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EXPO 2005 イタリアパビリオンとエコロジー

2004年11月1日


「自然の叡智」という万博のメインテーマからは、施設の環境への影響を最低限に抑えようというオーガナイズスタッフの方々の意志がうかがえます。その土地の“人間化”を拒否し、万博終了後、敷地を工事開始前の状態に戻すということを意図しています。(伐採された3万本の木と同じ数の植樹がなされます。)わが国では環境問題を重要視し、京都議定書の決定事項、国内外の計画方針とともに科学調査結果に基づき規律を遵守すべく努力しております。

イタリアパビリオン設営計画にあたり、イタリアが環境面に関してとった選択は、“歴史的”“芸術的”選択と強く関連しています。来館者に、環境管理と生産活動の発展を含めるクオリティ・オブ・ライフのコンセプトを感じ取っていただくことを目的としています(テーマであるイタリアン・ライフスタイルを支えることになります)。主にとった方法としては二点あります。一点目はパビリオン建設にあたっての、環境への影響を最低限に抑えた資材や部品の使用、そして二点目は、わが国の環境保護への努力を各産業分野において代表する、環境にやさしい素材を使用した製品をパビリオン内の展示品として選んだことです。

第一点目については、パビリオン建設プロジェクトを公募致しましたが、“環境にやさしい素材や技術を使用する”という項目を評価基準として取り入れました。事実、イタリアパビリオンは部分的、または全体的にリサイクル可能、もしくはリサイクルした素材や部品を使用しています。たとえば純粋な素材の代表であるガラスですが、これは適切に使用すれば環境を汚染せず、また何度でもリサイクルできます。

第二点目についてですが、選び抜かれた産業デザインプロダクトの中の一部は自然界と共生可能なものであり、産業界のさまざまな分野において、新たな思考法、生活法、生産法、また再生産法の象徴となるでしょう。

今日環境問題において大切な点のひとつは、産業製品の生産と消費のサイクル、製品処理や再生不可能な自然資源を使い果たすことによる環境汚染への影響を考慮し直すことです。生産サイクルに必要なエネルギーを抑える努力、そして新たなサイクルの模索が、生産・消費システムの新たなシナリオ作りへの道を開くことになります。厳選された、環境を汚染しない製品と素材こそが、その道へ導きます。

人為的な生活サイクルを自然界のものに近づけていくというのが、産業界における数々の分野(自動車、家電製品、都市・家庭用装飾品、電子器具、服飾品、建築用資材など)に共通する哲学、そして目的です。狙いは、エコシステム(完璧なバランスのとれた、不用廃棄物のない状態)と、人間が生み出した人為意的環境の共通点を模索することです。

完璧な製品とは、より軽く、より小さく、耐性に優れている、もしくはリサイクルが容易なものであり、環境への影響が限りなくゼロに近いものです。エコシステムを広く考慮に入れたこの新たな思考法、生産法は新たな道を開くと同時に、産業・消費社会における進化、革命であると言えます。このような理由からイタリアパビリオンは、エコシステムの条件を満たす製品を選び展示することとしました。少ないエネルギーで生産し、リサイクル素材やリサイクル可能な素材を使用し、使用後生分解が可能なものです。こういった製品は、自然界のサイクルや生物層の活動をいくつかの面において模倣し、生産的、建設的な方法でつくられたものなのです。生物環境と人工的環境のよい面を組み合わせ、複合物質の場合は容易に分解可能なものを使用し、他の生産サイクルに(廃棄物、もしくは資源として)その後も役立つようにしております。