導線ワークショップ
⑤ PARTワークショップ

(5) 国際シンポジウム、Webマガジンの制作、事務局による市民説明会などを開催、内外の理解と協力を得るための行動を実行に移す。(協会内にそのための組織を作ると共にWebマガジン制作発注する。)

(6) 愛環鉄道、HSSTの完成、交通整理の計画の実現に向かって関係機関と交渉するための組織と担当者を決定し、公表する。

(7) 協会と県は環境アセスメントの短縮を陳情、官民の理解を得ることに最大限の努力をする。経済産業省は以上の行動に対して、絶対的に支持し、支援する。

5 地方博への転換

(1) 上記4に示されたことが遂行されない場合は、
① 有効面積37ha、建築面積9haでBIEの見解から比較しても極端に狭小である。その上、プール、アイスアリーナ、溜め池、国際児童館などの虫食いで、まともな会場構成はできない。
② 地形改変を極力避ける方針なら、施設の配置、来場者導線に無理を生じ、初見客を多数入れるのは極めて危険である。
③ 地域公園としての平凡性から、会場としてのイメージが確立されず、集客要素が存在しない。(アイスアリーナなどを残すとすれば、地方博としても低質な会場となるだろう。)
④ 地元の熱意が疑われ、全国的集客は絶望的である。(今も中部以外のマスコミは極端な拒絶反応を示している。)

以上のことから、最大限700万人程度の大型地方博にしかならないだろう。

(2) これを選択された場合は可及的速やかに協会組織の縮小など、赤字減らしにとりかかるべきである。
両案の比較 PDF

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