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エコロジーレポート

21世紀の光「LED」大活躍 消費電力少なく演出面でも注目

21世紀の光として注目される発光ダイオード(LED)。愛・地球博会場では、LEDが大活躍しています。消費電力は少なく、耐久性にも優れ、環境に優しいLEDは、多彩な色の光を出すことができ、演出面でも大きな可能性を秘め、注目を集めています。近未来の光・灯りの世界を先取りした万博における、LEDの現状と展望についてまとめてみました。

青色LED。直径は3~5mm程度です。

青色LED。直径は3~5mm程度です。

光の3原色開発で用途拡大

特性比較図

(提供:豊田合成株式会社)

LED(Light Emitting Diode)は、直訳すると「光を出すダイオード」。ダイオードとは、電流を片方向にだけ流す半導体部品ですが、LEDは電流を流すと光を出します。20世紀初頭にはすでにLEDの研究が始まっていました。

半導体の材料により光の色が変わるのが特徴で、1960年代に入って赤色と黄緑色のLEDが、1970年代には黄色のLEDが開発され、実用化されるようになりました。1990年代に入って、青、緑のLEDも開発されたため、赤・緑・青の光の三原色を組み合わせることによって、あらゆる色の光を作り出すことができるようになりました。特にディスプレー画面や照明などへの応用が可能になり用途が拡大しました。

 LEDは、電気エネルギーをほとんど光エネルギーに変換するため、省資源、省エネルギーの面で優れています。このため、同じ程度の明るさでも従来の電球の10%~20%、蛍光灯の50%の消費電力ですみます。また、LEDそのものの寿命は半永久的と言われていますが、光度が70%に低下した時点で取り替えるとしても、耐用時間は電球や蛍光灯の10倍以上なので、交換頻度が少なく、ガラスなどの資源の節約になります。

LEDの一般的性能

(提供:NEDO技術開発機構)

屋外でもくっきり巨大映像

大観覧車の大型表示装置。遠くからでも、またどんな角度からでも見やすいのが特徴です

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Windows Media Player 9で動画を再生する
光の三原色の赤、緑、青の組み合わせですべての色を再現することができます

光の三原色の赤、緑、青の組み合わせですべての色を再現することができます

愛・地球広場の大型映像装置「エキスポビジョン」の画面は縦8メートル・横20メートルで、テレビの画面で表現すると840インチにもなります。屋外の炎天下でも、色彩豊かな映像をくっきり映し出します。

巨大画面を構成しているのが、合計239万6160個の赤・緑・青のLEDランプです。明るさを各色1024階調で制御して混ぜ合わせることにより、10億色以上の色を表現することができます。電球ではいろいろな波長の、さまざまな色の光が混ざっているのに比べ、LEDは色の純度に優れているのが特徴で、忠実な色の再現を可能にしました。

また、LEDの特徴である高い輝度(明るさ)と、ランプ周辺につや消しのシリコン樹脂を使用して反射を抑えるという工夫で、真夏の太陽の下でもくっきりと見やすい映像を表示します。LEDは電流を切れば、光は即座になくなり、電流の入/切に反応する時間が電球の100万分の1以下なので、画面切り替えのメリハリをつけることができます。

遊びと参加ゾーンにある大観覧車中央の大型表示装置もLED画面です。縦8メートル、横11メートルの大きさでイベント情報や天気予報、ニュースなどを映しています。遠くからでも見やすいと好評です。

約240万個のLEDランプを使用したエキスポビジョン

約240万個のLEDランプを使用したエキスポビジョン

微妙な色を再現、演出に貢献

滑らかに色が変化して、幻想的な光の演出が可能です

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未来の光を象徴する、NEDO館のアンスリウムライト

未来の光を象徴する、NEDO館のアンスリウムライト

LEDは10億色という微妙な色の違いを再現できることや、反応速度が速いことから、滑らかなグラデーションで色を変化させることができます。

エキスポビジョンの後ろにあるバイオ・ラングにもLED照明630個が取り付けられています。毎夜開催される「バイオ・ラング・シンフォニー」では、エキスポビジョンの映像に合わせてさまざまな色の光を放つ、演出装置として活用されています。

