「愛・地球博スポーツサミット2005」は、国内外のトップアスリートたちが、スポーツを通して自然の大切さを訴えていこうという催しでした。とはいえ、現役の選手に「環境を大切に」と言ってもメッセージは届かないでしょうね。技術や体力の向上、競技で勝つことがすべてなのですから。でも私は、自分の経験から、今すぐには分からなくても、スポーツを通じて自然の素晴らしさ、大切さを感じることができると思います。若い選手や子どもたちには「今は100%無心でやってごらん。必ず(勝つこと以外の)何か得られるから」と言ってあげたいです。
私はシンクロナイズドスイミングの選手として15年間、数々の大会に出てきましたが、試合中なのに得点のこともライバルのことも忘れ「演技することが、うれしくてうれしくてしょうがない」と感じた大会が2回ありました。なぜそういう状態になったのかは分かりません。
現役を引退した後、バハマの海で野生のイルカと一緒に泳ぐ機会があり、そのときに大自然の大きさ、自分の小ささや命のはかなさと同時に、生きている喜びをしみじみと感じたんです。そして、演技中に至福を感じたあの2回の大会のことを思い出しました。「ああ、シンクロを通して、私は生きる喜びを体験していたんだ」と気づきました。
スポーツに打ち込むことで、生きる喜び、自分を生かしている地球への感謝がわいてくるということを、伝えていきたいですね。
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