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堺屋太一最高顧問の米国からのレポートについて(第2回)

  1.  全米各地を巡回して二週間。講演に、取材に、オニール財務長官ら米政府との懇談に、多忙な日々を過ごしています。その中で、万国博に関連する人々とも数多く会っています。
  2.  アメリカはITバブルが弾けたとはいえ、消費は好調、特に観光・娯楽などの経験産業は隆盛です。ここではインターネットや携帯電話などの日常的利便性と、テーマパーク、テーマレストランなどの非日常的経験性との両極化が強調されています。
  3.  愛知万国博のことを知っているアメリカ人には出会っていません。アメリカの専門家の意見では、万国博を開催するなら日常的な利便性になれた人々を、不便な(わざわざ来させる)非日常性に誘い込み、驚きを経験させることが大切だといわれています。インターネットの枠を越えたい欲求が高まっているので、これを徹底すれば大成功するとの見方です。最新文化の担い手たちにも期待されているわけです。
  4.  ブッシュ大統領の京都議定拒否は様々な議論を呼んでいますが、案外冷静です。しかし、この過程でまた新しい環境論議が生まれています。
  5.  私は、万国博は人類にとってよりよい自然を増やす文化事業にしたいとよく考えています。これまでは、公共事業的な発想のため「万国博による自然破壊をどれだけ減らすか」という議論になりがちだったように思います。

「人類にとってのよりよい自然」を拡大するのも、21世紀の文化の一つではないか。これを経済的に成り立つ事業に組み込めれば最高です。

2001年4月13日 ボストンにて

堺屋太一