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エコロジーレポート

広がる「環境にやさしい活動」の輪 万博会場内にEXPOエコマネーセンター
エコマネーセンター外観

EXPOエコマネーセンターは、外国館が建ち並ぶグローバル・コモン3の南端にあります。

 環境にやさしいことをして「お金」と交換しよう――。こんな動きが、愛・地球博会場を中心に着実に広がっています。活動の拠点となっているのは、長久手会場グローバル・コモン3の一角にある「EXPO(エキスポ)エコマネーセンター」。連日、大勢の人たちが、自らの環境に配慮した活動を、人と地球にやさしい環境通貨「EXPOエコマネー」に交換しています。

エコ活動をすれば1ポイント

 この「EXPOエコマネー」事業は、地球温暖化防止や循環型社会を実現するため、市民、企業、行政それぞれの環境にやさしい活動(エコ活動)のつながりを強め、促進するため、実験導入されました。もっとも、「お金」といっても、地球環境をよくするために、万博会場の中でのみ使える特別なお金「環境通貨」です。

 この環境通貨は、愛・地球博来場者のエコ活動に対して発行されます。発行場所がEXPOエコマネーセンターで、通貨単位は「円」ではなく「ポイント」です。

ポイントが取得できるエコ活動例

  • 会場周辺のパーク&ライド駐車場まで、低排出ガス認定自動車・エコカーを利用して来場(エコマネーセンターで車検証のコピーの提示が必要です)=1ポイント
  • 万博会場内で行われる環境プログラムへの参加=1ポイント
  • EXPOエコマネーマークの付いたパビリオンやお店での、エコ商品購入やノーレジ袋の実践=1ポイント

※会場外の協賛企業やお店でのエコ活動も、ポイント発行の対象です


ポイントをため、エコ商品と交換

 こうしてためた環境通貨が2ポイントになれば、海外エコツアーなどが当たる懸賞に応募できます。3ポイント以上なら、エコマネーセンターで、ポイントに応じてエコ商品と交換できる仕組みです。普通入場券で何度も来場しポイント活動をされた場合は、最初に使用した入場券をセンターに持参ください。ポイントが蓄積されます。

ポイントと交換できるエコ商品の一部(都合により品切れの場合もあります)

しおり
せっけん
コップ
バッグ

楽しみながらエコ活動に参加

 エコカーの利用や環境プログラムへの参加、ノーレジ袋の実践など、ポイントをためる行為自体が、環境を守る活動につながるのがEXPOエコマネー事業です。日常生活では、つい大げさに考えがちな環境問題。興味と関心はあってもなかなか表に出せないボランティア精神を育成し、楽しみながら参加できることが特徴です。

 万博開幕以来、たくさんの人たちがエコマネーセンターを訪れ、開幕3カ月のポイント交換者は9万1365人になりました。館内ではエコ活動が必要な理由や実践の方法、その仕組みを展示物で紹介するだけにとどまりません。「エコ活動への理解と実生活での浸透度を深めてもらうためには、少しずつ種をまき成長させることが大切」という考えから、スタッフが丁寧に説明します。スタッフの山田政司さんは「友人同士や家族連れで何度も来館する人が増えています」と確かな手応えを感じています。

 たまったり、余ったりしたポイントを寄付する人が多いのも特徴です。寄付は1ポイントからでもでき、植林活動など地球の環境を守る活動に利用されます。


善意の象徴「どんぐり~ずの樹」

 その善意の象徴がセンター内にある「どんぐり~ずの樹」。寄付の証しである葉っぱのシールで、最初の枯れ木状態が緑いっぱいの立派な樹になりました。日本環境教育フォーラム常務理事を務める稲本正さんは「愛・地球博をきっかけにレジ袋を使わない、公共交通機関を利用するといった簡単なことをして、ためたお金を寄付するということが確立しつつあります」と喜んでいます。

どんぐり~ずの樹

寄付が相次ぎ緑豊かに茂る「どんぐり~ずの樹」

葉っぱ

寄付すると葉っぱのシールがもらえます。50ポイント以上なら、番号入りの植樹証が授与されます。

植樹活動

 6月30日には、寄付されたポイントを使った初めての植樹が行われました。およそ1000ポイントが、1本の苗木となりました。「単に植えて終わりではなく、その後の雑草取りや水やりなどの人件費も含めて必要ポイントを計算しています」と、センター広報担当の太田哲太郎さんは話します。また、植樹場所の寄付は同センターとホームページで受け付けています。

植樹活動

6月30日の最初の植樹の様子です

地域の交流を促進、信頼関係を構築

 そもそも、エコマネーとは、1997年に民間非営利法人(NPO)の「エコミュニティ・ネットワーク」代表の加藤敏春さんが提唱した地域通貨です。人と人との交流を促進し、信頼関係でつながった新しい地域コミュニティをつくることを目的としています。

 エコマネーは、お金で表せない「善意」を交換します。たとえば、庭の手入れが得意なお年寄りと、肩をもむのが得意でも庭の手入れが苦手な女の子がいるとします。善意の輪を広げていくエコマネーが流通すれば、お年寄りは喜んで肩もみと交換に庭の手入れをし、女の子は肩もみで庭の手入れがしてもらえます。


企業・行政まで巻き込み事業展開

 こうしたつながりを市民・企業・行政まで拡大したのが「EXPOエコマネー」事業です。「21世紀は“自然の叡智”を生かした持続可能な共生を目指すべきだ」とする博覧会協会も賛同し、2004年6月にEXPOエコマネー事業を推進するNPO法人「エコデザイン市民社会フォーラム」が結成されました。現在では、EXPOエコマネー事業に協賛や協力している「サポーター企業・団体」は30以上に膨らんでいます(7月4日現在)。

 サポーター企業・団体は、エコ商品や資金提供という協賛やエコ活動に対してのポイント発行の協力をしています。

 また、EXPOエコマネー事業ではエコ活動の成果を、IT技術を使い、目に見える形で表示しています。活動実績は、発行した総ポイント数や寄付されたポイント数のほか、エコ活動の成果を具体的な二酸化炭素削減量として示しています。レジ袋が100万枚節約されると、100トンの二酸化炭素が削減されるといいます。これは、瀬戸会場と同じ広さの森林が、約半年かかって吸収する二酸化炭素です。こうした成果をホームページで紹介しています。

 今回のEXPOエコマネー事業の理念や枠組みは、閉幕後も「エコデザイン市民社会フォーラム」に継承されます。エコ活動のネットワークをさらに広げ、人と地球にやさしい社会の実現を目指す新しい挑戦は、まだ始まったばかりです。

名古屋市のスタンプカード

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