トヨタグループ館の外壁に掲げられたサインとハート型のシンボルマークにはLEDが使われていますが、このハートマークは毎日夕方の一定の時間になると、赤、緑、紫とゆっくりと色を変えます。夕闇に幻想的な光が映えて高い演出効果を生み出しています。

また、同館のメーンショーに登場する未来の乗り物「i-unit(アイユニット)」や、搭乗歩行型ロボット「i-foot(アイフット)」の装飾にもLEDが使われています。

NEDOパビリオンには、大きな葉をかたどった未来型の照明モニュメント「アンスリウムライト」が展示されています。葉の表に電源としての太陽電池が、裏側にLEDライトが取り付けられています。ここに使われているLEDは紫外線を発光し、それを赤・緑・青の蛍光体に当てて白い光にしています。赤色がきれいに見える、色の見え方が安定しているなど、住宅照明に適したライトです。

このほか愛・地球博会場では、花壇などにある太陽光で充電し暗くなると光る「エキスポほたる草」、会場内を走る自動運転バスの室内灯にもLEDが使用されています。

太陽電池で昼間に充電し、夜になると光ります

太陽電池で昼間に充電し、夜になると光ります

交通信号など広がる使用分野

LEDを使用した信号機は、西日が当たっても見やすいというメリットがあります

LEDを使用した信号機は、西日が当たっても見やすいというメリットがあります

携帯電話の液晶画面のバックライト用光源として、LEDが使われています

携帯電話の液晶画面のバックライト用光源として、LEDが使われています

照明用シーリングライト(試作品)

照明用シーリングライト(試作品)

愛・地球博会場だけでなく、LEDはすでにさまざまなところで使用されています。現在ではLEDが高価格にもかかわらず、省エネなど優れた特性から使用分野は広がっています。主なものは次の通りです。

■携帯電話液晶画面のバックライト
 携帯電話バックライト用光源としてLEDがよく使われています。ボタン、着信表示にも使用されています。

■信号機
 従来の信号機は、太陽光が反射するとどれが点灯しているのかわかりにくいのが難点でした。LEDを活用した信号機はそうしたことがなく、見やすいのが特徴なため、普及が進められています。
 警察庁の試算では、LED式信号機の一灯あたりの消費電力は15W程度で、電球式の70Wよりも55W削減。全国の約190万灯で、年間7億9500万kWh省エネとなり、二酸化炭素28万4000トンが削減可能とされています。

■車のテールランプ
 すでに一部の高級車種で、ブレーキランプに使用されています。反応速度が速く、明るいというLEDのメリットがあるため、高速道路での追突事故減少など、交通安全対策への期待も高まっています。また、車のインジケーターなどにも使用されています。

■一般照明
 LEDの色の種類が増えたことから白色を出すことができるようになり、一般照明への応用が研究されています。より自然光に近い光が出せ、安価で手に入るようになれば、一般家庭へ普及が見込まれます。
 LEDは一つひとつが小さいため、並べ方によってさまざまなデザインへの展開が可能です。また、熱をほとんど出さないので、加熱による火災の心配などもありません。

■OA機器、通信機器など
 光センサーや光通信にも応用でき、カラープリンタなどに使われています。

照明も20世紀型万博とは一線

20世紀までの万博の光演出は、どれだけ明るくできるかを目指してきたといわれています。しかし、愛・地球博の照明専門プロデューサーの石井幹子さんは「21世紀初めての万博として、20世紀とは違う会場作りを照明で表現しました」といいます。穏やかな光、より少ないエネルギーでより効果をだすことが求められる21世紀の光に、LEDは欠かせない存在となっています。

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