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エコロジーレポート

汚水を再利用する環境トイレ 

オゾンの力で無臭・透明化実現

 日本は、昔から豊富な水資源に恵まれ、飲料水などの生活用水は、天からの恩恵に預かってきました。し尿は、肥料として利用することができるため、河川などが汚されないまま循環されてきました。
 しかし、生活様式の近代化とともに、家庭の雑排水や工場排水が汚水として水路に流れ込むようになりました。汚れた水を浄化して再利用したり、自然に返すことは、環境にとって大きな問題です。
 愛・地球博では、大量の排水を浄化して再利用するという大規模な実験を試みています。

【写真1】水を大切にし河川を汚さない「環境トイレ」

水を大切にし河川を汚さない「環境トイレ」

長久手会場・西ターミナル駐車場にあります

 長久手会場西ターミナル駐車場内にトヨタ車体が開発した「環境トイレ」が設置されています。オゾン水の脱臭・殺菌効果によって、トイレからの排水を無臭・透明にする技術をトヨタ車体が開発。トイレで使用された汚水を、洗浄水として循環、再利用することに成功しました。【写真1、図1】






【図1】

このタンク内が浄化装置になっています

リニアドア:「環境トイレ」のドアは、リニモと同じ原理です。電磁石とコイルを使用し、コイルの吸引と瞬発力でドアが開閉されるため、音がほとんどなくスムーズな動作環境が特徴。電動自動ドアの約半分から3分の1の電力で稼働できます


【図2】トイレで使用された水が、再び無臭・透明の水になる仕組み

トイレで使用された水が、再び無臭・透明の水になる仕組み

【動画1】タンクの中をのぞいてみると……
処理された水は、大腸菌も除去され、人が飲んでも害はありません。

動画の画像1
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【動画2】気泡の混ざった水の利用で節水効果大

動画の画像2
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タンク内の3つの機能で脱・汚水の排出

 なぜ汚水を出さない排水が可能なのでしょうか?
その秘密はトイレの裏側にあるタンクにあります。タンク内は(1)~(3)の構造になっています。

(1)微生物処理槽
 活性汚泥(微生物)により、し尿内の窒素除去および有機物を分解。また、活性剤を投入することにより微生物を常に活性な状態に保ち、窒素除去が安定して行われる

(2)ろ過槽
 0.4マイクロメートル(1ミリメートルの1000分の1)のろ過膜により汚泥分と水を分解。大腸菌の通過も防ぐ

(3)脱色層
 トヨタ車体株式会社が開発したオゾンガス発生装置を活用。その酸化力で水の脱色・殺菌を行う【図2】

3槽に分かれたタンク内で汚泥が透明水に!

 開発段階では当初、微生物処理を中心に行っていましたが、し尿特有の色が残ってしまうなどの問題点がありました。そこで、微生物処理の安定を高め維持するとともに、脱臭・殺菌効果のあるオゾンの活用を考案。排水を無色透明によみがえらせる技術の開発に成功しました。トイレの洗浄水として循環再利用しています。【動画1】

プール3杯分の節水が可能

 これにより、愛・地球博の会期中の185日間で、約1000トン(25メートルプール約3杯分)の節水を見込んでいます。


「環境トイレ」では、手洗い場でも節水が行われています

洗浄感は同じでも水量は半分!

 「環境トイレ」で使用する手洗い水には、気泡が混合されています。細かな泡状の水を出すことにより、通常の約半分の水量に抑えられます。【動画2】

環境と人に優しいトイレです

 どうして自動車メーカーが環境トイレの開発をすることになったのか?広報室の武藤俊和さんは、
「私たちの会社では、もともと環境保全への思いを強く持っていました。世界には下水の整備遅れによる水質汚染や、衛生的に飲料水を利用できなくて困っている人たちがたくさんいます。
 もともと、生鮮食品を運搬する業務用車輌の洗浄のオゾンの研究で、オゾンの持つ脱色・殺菌能力が、微生物処理だけでは取れないし尿特有の黄色を除去する効果があることがわかり、汚水を出さずに節水できる循環型トイレの開発につながりました。
 『環境トイレ』のデザイン、内装は車を作っているスタッフが設計しました。来場者にも自然に環境の大切さについて考えてもらえるのではないかと期待しています」
 と話してくれました。

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