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“イタリアン・ライフスタイル“, イタリア・パビリオンへの扉が開く

2004年11月1日


イタリアン・ライフスタイル。これが愛知万博におけるイタリア・パビリオンのテーマです。美・芸術・文化・質の高いイタリアの生活スタイルが「地中海」という統一テーマのもとに紹介されます。
フランスのフェルナン・ブローデルの言葉を借りれば、地中海は「それは、無数のものの集まりだ。/ それは、ひとつの風景ではなく、数限りない風景だ。/ それは、ひとつの海ではなく、連なる海だ。/ それは交じり合い重なりあった一連の文明だ。」と定義できるでしょう。
イタリア・パビリオンはこのような感情の流れをもとに生まれました。ここでは、何千年もの歴史を持つ文明が感じてきたものや雰囲気を、日本の来館者に伝えます。

第1ホールは、生きる喜びと生命力あふれるイタリアです。このホールに入る来館者の注意は、展示品や映像にとどまらず、その雰囲気に向けられるはずです。使用されるエレメントには、強く暖かい陽光のような光、鏡のような大水面、壁に使われたガラス、鏡のような水面にかかる橋、展示品の支えがあります。入った瞬間に来館者を魅了する少し詩的で夢のような効果を出すために、透明や不透明な色ガラスを使用。そして、橋を渡りながらこのホールの中に進むにしたがって来館者は、水面から浮かび上がるオブジェ、宙にぶら下げられたオブジェ、また明るい色を重ねた劇場の舞台そでのように空間を仕切るガラス板に半分隠れた形で壁に沿って展示されたオブジェに出会うでしょう。そして壁や水面に投影された文字を目にし、自分をとりかこむ音や香りにも気が付くことでしょう。

そこから、歴史と伝統だけではなく、近代的なテクノロジーの国というイタリアのイメージが生まれるでしょう。そのために、世界で活躍するイタリア企業の覇者が紹介されます。製品を展示するのは、Permaseelisa、Ponte sullo Stretto s.p.a.、Fiat、Finmeccanica、Piaggio、Nordica、Technogymといった国際レベルの企業や、CNRといったイタリアの主要な研究センターです。

こうして来館者は解放的で歓喜に満ちた雰囲気、新しい時代とテクノロジーを感じさせる雰囲気にひたりながら、ホールの出口に差し掛かることになります。そして次に、“珠玉”の空間に入り、同じく濃厚ながらも相反する情感を体験するでしょう。光と色彩の爆発の次は、青みがかった薄暗い静けさが待ち受けています。この直径9メートルの球の中心には、光線でライトアップされたまぎれもない主人公、「踊るサテュロス」が置かれています。「踊るサテュロス」は何千年もの間そうであったように、海底を思わせるような揺れる光に包まれています。この紀元前4世紀の計り知れない価値を持つ彫刻は、6年前に漁船によって発見されたばかりのものです。今回は、愛知万博に参加するために生涯で最長の旅をするというわけです。

第3ホールではイタリアの州を紹介していきます。文化とさまざまな伝統の出会いの場、イタリア・パビリオン内に設けられるスペースで、貴重な貢献をすることになります。また、2週間ごとに変わる一連のイベントでは、統一されていながら変化に富んだ国のイメージを構成している各州のさまざまな顔を紹介します。展示順路は、イタリアの家の再現で締めくくられます。イタリアの家は、暖かく居心地のいい場所であり、近代的で機能的なデザインで世界に知られています。上の階に設けられた歴史的なカフェは、休憩所となるだけでなく、この分野においてもイタリアの生活の質とスタイルをあらためて称賛する機会を来館者に提供することでしょう。

さらに、愛知万博ではイタリア料理レストランが設けられることになっています。そこでは、イタリアの誇るシェフが腕をふるってご用意するイタリア料理と地中海料理の味の髄を日本の皆様にご賞味いただけることでしょう。

イタリアの愛知万博参加で鍵となるのが、2005年4月28日に開催される「イタリア・デー」です。世界に知られ称賛されているカラビニエーリ(憲兵隊)のブラスバンドが演奏するほか、スカラ座のトップ・バレエ・ダンサーであるロベルト・ボッレが、ヨーロッパバレエの花形12名とともに、素晴らしいダンスをご披露します。

結果として、万博という示唆に富むイベントの中で、イタリアはひとつのテーマを中心に国を紹介するということになるでしょう。最終的なメッセージは、イタリアの歴史の質は他の国々の未来の質を高めるのに役立つという自負から生まれることになります。